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神室町のバーで働き始めて早数ヶ月。
もうすぐ閉店だし掃除始めようかな。
『カランカラン』
「あっ、いらっしゃいま・・?!」
「すまんのギリギリに。」
こ・・この人って確か・・・店長の常連の・・。
「えっと・・真島様、こんばんわ!今日店長用事があるって早く帰ってまして・・。」
「そうやったかぁ。ん〜どないするかのぉ。」
ポリポリと頭を掻くこの人は、神室町では有名な東城会というヤクザ組織の1人らしい。基本的に怖い人は遠慮することが多い店長だけど、この人だけは普通に接してる・・けどこの人が1番見た目怖いんですけど・・眼帯だし刺青見えてるし。
少しした後、「せやっ!」とまるでポンっと音が鳴るみたいに手を叩く。
「嬢ちゃん作ってくれへんか?」
「・・・・え?」
「今日は呑みたい気分やったから帰る気になれんくてのぉ。適当に一杯頼んでええか?」
・・えっ、えっ?!?!わ、私がヤクザ相手にお酒を?!
やだやだ!!不味いの出したら絶対殴られる!!
・・でも、店長の常連さんだし・・・ここで断って来なくなったら嫌だし・・。
「わ、分かりました!ではこちらへどうぞ!」
「おおきに。一本吸うてええ?」
「ど、どうぞっ!ご自由に!」
そう言ってタバコを一本取り出す真島様に背を向けて、シェイカーを手に持つ。
えっとえっと・・真島様は普段ウィスキーのロック呑んでるよね・・似たようなやつかそれとも真逆か・・。慌てていると、後ろでフヒッと真島様が笑い出す。
「嬢ちゃんそない緊張せんでええよ。練習やと思って気軽にやっとくれ。」
「ふえっ?!え、あっ、はい!」
そ、そう言われると余計に・・!!!
ふと真島様を見ると、少し疲れ気味な顔をしていた。
「あの・・お疲れみたいですけど、大丈夫ですか?」
「ん?まぁ・・今日はちぃと忙しくての。せやけど大丈夫やで。」
そう言ってるけど・・さっきから少し溜息ついてるから疲れてはいるよね。
(・・・あっ、そうだ!あれ作ろう!)
必要な材料を出した私はシェイカーに入れお酒を作る。そんな様子を真島様は膝をつけながら見ていた。
「なぁ嬢ちゃん。なんでここのバイト始めたんや?」
「え?あぁえっと・・父と母が昔蒼天堀に住んでたみたいで、付き合う前に立ち寄ったバーが思い出深いんだそうです。店長の代理さんが出してくれたカクテルのお陰で付き合い始めて・・なんてカクテルか分からないんですけど、そのカクテル言葉のおかげで父が告白する勇気を持てたって言ってました。」
「・・・ほぉ〜・・えらいロマンチックな話やなぁ。」
「ふふっ、本当ですよね。それを聞いて思ったんです。私もそんな風に人を幸せにするバーテンダーになりたいって!」
「ええ夢やないか。頑張りや?」
「はいっ!」
父と母が結婚したきっかけのバーテンダー・・どんな人なんだろ。もう20年以上前だから、ご存命かも分からないけど・・いつか会ってみたいなぁ。
作っていたカクテルの仕上げに、ソーダを入れてパイナップルとチェリーを添えて出す。
「お待たせしました。ロイヤルフィズです。」
「ほ〜・・なんや洒落てるもんがでたのぉ。ほないただくわ。」
真島様はカクテルを一口呑むと・・・不思議そうな顔をしてグラスを見る。
「なんやこれ・・レモンの味やがなんやちゃうのも入っとる・・?」
「えっと・・卵が入ってます。」
「卵?!卵って・・あの卵かいな?!」
「はい。お疲れのようだったので栄養価の高い卵が入ってるカクテルをと思って・・呑みやすいですし体にもいいんですよ。」
「ほ〜・・・。」
暫くガラスを見た後、グイッとカクテルを呑みほした真島様は笑顔で私を見てくれた。
「これ気に入ったわ!おおきに!」
「ほっ・・本当ですか?!良かったぁ・・。」
「さて・・お礼にワシも作ったるよ。」
「えっ?!つ、作れるんですか?!いやでも、お客様にそんな事・・!」
「店長おらんから特別や。ちぃと待っとれ。」
「えっ・・えぇ〜・・??」
静止する私を無視してカウンター内に入ってきた真島様は、慣れた手つきでカクテルを作っていく。凄い・・店長より手際いい・・!!素人の腕じゃない・・!!
「真島様、経験あるんですか?」
「昔ちぃとな。嬢ちゃんくらいの歳にやった事あるんや。」
「へーそうなんですね!」
「そん時店に来た2人組がおったんやがな?男が惚れとる女の前で黙ってもうてなぁ、背中を一押しした事もあるんやで?」
「へぇ〜・・。」
まるでうちの両親みたい・・・こんな偶然あるんだなぁ。
「ほんでワシがそん時出したんは・・これや。」
あっという間にできたカクテル。
綺麗なオレンジ色のシンプルなものだった。これって・・・。
「サイドカーですか?」
「流石やの!ほんならこのカクテル言葉知っとるか?」
「確か"いつも2人で"・・でしたよね。」
「せや。男にコッソリとそれを伝えたらその場で告白しよってな〜。店中のみんな拍手喝采やったで!」
「うわぁ・・!それ素敵・・・え?」
確かお父さんが告白した時・・・周りの人にもいっぱいおめでとうって言われたって・・え?
私がきょとんとしていると、真島様は私の手にそっと添えてきて・・大人びた優しい笑顔を浮かべてくる。
「まさか惚れた女があん時のカップルの娘やったとはなぁ・・面白いもんやな。」
「・・え・・・え、えぇ?!」
「ここで嬢ちゃんが働き始めてからずっと気になっとったんや。ええ笑顔で働くかわええ女やなぁ思とったで。」
え・・・え、嘘・・この人が・・・??
それに、惚れた女って・・え・・・?!
「なぁ。名前なんて言うんや?」
「え・・あ・・・八神シエルです・・。」
「シエルちゃんか、ええ名前やな。・・さっきのカクテル美味かったで。またワシの為に作ってくれへんか?」
「・・・は・・はい・・・。」
この日以来、真島様は・・・ううん、真島さんは毎晩のようにお店に来てくれた。私の作るカクテルを呑みに。
もうすぐ閉店だし掃除始めようかな。
『カランカラン』
「あっ、いらっしゃいま・・?!」
「すまんのギリギリに。」
こ・・この人って確か・・・店長の常連の・・。
「えっと・・真島様、こんばんわ!今日店長用事があるって早く帰ってまして・・。」
「そうやったかぁ。ん〜どないするかのぉ。」
ポリポリと頭を掻くこの人は、神室町では有名な東城会というヤクザ組織の1人らしい。基本的に怖い人は遠慮することが多い店長だけど、この人だけは普通に接してる・・けどこの人が1番見た目怖いんですけど・・眼帯だし刺青見えてるし。
少しした後、「せやっ!」とまるでポンっと音が鳴るみたいに手を叩く。
「嬢ちゃん作ってくれへんか?」
「・・・・え?」
「今日は呑みたい気分やったから帰る気になれんくてのぉ。適当に一杯頼んでええか?」
・・えっ、えっ?!?!わ、私がヤクザ相手にお酒を?!
やだやだ!!不味いの出したら絶対殴られる!!
・・でも、店長の常連さんだし・・・ここで断って来なくなったら嫌だし・・。
「わ、分かりました!ではこちらへどうぞ!」
「おおきに。一本吸うてええ?」
「ど、どうぞっ!ご自由に!」
そう言ってタバコを一本取り出す真島様に背を向けて、シェイカーを手に持つ。
えっとえっと・・真島様は普段ウィスキーのロック呑んでるよね・・似たようなやつかそれとも真逆か・・。慌てていると、後ろでフヒッと真島様が笑い出す。
「嬢ちゃんそない緊張せんでええよ。練習やと思って気軽にやっとくれ。」
「ふえっ?!え、あっ、はい!」
そ、そう言われると余計に・・!!!
ふと真島様を見ると、少し疲れ気味な顔をしていた。
「あの・・お疲れみたいですけど、大丈夫ですか?」
「ん?まぁ・・今日はちぃと忙しくての。せやけど大丈夫やで。」
そう言ってるけど・・さっきから少し溜息ついてるから疲れてはいるよね。
(・・・あっ、そうだ!あれ作ろう!)
必要な材料を出した私はシェイカーに入れお酒を作る。そんな様子を真島様は膝をつけながら見ていた。
「なぁ嬢ちゃん。なんでここのバイト始めたんや?」
「え?あぁえっと・・父と母が昔蒼天堀に住んでたみたいで、付き合う前に立ち寄ったバーが思い出深いんだそうです。店長の代理さんが出してくれたカクテルのお陰で付き合い始めて・・なんてカクテルか分からないんですけど、そのカクテル言葉のおかげで父が告白する勇気を持てたって言ってました。」
「・・・ほぉ〜・・えらいロマンチックな話やなぁ。」
「ふふっ、本当ですよね。それを聞いて思ったんです。私もそんな風に人を幸せにするバーテンダーになりたいって!」
「ええ夢やないか。頑張りや?」
「はいっ!」
父と母が結婚したきっかけのバーテンダー・・どんな人なんだろ。もう20年以上前だから、ご存命かも分からないけど・・いつか会ってみたいなぁ。
作っていたカクテルの仕上げに、ソーダを入れてパイナップルとチェリーを添えて出す。
「お待たせしました。ロイヤルフィズです。」
「ほ〜・・なんや洒落てるもんがでたのぉ。ほないただくわ。」
真島様はカクテルを一口呑むと・・・不思議そうな顔をしてグラスを見る。
「なんやこれ・・レモンの味やがなんやちゃうのも入っとる・・?」
「えっと・・卵が入ってます。」
「卵?!卵って・・あの卵かいな?!」
「はい。お疲れのようだったので栄養価の高い卵が入ってるカクテルをと思って・・呑みやすいですし体にもいいんですよ。」
「ほ〜・・・。」
暫くガラスを見た後、グイッとカクテルを呑みほした真島様は笑顔で私を見てくれた。
「これ気に入ったわ!おおきに!」
「ほっ・・本当ですか?!良かったぁ・・。」
「さて・・お礼にワシも作ったるよ。」
「えっ?!つ、作れるんですか?!いやでも、お客様にそんな事・・!」
「店長おらんから特別や。ちぃと待っとれ。」
「えっ・・えぇ〜・・??」
静止する私を無視してカウンター内に入ってきた真島様は、慣れた手つきでカクテルを作っていく。凄い・・店長より手際いい・・!!素人の腕じゃない・・!!
「真島様、経験あるんですか?」
「昔ちぃとな。嬢ちゃんくらいの歳にやった事あるんや。」
「へーそうなんですね!」
「そん時店に来た2人組がおったんやがな?男が惚れとる女の前で黙ってもうてなぁ、背中を一押しした事もあるんやで?」
「へぇ〜・・。」
まるでうちの両親みたい・・・こんな偶然あるんだなぁ。
「ほんでワシがそん時出したんは・・これや。」
あっという間にできたカクテル。
綺麗なオレンジ色のシンプルなものだった。これって・・・。
「サイドカーですか?」
「流石やの!ほんならこのカクテル言葉知っとるか?」
「確か"いつも2人で"・・でしたよね。」
「せや。男にコッソリとそれを伝えたらその場で告白しよってな〜。店中のみんな拍手喝采やったで!」
「うわぁ・・!それ素敵・・・え?」
確かお父さんが告白した時・・・周りの人にもいっぱいおめでとうって言われたって・・え?
私がきょとんとしていると、真島様は私の手にそっと添えてきて・・大人びた優しい笑顔を浮かべてくる。
「まさか惚れた女があん時のカップルの娘やったとはなぁ・・面白いもんやな。」
「・・え・・・え、えぇ?!」
「ここで嬢ちゃんが働き始めてからずっと気になっとったんや。ええ笑顔で働くかわええ女やなぁ思とったで。」
え・・・え、嘘・・この人が・・・??
それに、惚れた女って・・え・・・?!
「なぁ。名前なんて言うんや?」
「え・・あ・・・八神シエルです・・。」
「シエルちゃんか、ええ名前やな。・・さっきのカクテル美味かったで。またワシの為に作ってくれへんか?」
「・・・は・・はい・・・。」
この日以来、真島様は・・・ううん、真島さんは毎晩のようにお店に来てくれた。私の作るカクテルを呑みに。