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『シエルちゃん、今日は休みでええよ。暫く会えてないんやろ?顔の疲れも取れとらんし、ゆっくり休んできたらどぉ?』
そう女将さんに言われた私は、行きつけのお茶屋さんの椅子に座ってあの人を待っている。
あの人がこの石段の上にある屯所に普段いるからだ。特に約束もしないで待つのは初めてだから少し緊張してる。
迷惑じゃないかな?困らないかな?そんな不安がある中ふと顔を上げると、見慣れた人物が降りてくる。
「あ・・永倉さん!」
「シエルやないか。どないしたんやこないなとこで。」
「沖田さんに会いに来たんです。今日いらっしゃいますか?」
「おるにはおるが・・今土方はんから説教食らったるとこやで。」
「えっ・・何かあったんですか?」
「任務に集中してない、寝坊するな、とか色々やな。かれこれもう二時間くらい経っとる。」
「に、二時間も?!」
「説教中に寝るもんやからそれで伸びとるようやな。」
あ〜・・・なるほど。
それにしても二時間は長いのでは・・・。
「お前仕事はどないしたんや?」
「えっと・・女将さんがお休みをくれたんです。暫く会えてないから会って休みなって。」
「あぁ・・確かに最近まで忙しかったからのぉ。勤王達の動きが読めんで俺らも手こずってたんや。」
「そうなんですね・・・。」
・・そんな大変だったんだ。だから寺田屋にもあんまり顔出してこなかったのかな・・今考えると、確かに斉藤さんも帰ってくる時疲れた表情してたような気がする・・。
待ってて大丈夫かな・・。不安そうな表情に気がついたのか、永倉さんはふっと優しく笑う。
「お前さんが良ければ待っといてやってくれ。きっと喜ぶで。」
「そうですか・・?」
「惚れた女に会えるんや。喜ばん男はおらへんやろ。」
そ・・・そういうもの、なのかな・・。
「じゃ、俺も帰るわ。またなシエル。」
「あ・・お、お気をつけて!」
背を向け片手を上げた永倉さんは、ゆっくりと帰路についた。
(・・・沖田さん、いつ来るかな・・・。)
それからどれくらい経ったのか・・・。
上にあった太陽が少しずつ落ち始めて空を赤く染めている。
(・・・・・・。)
流石にお説教長すぎない?!
土方さんのお説教は長いって聞いたこと何回もあるけど・・でも長くない?!え、これ私待ってるだけでニ時間以上経ってるよね?!
大丈夫かな沖田さん・・・・そう思っていると、また見知った人が石段から降りてくる。
「あ・・斉藤さんっ!」
「ん?シエルじゃないか。」
「あの、沖田さんは・・?」
「・・・あぁ。アイツなら説教が終わって部屋で休んでるぞ。そろそろ来ると思うが。」
「えっ・・そうなんですか。」
・・・部屋で休む説教終わりって、どれだけキツい説教だったんだろう・・・。
「待ってやったらどうだ?」
「え?」
「沖田も疲れが抜けるだろ。シエルだって疲れた顔をしてるぞ?寺田屋で頑張ってるもんな。」
「・・ふふ、女将さんにも言われました。」
「ふっ、いらん心配だったか。ついでに何日か休んだらどうだ?」
「そ、それは駄目ですよ!」
「女将も文句言わねぇと思うが・・まぁゆっくりしてこい。」
それだけ告げると、寺田屋へ向かって帰って行った。
(そりゃ休みたいけど・・・。)
流石にそれは無理だよね・・・。
「・・・・・・。」
(すっかり暗くなっちゃった。)
休んでるって言ってたけど多分これ寝てるよね。
・・・会いたかったけど、帰ろうかな・・そろそろ帰って休まないと明日の仕事に支障出ちゃうよね・・。
そう思い立ち上がると、石段の途中で立ち止まっている人物がいた。
(・・あ・・・・。)
その人物と目が合い、その人は私の元へ走ってくる。
「沖田さんっ・・!」
沖田さんは驚いた表情していた。
そして私の頬に触れ困ったような目に変わった。
「シエルやないか!どないした・・頬っぺた赤いで?まさか待ってたんか?いつからや?」
「えっと・・お、お昼くらい・・?」
「なっ・・この阿呆!風邪引いたらどないすんねん!手もこない冷えて・・えらい寒かったやろ?なんで待ってたんや?」
「・・沖田さんに、会いたかったから・・。」
「・・・・。」
沖田さんは小さく溜息をついて顔を下に向ける。
・・・やっぱり迷惑、だったよね。何も約束してないのに突然来て・・どうしよう、困らせちゃった・・・。
「ーー阿呆。」
「え?ーー?!」
そう呟くと沖田さんは私を強く抱きしめてくる。
少し寝ていたのか、沖田さんの体はほんのり暖かく冷えていた私の体はじんわりと暖められる。
困惑してる私を他所に、沖田さんは頭も撫で始めてくる。
「かわええ事言うなや・・・心臓に悪いで・・。」
「おき、たさん・・・?」
「・・・ワシも会いたかった・・シエルに会いたかったで・・。」
「・・!」
・・・沖田さんに抱きしめられて良かった。
今の私の顔・・見せられないよ。絶対緩んでる・・・沖田さんも同じだったんだって、嬉しかったから。
暫く抱きしめ合った私達はやっと体を離す。
「どっかで飯でも食おか?腹減ったやろ?」
「そうしたいですけど・・明日も仕事なのでそろそろ帰らないと・・・。」
「・・そうか・・・仕事熱心やなシエルは。」
少し寂しそうな顔をする沖田さんを見て心が痛む。
でもしょうがない・・・仕事があるから。
「少しでも会えて嬉しかったです。今度はゆっくり会いましょう?」
「・・・あぁ。」
「じゃあ・・また。」
あんまり顔を見ると帰りたくなくなる・・。
名残惜しい気持ちを押し込めて振り返り寺田屋へ向かおうと歩き始めたら、沖田さんに手を掴まれてーーーそのまま引き寄せられ後ろから抱きしめられる。
思ってなかった出来事に心臓の鼓動がうるさい。
両腕に包まれチラリと横を見ると沖田さんの顔がすぐ隣にある。久しぶりにこんな近くで顔を見るから、心臓の鼓動がさらに速くなる。
「お・・沖田さん・・・?」
「ーーー帰らせとうない。」
「え?」
「シエルを帰らせとうない。やっと会えたんや・・もっと、一緒におりたい。」
そう呟くその目は、あまりに切なそうだった。
(沖田さんも・・そう思ってくれるんですね。)
「・・私も、本当は・・・一緒にいたいです。」
「・・・そうか・・ほんなら、今晩一緒にいようや。」
嬉しそうな表情になった沖田さんは私の顎に優しく手を添え、唇に近づき口づけをする。
優しく触れるくらいの・・甘い口づけ。
それだけでもすごい嬉しかった。そんな口づけをニ、三度交わし沖田さんは私の耳元でそっと囁く。低い声で。でも甘い囁き。
「今夜は・・・優しゅう抱いたるで。」
「!!」
「ヒヒッ、耳真っ赤になりおって。・・その前に腹ごしらえやな。飯食い行こうや。」
「あの・・沖田さん、え・・・?」
「何がええかのぉ。和民でも行こか?」
「あの・・あの・・・!」
「ほれ、手ぇ出しや。」
「・・・えぇ・・。」
沖田さんは上機嫌で私の手を繋ぎ和民は向かう。
・・・え、さっき抱くって言ったよね??
え、え・・・明日仕事・・。
「シエル?」
沖田さんは私の顔を見つめる。
(・・・・いっか、別に。)
今はこの人といれるのがーー幸せだから。それだけを考えよう。
「行きましょう!」
「・・ヒヒッ、おう!」
その後ご飯を食べた私達は、沖田さんの持つ家へ向かい一休みする。
お風呂に入って寝ようとなって・・宣言通り抱かれた。優しく、時に激しく。
「・・・シエル・・好きや・・。」
「・・私も、好き・・・です・・。」
甘い甘い夜を過ごした私達は、朝まで抱きしめ合って眠りについた。
翌日寺田屋へ戻り、無断外泊した事を女将さんに謝る。すると・・・
「かまへんよぉ、ゆっくり休めたやろ?顔がすっきりしとる。斎藤さんも帰らんか分からん言うてはってたし・・・せやけど、それは隠した方がええんとちゃう?」
そう言われて指差された場所を水面で確認するとーーー首筋に口吸いの跡が真っ赤に残っていた。
そう女将さんに言われた私は、行きつけのお茶屋さんの椅子に座ってあの人を待っている。
あの人がこの石段の上にある屯所に普段いるからだ。特に約束もしないで待つのは初めてだから少し緊張してる。
迷惑じゃないかな?困らないかな?そんな不安がある中ふと顔を上げると、見慣れた人物が降りてくる。
「あ・・永倉さん!」
「シエルやないか。どないしたんやこないなとこで。」
「沖田さんに会いに来たんです。今日いらっしゃいますか?」
「おるにはおるが・・今土方はんから説教食らったるとこやで。」
「えっ・・何かあったんですか?」
「任務に集中してない、寝坊するな、とか色々やな。かれこれもう二時間くらい経っとる。」
「に、二時間も?!」
「説教中に寝るもんやからそれで伸びとるようやな。」
あ〜・・・なるほど。
それにしても二時間は長いのでは・・・。
「お前仕事はどないしたんや?」
「えっと・・女将さんがお休みをくれたんです。暫く会えてないから会って休みなって。」
「あぁ・・確かに最近まで忙しかったからのぉ。勤王達の動きが読めんで俺らも手こずってたんや。」
「そうなんですね・・・。」
・・そんな大変だったんだ。だから寺田屋にもあんまり顔出してこなかったのかな・・今考えると、確かに斉藤さんも帰ってくる時疲れた表情してたような気がする・・。
待ってて大丈夫かな・・。不安そうな表情に気がついたのか、永倉さんはふっと優しく笑う。
「お前さんが良ければ待っといてやってくれ。きっと喜ぶで。」
「そうですか・・?」
「惚れた女に会えるんや。喜ばん男はおらへんやろ。」
そ・・・そういうもの、なのかな・・。
「じゃ、俺も帰るわ。またなシエル。」
「あ・・お、お気をつけて!」
背を向け片手を上げた永倉さんは、ゆっくりと帰路についた。
(・・・沖田さん、いつ来るかな・・・。)
それからどれくらい経ったのか・・・。
上にあった太陽が少しずつ落ち始めて空を赤く染めている。
(・・・・・・。)
流石にお説教長すぎない?!
土方さんのお説教は長いって聞いたこと何回もあるけど・・でも長くない?!え、これ私待ってるだけでニ時間以上経ってるよね?!
大丈夫かな沖田さん・・・・そう思っていると、また見知った人が石段から降りてくる。
「あ・・斉藤さんっ!」
「ん?シエルじゃないか。」
「あの、沖田さんは・・?」
「・・・あぁ。アイツなら説教が終わって部屋で休んでるぞ。そろそろ来ると思うが。」
「えっ・・そうなんですか。」
・・・部屋で休む説教終わりって、どれだけキツい説教だったんだろう・・・。
「待ってやったらどうだ?」
「え?」
「沖田も疲れが抜けるだろ。シエルだって疲れた顔をしてるぞ?寺田屋で頑張ってるもんな。」
「・・ふふ、女将さんにも言われました。」
「ふっ、いらん心配だったか。ついでに何日か休んだらどうだ?」
「そ、それは駄目ですよ!」
「女将も文句言わねぇと思うが・・まぁゆっくりしてこい。」
それだけ告げると、寺田屋へ向かって帰って行った。
(そりゃ休みたいけど・・・。)
流石にそれは無理だよね・・・。
「・・・・・・。」
(すっかり暗くなっちゃった。)
休んでるって言ってたけど多分これ寝てるよね。
・・・会いたかったけど、帰ろうかな・・そろそろ帰って休まないと明日の仕事に支障出ちゃうよね・・。
そう思い立ち上がると、石段の途中で立ち止まっている人物がいた。
(・・あ・・・・。)
その人物と目が合い、その人は私の元へ走ってくる。
「沖田さんっ・・!」
沖田さんは驚いた表情していた。
そして私の頬に触れ困ったような目に変わった。
「シエルやないか!どないした・・頬っぺた赤いで?まさか待ってたんか?いつからや?」
「えっと・・お、お昼くらい・・?」
「なっ・・この阿呆!風邪引いたらどないすんねん!手もこない冷えて・・えらい寒かったやろ?なんで待ってたんや?」
「・・沖田さんに、会いたかったから・・。」
「・・・・。」
沖田さんは小さく溜息をついて顔を下に向ける。
・・・やっぱり迷惑、だったよね。何も約束してないのに突然来て・・どうしよう、困らせちゃった・・・。
「ーー阿呆。」
「え?ーー?!」
そう呟くと沖田さんは私を強く抱きしめてくる。
少し寝ていたのか、沖田さんの体はほんのり暖かく冷えていた私の体はじんわりと暖められる。
困惑してる私を他所に、沖田さんは頭も撫で始めてくる。
「かわええ事言うなや・・・心臓に悪いで・・。」
「おき、たさん・・・?」
「・・・ワシも会いたかった・・シエルに会いたかったで・・。」
「・・!」
・・・沖田さんに抱きしめられて良かった。
今の私の顔・・見せられないよ。絶対緩んでる・・・沖田さんも同じだったんだって、嬉しかったから。
暫く抱きしめ合った私達はやっと体を離す。
「どっかで飯でも食おか?腹減ったやろ?」
「そうしたいですけど・・明日も仕事なのでそろそろ帰らないと・・・。」
「・・そうか・・・仕事熱心やなシエルは。」
少し寂しそうな顔をする沖田さんを見て心が痛む。
でもしょうがない・・・仕事があるから。
「少しでも会えて嬉しかったです。今度はゆっくり会いましょう?」
「・・・あぁ。」
「じゃあ・・また。」
あんまり顔を見ると帰りたくなくなる・・。
名残惜しい気持ちを押し込めて振り返り寺田屋へ向かおうと歩き始めたら、沖田さんに手を掴まれてーーーそのまま引き寄せられ後ろから抱きしめられる。
思ってなかった出来事に心臓の鼓動がうるさい。
両腕に包まれチラリと横を見ると沖田さんの顔がすぐ隣にある。久しぶりにこんな近くで顔を見るから、心臓の鼓動がさらに速くなる。
「お・・沖田さん・・・?」
「ーーー帰らせとうない。」
「え?」
「シエルを帰らせとうない。やっと会えたんや・・もっと、一緒におりたい。」
そう呟くその目は、あまりに切なそうだった。
(沖田さんも・・そう思ってくれるんですね。)
「・・私も、本当は・・・一緒にいたいです。」
「・・・そうか・・ほんなら、今晩一緒にいようや。」
嬉しそうな表情になった沖田さんは私の顎に優しく手を添え、唇に近づき口づけをする。
優しく触れるくらいの・・甘い口づけ。
それだけでもすごい嬉しかった。そんな口づけをニ、三度交わし沖田さんは私の耳元でそっと囁く。低い声で。でも甘い囁き。
「今夜は・・・優しゅう抱いたるで。」
「!!」
「ヒヒッ、耳真っ赤になりおって。・・その前に腹ごしらえやな。飯食い行こうや。」
「あの・・沖田さん、え・・・?」
「何がええかのぉ。和民でも行こか?」
「あの・・あの・・・!」
「ほれ、手ぇ出しや。」
「・・・えぇ・・。」
沖田さんは上機嫌で私の手を繋ぎ和民は向かう。
・・・え、さっき抱くって言ったよね??
え、え・・・明日仕事・・。
「シエル?」
沖田さんは私の顔を見つめる。
(・・・・いっか、別に。)
今はこの人といれるのがーー幸せだから。それだけを考えよう。
「行きましょう!」
「・・ヒヒッ、おう!」
その後ご飯を食べた私達は、沖田さんの持つ家へ向かい一休みする。
お風呂に入って寝ようとなって・・宣言通り抱かれた。優しく、時に激しく。
「・・・シエル・・好きや・・。」
「・・私も、好き・・・です・・。」
甘い甘い夜を過ごした私達は、朝まで抱きしめ合って眠りについた。
翌日寺田屋へ戻り、無断外泊した事を女将さんに謝る。すると・・・
「かまへんよぉ、ゆっくり休めたやろ?顔がすっきりしとる。斎藤さんも帰らんか分からん言うてはってたし・・・せやけど、それは隠した方がええんとちゃう?」
そう言われて指差された場所を水面で確認するとーーー首筋に口吸いの跡が真っ赤に残っていた。