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京を拠点に活動する『新撰組』。
みんなから恐れられている存在。確かに怖い・・・けど、私にはその新撰組でも気になる人がいる。
その人は、私の働いているだるま屋によく来てくれている。いつも決まった席に座ってお酒とつまみを食べている。
そして———今日も来ている。
「いらっしゃいませ!こんばんわ、沖田さん。」
「おぉシエルちゃん!今日も元気に働いとるのぉ。」
「あはは!さて、今日は何にします?」
「せやなぁ・・・土佐酒と鰹のたたきにしよか。」
「かしこまりましたー!」
新撰組をみんな怖がってるから、沖田さんの注文をとるのはいつも私。そりゃ最初は怖かったけど・・羽織血に染まってるし異様な雰囲気だし・・・。
でも話していくにつれて、そんなに怖い人じゃないって分かった。話してると楽しいし、案外笑顔が可愛い。
(もう少し仲良くなれるといいんだけどなぁ・・。)
「お待たせしました!土佐酒と鰹のたたきです!」
「おぉ、おおきに。」
「・・珍しいですね、土佐酒飲むなんて。」
「仲間に土佐出身の奴がおっての。美味い言うから飲んでみよー思うてな?折角やし、シエルちゃんに注いでもらいたいんやけどええか?」
「あ・・・はい、いいですよ!」
あっ・・そうだ!
「あ、あの・・私そろそろ上がりなんです。店長に許しをもらえたら、その・・・奥の個室で一緒に飲みませんか・・?」
「お、ええなぁそれ!言うてみてくれや!」
「は、はい!じゃあ言ってきますね!」
「・・という訳で、奥の個室お借りして良いですか?」
「それはええけど・・・シエルちゃん脅されとるんとちゃうか?ホンマにちゃうんやな?」
「・・っ・・・か、借りますね!」
「ちょい待ちぃシエルちゃん!気ぃつけるんやで?!」
・・・なんでみんな、新撰組ってだけでそんなに怖がるの?
私だってちゃんと知ってる訳じゃないけど、先入観で怖がるなんて絶対違うのに・・。
「お待たせしました!奥行きましょ!」
「・・・。」
「・・?沖田さん?」
「何でもあらへん。やっぱ別の店行こうや。」
「えっ・・どうしてです?」
「ええからええから。行くで。」
・・・?どうしたんだろう、沖田さん・・。
お店を出て洛外の方に行く事になり、私は沖田さんの後をついていく。
いつも食べてる姿は前しか見た事なかったなぁ・・沖田さん、背中大きい・・背も高い・・・美少年、ではないけど・・・普通にかっこいいと思うけど・・雰囲気怖いけど。
って、沖田さん歩くの早い!ついてくのが精一杯・・!
「あ、あの!沖田さっ———」
「おぅお姉ちゃん、こんな所で何してんの?」
「え?」
「こんな所女の子が歩くなんて危ないぜぇ?へへっ・・・。」
気づかない内に数人の男が私の周りを囲っている。
何、この人達・・怖い・・・!
怖くて動けない、どうしよう・・!
戸惑っていると、私の腕を掴んでくる。
「俺達と遊ぼうぜぇ?」
「い・・嫌っ・・・!」
もう駄目———!!
「ぐはっ!!」
「・・・?!」
「・・・・お前等、女相手に何してんねや。」
私の腕を掴んでいた男が吹き飛ばされていた。
誰か私の前に割り込んできた。さっきまで見ていた背中が目の前にある・・・沖田さんだ。
沖田さんが助けてくれた・・!
「て、てめぇは・・・!——ぎゃあ!!」
「なっ——ぐはっ!!」
男達を沖田さんが斬り払っていく。
命乞いをしても関係ない。どんなに逃げようとしても追って斬り捨てた。
(——狂犬だ。)
沖田総司にはもう一つ呼び名がある。
"新撰組の狂犬"。血の海の中立っている彼は、そんな呼び名がぴったりだった。
今までに見た事のない冷たい目で私を見る。
「シエルちゃん。これがワシや・・京の人間が恐れとる新撰組の一番隊隊長や。・・・怖いやろ?」
「・・・!」
もしかして沖田さん、さっき店で店長に言われた事聞こえてたの?
それで私に分からせようと・・・・。
「ワシみたいなんとおると変な目で見られるで?こうやってこの道連れてきたんは・・悪かった。せやけどこれで分かったやろ?もう店にも行かん・・すまんかったな、嫌な思いさせて。」
沖田さん・・そんな寂しそうな目をしないで・・・私はそんなの・・そんな周りの事なんて・・!!
「そんなのどうでもいいですっ!」
「?!シエルちゃん・・?」
「確かに見た目は怖いけど、お店でしか話した事ないけど!沖田さんは噂になってる怖い人じゃないって思っているんです!さっきのは・・その、少し怖かったけど・・・で、でも!お店での沖田さんは優しいです!本当は優しい人なんだって思ってるんです!」
そんなふうに自分を下げないで。
私は、私は・・!
「わ・・私は!お、沖田さんが・・!!好きなんです!!」
「!!」
「お酒!飲みに行きましょう!お誘い、嬉しかったんです!!」
シーン・・・・・
・・・・はっ!!
わ、私・・・いいい勢いで告白しちゃった!!沖田さんも呆けた顔しちゃってる!!
あわわわどうしよう・・・!!!
「・・・。」
何も言わないで沖田さん下向いちゃった・・・いきなり困るよね、こんな街娘にいきなり告白されて・・・。
「・・くっ・・・・。」
「お・・沖田さん・・・?」
「くくくっ・・・!だーっはっは!!ひー、アカン、止まらんわ!!ヒヒヒッ!!」
「・・・え?え?!」
何で私笑われてるの?!しかも大爆笑じゃないですか!!
その後しばらく沖田さんは涙が出るくらい大笑いしていた。
「はぁ〜・・・ふぅ、笑った笑った。シエルちゃんはおもろい子やのぉ。」
「な、何がですか?」
「普通怖がって逃げるとこやろが。それなんにワシの事好き言うなんて・・・くくっ。」
「なっ・・・べべ、別にいいじゃないですか?!」
「ヒヒッせやな。ほんなら飯行こうや、腹減ったわ。」
「あ・・はい!」
私達はさっきと違って並んで歩き始めた。
・・・・・。
・・・あれ?私そういえば、一方的に告白してその後返事とか聞いてない!!・・・今更聞けないよぉぉ。
「あ、せやシエルちゃん。」
「はい?・・・!!」
呼ばれて顔を向けると、顎を優しく片手で持ち上げられ唇を重ねてくる沖田さん。
あまりに突然の出来事で、私は素直にそれを受け入れるしかなかった。目が合うと沖田さんは意地悪そうな顔になり、舌を絡ませる。逃げようとするけど、抱きつかれて逃げられない。
こんなの、初めて・・・!!
しばらく堪能して満足したのか、ようやく口を離してくれた。
「ワシは自分の女は逃さへんで。・・・ええな?」
・・・どうやら私は、狂犬に気に入られたらしい。
みんなから恐れられている存在。確かに怖い・・・けど、私にはその新撰組でも気になる人がいる。
その人は、私の働いているだるま屋によく来てくれている。いつも決まった席に座ってお酒とつまみを食べている。
そして———今日も来ている。
「いらっしゃいませ!こんばんわ、沖田さん。」
「おぉシエルちゃん!今日も元気に働いとるのぉ。」
「あはは!さて、今日は何にします?」
「せやなぁ・・・土佐酒と鰹のたたきにしよか。」
「かしこまりましたー!」
新撰組をみんな怖がってるから、沖田さんの注文をとるのはいつも私。そりゃ最初は怖かったけど・・羽織血に染まってるし異様な雰囲気だし・・・。
でも話していくにつれて、そんなに怖い人じゃないって分かった。話してると楽しいし、案外笑顔が可愛い。
(もう少し仲良くなれるといいんだけどなぁ・・。)
「お待たせしました!土佐酒と鰹のたたきです!」
「おぉ、おおきに。」
「・・珍しいですね、土佐酒飲むなんて。」
「仲間に土佐出身の奴がおっての。美味い言うから飲んでみよー思うてな?折角やし、シエルちゃんに注いでもらいたいんやけどええか?」
「あ・・・はい、いいですよ!」
あっ・・そうだ!
「あ、あの・・私そろそろ上がりなんです。店長に許しをもらえたら、その・・・奥の個室で一緒に飲みませんか・・?」
「お、ええなぁそれ!言うてみてくれや!」
「は、はい!じゃあ言ってきますね!」
「・・という訳で、奥の個室お借りして良いですか?」
「それはええけど・・・シエルちゃん脅されとるんとちゃうか?ホンマにちゃうんやな?」
「・・っ・・・か、借りますね!」
「ちょい待ちぃシエルちゃん!気ぃつけるんやで?!」
・・・なんでみんな、新撰組ってだけでそんなに怖がるの?
私だってちゃんと知ってる訳じゃないけど、先入観で怖がるなんて絶対違うのに・・。
「お待たせしました!奥行きましょ!」
「・・・。」
「・・?沖田さん?」
「何でもあらへん。やっぱ別の店行こうや。」
「えっ・・どうしてです?」
「ええからええから。行くで。」
・・・?どうしたんだろう、沖田さん・・。
お店を出て洛外の方に行く事になり、私は沖田さんの後をついていく。
いつも食べてる姿は前しか見た事なかったなぁ・・沖田さん、背中大きい・・背も高い・・・美少年、ではないけど・・・普通にかっこいいと思うけど・・雰囲気怖いけど。
って、沖田さん歩くの早い!ついてくのが精一杯・・!
「あ、あの!沖田さっ———」
「おぅお姉ちゃん、こんな所で何してんの?」
「え?」
「こんな所女の子が歩くなんて危ないぜぇ?へへっ・・・。」
気づかない内に数人の男が私の周りを囲っている。
何、この人達・・怖い・・・!
怖くて動けない、どうしよう・・!
戸惑っていると、私の腕を掴んでくる。
「俺達と遊ぼうぜぇ?」
「い・・嫌っ・・・!」
もう駄目———!!
「ぐはっ!!」
「・・・?!」
「・・・・お前等、女相手に何してんねや。」
私の腕を掴んでいた男が吹き飛ばされていた。
誰か私の前に割り込んできた。さっきまで見ていた背中が目の前にある・・・沖田さんだ。
沖田さんが助けてくれた・・!
「て、てめぇは・・・!——ぎゃあ!!」
「なっ——ぐはっ!!」
男達を沖田さんが斬り払っていく。
命乞いをしても関係ない。どんなに逃げようとしても追って斬り捨てた。
(——狂犬だ。)
沖田総司にはもう一つ呼び名がある。
"新撰組の狂犬"。血の海の中立っている彼は、そんな呼び名がぴったりだった。
今までに見た事のない冷たい目で私を見る。
「シエルちゃん。これがワシや・・京の人間が恐れとる新撰組の一番隊隊長や。・・・怖いやろ?」
「・・・!」
もしかして沖田さん、さっき店で店長に言われた事聞こえてたの?
それで私に分からせようと・・・・。
「ワシみたいなんとおると変な目で見られるで?こうやってこの道連れてきたんは・・悪かった。せやけどこれで分かったやろ?もう店にも行かん・・すまんかったな、嫌な思いさせて。」
沖田さん・・そんな寂しそうな目をしないで・・・私はそんなの・・そんな周りの事なんて・・!!
「そんなのどうでもいいですっ!」
「?!シエルちゃん・・?」
「確かに見た目は怖いけど、お店でしか話した事ないけど!沖田さんは噂になってる怖い人じゃないって思っているんです!さっきのは・・その、少し怖かったけど・・・で、でも!お店での沖田さんは優しいです!本当は優しい人なんだって思ってるんです!」
そんなふうに自分を下げないで。
私は、私は・・!
「わ・・私は!お、沖田さんが・・!!好きなんです!!」
「!!」
「お酒!飲みに行きましょう!お誘い、嬉しかったんです!!」
シーン・・・・・
・・・・はっ!!
わ、私・・・いいい勢いで告白しちゃった!!沖田さんも呆けた顔しちゃってる!!
あわわわどうしよう・・・!!!
「・・・。」
何も言わないで沖田さん下向いちゃった・・・いきなり困るよね、こんな街娘にいきなり告白されて・・・。
「・・くっ・・・・。」
「お・・沖田さん・・・?」
「くくくっ・・・!だーっはっは!!ひー、アカン、止まらんわ!!ヒヒヒッ!!」
「・・・え?え?!」
何で私笑われてるの?!しかも大爆笑じゃないですか!!
その後しばらく沖田さんは涙が出るくらい大笑いしていた。
「はぁ〜・・・ふぅ、笑った笑った。シエルちゃんはおもろい子やのぉ。」
「な、何がですか?」
「普通怖がって逃げるとこやろが。それなんにワシの事好き言うなんて・・・くくっ。」
「なっ・・・べべ、別にいいじゃないですか?!」
「ヒヒッせやな。ほんなら飯行こうや、腹減ったわ。」
「あ・・はい!」
私達はさっきと違って並んで歩き始めた。
・・・・・。
・・・あれ?私そういえば、一方的に告白してその後返事とか聞いてない!!・・・今更聞けないよぉぉ。
「あ、せやシエルちゃん。」
「はい?・・・!!」
呼ばれて顔を向けると、顎を優しく片手で持ち上げられ唇を重ねてくる沖田さん。
あまりに突然の出来事で、私は素直にそれを受け入れるしかなかった。目が合うと沖田さんは意地悪そうな顔になり、舌を絡ませる。逃げようとするけど、抱きつかれて逃げられない。
こんなの、初めて・・・!!
しばらく堪能して満足したのか、ようやく口を離してくれた。
「ワシは自分の女は逃さへんで。・・・ええな?」
・・・どうやら私は、狂犬に気に入られたらしい。