After Episode
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真島さんが熱を出した。
病気知らずで元気が取り柄だったから、本人も参ってる。
今日は仕事も休みにして、つきっきりで看病をしている。
「38.1℃・・また上がったね・・。」
「・・大したこと、あらへん・・元気、やで・・。」
「そんな訳ないでしょ!・・少し寝てて?氷の替え用意してくるから。」
そう言って立ちあがろうとすると、真島さんの手が私の裾を掴んでくる。
いつもと違って弱々しい。
「・・行かんといてくれや・・・傍におってくれ・・シエル・・。」
「・・真島さん・・・。」
こんな真島さん初めて・・よっぽど辛いんだろうな・・。
「・・・分かった。分かったから、少し寝よ?寝るまでここにいるね?」
「・・おおきに、な・・・。」
手を握ってしばらくすると、真島さんは安心したのか眠った。
・・・今のうちに氷作っとこ。
「・・・ト・・。」
・・・?今、何か言った?寝言かな・・・。
「・・マコト・・・。」
「・・?」
マコト・・?誰だろ・・・真島さんの知り合いにそんな名前の人いたっけ・・?
「・・37.4℃!良かった、少し下がったね!」
「シエルが看病してくれたおかげやで。ホンマおおきにな。」
「全然だよ!お粥食べる?」
「おう。腹減ったわ〜。」
「分かった!温めてくるね!」
よかった、元気になって。食欲もあるみたいだし。
用意したお粥をゆっくり食べてるのを見ていて、寝言の事を思い出す。
「ねぇ真島さん。」
「ん?どないした?」
「昼間にね、マコトって寝言言ってたんだけど・・そんな知り合い、真島さんにいたっけ?」
単純な疑問だった。真島さんの知り合いなら、私も知りたかったから。
でも真島さんの顔は、驚愕の表情だった。目を見開き、私を見ていた。
「・・マコト言うたんか?ワシは・・。」
「うん。お友達?」
「・・・・。」
・・・黙っちゃった。どうしたんだろ真島さん・・・。
食べている手を止め、顔を下に向けている。
「・・どうしたの?」
「・・・あんな、シエル・・マコトは・・・昔ワシが助けた女や。」
「・・え?」
「もう20年近く前や。カタギの時があっての。極道に戻る為に、ある人物を殺せ言われた・・それがマコトやった。・・殺せんかった・・・目が見えんくて似たような境遇の女を、殺せんかったんや・・・。」
初めて聞く真島さんの昔の話。
語る真島さんの表情は、哀しくて辛そうな顔だった。
そしてマコトさんの話をする時の目は・・・今までに見た事のない、切ない目をしていた。
・・・これが女の勘なのかな・・きっと真島さんは、その人が好きだったんだ。好きになってしまって、殺せなかったんだ。
「・・その人は今、どうしてるの?」
「・・・幸せにしとるハズや。・・遠い国でな。」
・・やばい、自分で聞いたのに・・・真島さんのそんな顔初めてだから・・泣きそう・・。
「・・そっか・・・。・・今でも、マコトさんの事———」
「それはちゃう。」
手に持っていた器を手放し、私を強く抱きしめる。
ベッドの上にお粥が溢れてしまったが、それどころじゃなかった。
「・・確かに昔はそうやった。せやけど、もうちゃう。今は・・今はシエルの事しか考えとらん。・・・泣かせてすまん・・すまんな・・。」
「・・っ、ごめっ・・ごめんなさっ・・!」
「シエルが謝る事あらへん。ワシが悪いんや。不安にさせてごめんな・・。」
真島さんは強く抱きしめながら、優しく頭を撫でてくれる。
・・これが、"嫉妬"っていうのかな。真島さんがあんな表情をするくらい、想ってた人がいたんだ・・・。
「・・・真島さん、昔の話もっと聞かせて?」
「・・ええんか?聞いてええもんやないで。」
「うん・・・知りたいの、真島さんの事・・。」
「・・そうか・・・・せやけどそれは、ワシがもっと元気になってからや。そん時にゆっくり話したる。」
その数日後、私は真島さんの昔話をたくさん聞いた。もちろん、マコトさんの話も。
その時にはもう、嫉妬の気持ちはなかった。あの時があったから、今の真島さんがいる。
「幸せだといいね、マコトさん。」
「・・・あぁ。せやな。」
それは純粋な願い。
海の向こうで家族と幸せに暮らしている事を、ただただ願うだけ。
病気知らずで元気が取り柄だったから、本人も参ってる。
今日は仕事も休みにして、つきっきりで看病をしている。
「38.1℃・・また上がったね・・。」
「・・大したこと、あらへん・・元気、やで・・。」
「そんな訳ないでしょ!・・少し寝てて?氷の替え用意してくるから。」
そう言って立ちあがろうとすると、真島さんの手が私の裾を掴んでくる。
いつもと違って弱々しい。
「・・行かんといてくれや・・・傍におってくれ・・シエル・・。」
「・・真島さん・・・。」
こんな真島さん初めて・・よっぽど辛いんだろうな・・。
「・・・分かった。分かったから、少し寝よ?寝るまでここにいるね?」
「・・おおきに、な・・・。」
手を握ってしばらくすると、真島さんは安心したのか眠った。
・・・今のうちに氷作っとこ。
「・・・ト・・。」
・・・?今、何か言った?寝言かな・・・。
「・・マコト・・・。」
「・・?」
マコト・・?誰だろ・・・真島さんの知り合いにそんな名前の人いたっけ・・?
「・・37.4℃!良かった、少し下がったね!」
「シエルが看病してくれたおかげやで。ホンマおおきにな。」
「全然だよ!お粥食べる?」
「おう。腹減ったわ〜。」
「分かった!温めてくるね!」
よかった、元気になって。食欲もあるみたいだし。
用意したお粥をゆっくり食べてるのを見ていて、寝言の事を思い出す。
「ねぇ真島さん。」
「ん?どないした?」
「昼間にね、マコトって寝言言ってたんだけど・・そんな知り合い、真島さんにいたっけ?」
単純な疑問だった。真島さんの知り合いなら、私も知りたかったから。
でも真島さんの顔は、驚愕の表情だった。目を見開き、私を見ていた。
「・・マコト言うたんか?ワシは・・。」
「うん。お友達?」
「・・・・。」
・・・黙っちゃった。どうしたんだろ真島さん・・・。
食べている手を止め、顔を下に向けている。
「・・どうしたの?」
「・・・あんな、シエル・・マコトは・・・昔ワシが助けた女や。」
「・・え?」
「もう20年近く前や。カタギの時があっての。極道に戻る為に、ある人物を殺せ言われた・・それがマコトやった。・・殺せんかった・・・目が見えんくて似たような境遇の女を、殺せんかったんや・・・。」
初めて聞く真島さんの昔の話。
語る真島さんの表情は、哀しくて辛そうな顔だった。
そしてマコトさんの話をする時の目は・・・今までに見た事のない、切ない目をしていた。
・・・これが女の勘なのかな・・きっと真島さんは、その人が好きだったんだ。好きになってしまって、殺せなかったんだ。
「・・その人は今、どうしてるの?」
「・・・幸せにしとるハズや。・・遠い国でな。」
・・やばい、自分で聞いたのに・・・真島さんのそんな顔初めてだから・・泣きそう・・。
「・・そっか・・・。・・今でも、マコトさんの事———」
「それはちゃう。」
手に持っていた器を手放し、私を強く抱きしめる。
ベッドの上にお粥が溢れてしまったが、それどころじゃなかった。
「・・確かに昔はそうやった。せやけど、もうちゃう。今は・・今はシエルの事しか考えとらん。・・・泣かせてすまん・・すまんな・・。」
「・・っ、ごめっ・・ごめんなさっ・・!」
「シエルが謝る事あらへん。ワシが悪いんや。不安にさせてごめんな・・。」
真島さんは強く抱きしめながら、優しく頭を撫でてくれる。
・・これが、"嫉妬"っていうのかな。真島さんがあんな表情をするくらい、想ってた人がいたんだ・・・。
「・・・真島さん、昔の話もっと聞かせて?」
「・・ええんか?聞いてええもんやないで。」
「うん・・・知りたいの、真島さんの事・・。」
「・・そうか・・・・せやけどそれは、ワシがもっと元気になってからや。そん時にゆっくり話したる。」
その数日後、私は真島さんの昔話をたくさん聞いた。もちろん、マコトさんの話も。
その時にはもう、嫉妬の気持ちはなかった。あの時があったから、今の真島さんがいる。
「幸せだといいね、マコトさん。」
「・・・あぁ。せやな。」
それは純粋な願い。
海の向こうで家族と幸せに暮らしている事を、ただただ願うだけ。