After Episode
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「・・んん・・・?」
目が覚めると見慣れない天井がある。月明かりに照らされた室内は、障子の影を作っている。
(そうだ・・ここ、旅館だ・・・。)
吾朗さんと2人で来てて・・・特に会話もなく一緒に寝て・・・。
(あれ、吾朗さんは・・?)
あたりを見渡すと、障子の影と一緒に人物の影もあった。影の元はバルコニーだった。薄い半纏を着て障子を開けると——そこにいるのは、吾朗さんだった。胸元を開けていてその下からいつもの刺青が見えていて、足を組みながらお酒を飲んでいた。
「・・?どないしたシエル、起きたんか?」
「う、うん。目が覚めちゃって・・そのグラス、今日作った・・?」
「おう。なんやこれで飲みたくなってのぉ。シエルも飲むか?」
・・・普通に会話できてる・・よかった・・。
「・・そうだね、折角だし。」
見慣れない浴衣姿だからか、珍しく眼帯をつけていないからか、その表情は普段より柔らかく見える。
桜模様の入った色違いのグラス。私がピンクで吾朗さんが青。グラスを箱から取り出し吾朗さんにお酒を注いでもらう。椅子に座り光り輝く満月を眺めていると、吾朗さんは呟いた。
「・・・こうして2人ゆっくり空見るなんて初めて会った以来やないか?」
初めて会った日。
吾朗さんに連れられて空を眺めた、あの夜。
「・・そうだね、色々あってゆっくりしてる時間なんてなかったもんね。」
「せやなぁ・・ホンマ、こないな時間は久しぶりや。」
そう呟きながら飲み進める吾朗さん。
その表情に見惚れながら、私も自然と眼帯を外していた。そんな私を見つめる吾朗さんは、グラスを置く。
「・・なぁシエル。昼間の事なんやけど。」
『ドキッ・・・』
「・・・うん。」
「その・・なんちゅうか、悪かった。まさかシエルから言われるとは思っとらんかった。」
「・・・・迷惑、だった?」
「そう考えるのええ加減やめや。・・まぁ、今回は俺の態度も悪かったし・・すまんかった。あれは迷惑なんかやのうて・・その・・・・頭ん中混乱して、何言えばええんか分からんかったわ。」
・・・・・・・・・・・。
「え?それだけ?」
「それだけて・・そら混乱するやろ!惚れとる女にあないな事言われるなんて・・・はぁ、せやけど情けへんわ。俺が言うたろ思うてたんに・・女に言わせるなんて、ホンマしょーもない男や。」
「・・・・え、本当にそれだけ?」
「何度も言わせんなや、それだけやって。」
・・迷惑じゃ、なかった?本当に?
怒ってたわけじゃ・・・ないんだね・・・。
良かった、良かっ・・・!
「シエル?!な、何で泣くんや?!」
「ごめっ・・あ、安心したら・・っ・・!」
「シエル・・!」
立ち上がる吾朗さんに力強く抱きしめられる。
その温もりが嬉しくて、涙が止まらない。
その優しさが愛しくて、感情が止まらない。
「吾朗さん・・大好き、大好きだよ・・!ずっとずっと・・・吾朗さんと一緒に・・!」
「俺もや。俺もシエルが好きや。愛しとる。ずっと俺の隣にいさせたる。」
そう言いながら吾朗さんは私の右手を優しく手に持ち、何かを指にはめてきた。
「・・・?」
「俺はシエルをずっと守る。この先何があっても、シエルが俺の隣にいられるように全力で守ったる。せやから俺と・・・。」
指にはめられたのは——
「俺と、結婚してくれ。」
小さなピンクのダイヤがついた指輪だった。
「・・っ・・・吾朗、さんっ・・!」
「・・・返事、聞かせてくれへんか?」
・・そんなの決まってる。
私は吾朗さんに抱きつき、耳元で囁く。
「はい・・よろしくお願いします、吾朗さん・・!」
「・・!・・シエル・・・!」
吾朗さんから送られる、熱いキス。
舌を絡ませ求め合う私達。
そんな私達を止める人物は、今は誰もいない。
数日後——
「ほな、今日も元気に建設や!お前等、張り切っていくでぇ!」
「「へ・・へいぃ・・!!」」
「・・なんか西田達の顔やつれてないか?」
「兄弟がデカい式にしたるって張り切っとるからな。」
「ふっ。兄さんらしいな。」
「そういや兄弟が見覚えのないネックレスしとったな。あれがそうなんか?」
「シエルからもらったんだとよ。会う度に自慢してくるから覚えちまったぜ、ったく・・。」
「アイツ言い出したら止まらんやろ?」
「あぁ・・・耳にタコができるかと思った。」
「せやな・・・けど・・。」
「みんな、お茶できてるよー!休憩してねー!」
「「あざっす、姐さんっ!!」」
「おおきにな〜シエル!うっし、お前等10分休憩や!」
「「うっす!!」」
「桐生さんと冴島さんが事務室で待ってるよ?」
「おぉせやったな。ほな行くか!」
「・・あの2人が元は殺し屋と標的だったって、今でも考えられへんな。」
「そうだな。・・・兄さんのあんな幸せそうな顔、初めて見たぜ。」
「俺もや。・・ええ女と出会えて良かったわ。」
「それ・・本人に言ってやらないのか?」
「口が裂けても言えんわ。」
「ふっ・・・そうかい。」
「よぉ!桐生ちゃんに兄弟!」
「精が出るな、兄さん。」
「当たり前や!シエルとの式の為に稼がなあかんからのぉ!」
「それ何度目や兄弟・・。」
「あはは・・・。」
私の名前は八神シエル。元殺し屋で現在は真島建設所属。
私の婚約者は職場の社長であり極道であり、元標的。
不思議な関係から始まった私達は、互いにプレゼントしたアクセサリーを身につけている。
ピンクダイヤの指輪と、シルバーの十字架がついているネックレス。この2つの"愛"が、私達の絆を証明してくれる。
「シエル。」
「ん?」
「お前はやっぱり、いつ見てもええ女やなぁ。」
「えっ・・えっ、ちょっ・・!」
「人前でイチャつくなよ・・。」
「なんや。羨ましいんか桐生ちゃん?」
「・・程々にしときや、兄弟。」
無邪気な表情で笑う彼を見て、私もつられて一緒に笑う。そんな私達を見て呆れつつも笑顔になる人達がいる。
あの頃の私には想像もできなかった幸せな日々。
そんな日々を送れているのは・・・この人のおかげ。
真島吾朗。
私の・・大切な人。
Emotions-AfterEpisode- ーfinー
「そういや、結局シエルの指のサイズはどうやって測ったんだ?」
「・・・確かに。目で見て分かったんか?」
「あ?そら縛りプ———」
「吾朗さんっ!!!」
目が覚めると見慣れない天井がある。月明かりに照らされた室内は、障子の影を作っている。
(そうだ・・ここ、旅館だ・・・。)
吾朗さんと2人で来てて・・・特に会話もなく一緒に寝て・・・。
(あれ、吾朗さんは・・?)
あたりを見渡すと、障子の影と一緒に人物の影もあった。影の元はバルコニーだった。薄い半纏を着て障子を開けると——そこにいるのは、吾朗さんだった。胸元を開けていてその下からいつもの刺青が見えていて、足を組みながらお酒を飲んでいた。
「・・?どないしたシエル、起きたんか?」
「う、うん。目が覚めちゃって・・そのグラス、今日作った・・?」
「おう。なんやこれで飲みたくなってのぉ。シエルも飲むか?」
・・・普通に会話できてる・・よかった・・。
「・・そうだね、折角だし。」
見慣れない浴衣姿だからか、珍しく眼帯をつけていないからか、その表情は普段より柔らかく見える。
桜模様の入った色違いのグラス。私がピンクで吾朗さんが青。グラスを箱から取り出し吾朗さんにお酒を注いでもらう。椅子に座り光り輝く満月を眺めていると、吾朗さんは呟いた。
「・・・こうして2人ゆっくり空見るなんて初めて会った以来やないか?」
初めて会った日。
吾朗さんに連れられて空を眺めた、あの夜。
「・・そうだね、色々あってゆっくりしてる時間なんてなかったもんね。」
「せやなぁ・・ホンマ、こないな時間は久しぶりや。」
そう呟きながら飲み進める吾朗さん。
その表情に見惚れながら、私も自然と眼帯を外していた。そんな私を見つめる吾朗さんは、グラスを置く。
「・・なぁシエル。昼間の事なんやけど。」
『ドキッ・・・』
「・・・うん。」
「その・・なんちゅうか、悪かった。まさかシエルから言われるとは思っとらんかった。」
「・・・・迷惑、だった?」
「そう考えるのええ加減やめや。・・まぁ、今回は俺の態度も悪かったし・・すまんかった。あれは迷惑なんかやのうて・・その・・・・頭ん中混乱して、何言えばええんか分からんかったわ。」
・・・・・・・・・・・。
「え?それだけ?」
「それだけて・・そら混乱するやろ!惚れとる女にあないな事言われるなんて・・・はぁ、せやけど情けへんわ。俺が言うたろ思うてたんに・・女に言わせるなんて、ホンマしょーもない男や。」
「・・・・え、本当にそれだけ?」
「何度も言わせんなや、それだけやって。」
・・迷惑じゃ、なかった?本当に?
怒ってたわけじゃ・・・ないんだね・・・。
良かった、良かっ・・・!
「シエル?!な、何で泣くんや?!」
「ごめっ・・あ、安心したら・・っ・・!」
「シエル・・!」
立ち上がる吾朗さんに力強く抱きしめられる。
その温もりが嬉しくて、涙が止まらない。
その優しさが愛しくて、感情が止まらない。
「吾朗さん・・大好き、大好きだよ・・!ずっとずっと・・・吾朗さんと一緒に・・!」
「俺もや。俺もシエルが好きや。愛しとる。ずっと俺の隣にいさせたる。」
そう言いながら吾朗さんは私の右手を優しく手に持ち、何かを指にはめてきた。
「・・・?」
「俺はシエルをずっと守る。この先何があっても、シエルが俺の隣にいられるように全力で守ったる。せやから俺と・・・。」
指にはめられたのは——
「俺と、結婚してくれ。」
小さなピンクのダイヤがついた指輪だった。
「・・っ・・・吾朗、さんっ・・!」
「・・・返事、聞かせてくれへんか?」
・・そんなの決まってる。
私は吾朗さんに抱きつき、耳元で囁く。
「はい・・よろしくお願いします、吾朗さん・・!」
「・・!・・シエル・・・!」
吾朗さんから送られる、熱いキス。
舌を絡ませ求め合う私達。
そんな私達を止める人物は、今は誰もいない。
数日後——
「ほな、今日も元気に建設や!お前等、張り切っていくでぇ!」
「「へ・・へいぃ・・!!」」
「・・なんか西田達の顔やつれてないか?」
「兄弟がデカい式にしたるって張り切っとるからな。」
「ふっ。兄さんらしいな。」
「そういや兄弟が見覚えのないネックレスしとったな。あれがそうなんか?」
「シエルからもらったんだとよ。会う度に自慢してくるから覚えちまったぜ、ったく・・。」
「アイツ言い出したら止まらんやろ?」
「あぁ・・・耳にタコができるかと思った。」
「せやな・・・けど・・。」
「みんな、お茶できてるよー!休憩してねー!」
「「あざっす、姐さんっ!!」」
「おおきにな〜シエル!うっし、お前等10分休憩や!」
「「うっす!!」」
「桐生さんと冴島さんが事務室で待ってるよ?」
「おぉせやったな。ほな行くか!」
「・・あの2人が元は殺し屋と標的だったって、今でも考えられへんな。」
「そうだな。・・・兄さんのあんな幸せそうな顔、初めて見たぜ。」
「俺もや。・・ええ女と出会えて良かったわ。」
「それ・・本人に言ってやらないのか?」
「口が裂けても言えんわ。」
「ふっ・・・そうかい。」
「よぉ!桐生ちゃんに兄弟!」
「精が出るな、兄さん。」
「当たり前や!シエルとの式の為に稼がなあかんからのぉ!」
「それ何度目や兄弟・・。」
「あはは・・・。」
私の名前は八神シエル。元殺し屋で現在は真島建設所属。
私の婚約者は職場の社長であり極道であり、元標的。
不思議な関係から始まった私達は、互いにプレゼントしたアクセサリーを身につけている。
ピンクダイヤの指輪と、シルバーの十字架がついているネックレス。この2つの"愛"が、私達の絆を証明してくれる。
「シエル。」
「ん?」
「お前はやっぱり、いつ見てもええ女やなぁ。」
「えっ・・えっ、ちょっ・・!」
「人前でイチャつくなよ・・。」
「なんや。羨ましいんか桐生ちゃん?」
「・・程々にしときや、兄弟。」
無邪気な表情で笑う彼を見て、私もつられて一緒に笑う。そんな私達を見て呆れつつも笑顔になる人達がいる。
あの頃の私には想像もできなかった幸せな日々。
そんな日々を送れているのは・・・この人のおかげ。
真島吾朗。
私の・・大切な人。
Emotions-AfterEpisode- ーfinー
「そういや、結局シエルの指のサイズはどうやって測ったんだ?」
「・・・確かに。目で見て分かったんか?」
「あ?そら縛りプ———」
「吾朗さんっ!!!」
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