第四部 私と俺とあの人の未来
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あれから二週間。私は今、寺田屋で働いている。
『待っとるだけじゃ辛いやろ?うちで働かんか?』
お登勢さんが私に気を遣ってくれて誘ってくれた。
家との往復は疲れるけど、おかげで余計なことを考えないですむ。一人でいるのはやっぱり辛かったし・・おりょうちゃんもいるから、私にとってはお金も稼げるしいい案だった。
「二人共、今日はもうあがりでええよ!お疲れ様!」
「はい!シエルちゃん、今日は泊まってええ?」
「うん!お登勢さん、お先です!」
あれからおりょうちゃんともっと仲良くなれて、時々家に来てもらっている。料理も教えてくれるのが凄い嬉しい。
具材を買って家に向かっていると——見慣れた人に出会う。
「あれ?桂さん?」
「よぉ八神さんにおりょうちゃん。奇遇だねぇ、今日はもう帰り?」
「えぇ。これからシエルちゃんの家でご飯作るんやで。あ、桂さんも一緒にどうです?シエルちゃん、腕上げたんですよ!」
「お、じゃあごちそうになろうかな?」
「分かりました、行きましょうか!」
食べながらお酒を飲もうという話になり、途中で買って家に向かう。
こうして誰かいれる時間は、今の私にとって嬉しい。
(そうすれば、寂しくないから——)
「いやぁ~美味かったよ。確かに腕上げたね。」
「ありがとうございます。・・・おりょうちゃん、大丈夫?」
「う~・・・。」
「あらら・・・桂さん、おりょうちゃん寝かせてきますね。」
「はいよ~。」
おりょうちゃんの体を支え、寝室に入る。
布団を敷いて寝かせた時、おりょうちゃんが小さく何かを呟きながら泣いていることに気がつく。
「・・はじめ・・さん・・・。」
「・・っ・・・・おりょうちゃん・・・。」
みんなが土佐へ立つ前日。おりょうちゃんはあの日、斎藤さんと話せていたみたい。
必ず帰ってくると約束してくれた、後は待つだけって、少し寂しそうに話してたな・・。
・・・おりょうちゃんも、待ってるのは辛いよね・・そうだよね・・。
(私も辛いよ・・早く会いたい・・。)
泣きそうになるのを我慢して、桂さんの元へ戻る。
「おりょうちゃん、大丈夫だったかい?」
「はい、ぐっすり寝てます。・・もう少し飲まれます?」
「そうするかな。八神さんもどう?」
「はい、お付き合いします。」
「そこで飲んでもいい?今夜は三日月が綺麗だからさ。」
そう言って指差したのは、縁側。
(そこは、あの人との——)
「どうした?大丈夫?」
「あっ・・すみません、大丈夫です。そこで飲みましょう。」
お酒を持ち二人で縁側に座る。見上げた三日月は確かに綺麗だった。
・・・みんなも、この三日月を見れてるかな・・・。
「・・どうだい?何か不便な事ないかい?」
「いえ、桂さんのおかげです。お登勢さんとおりょうちゃんもいるし・・大丈夫です。」
「そっか。ならいいんだ。」
「・・・武市のお願いっていうのが複雑ですけど・・。」
「ははっ・・ま~それは、目を瞑ってもらって・・。」
「ふふっ・・はいはい。」
こうして桂さんが私の面倒を見てくれているのは、武市に頼まれたかららしい。
桂さんは池田屋事件の時に父に会った事があったみたい。歴の長かった父は勤王派の中では有名で、その人の娘を見てほしい。そう言われたらしい。
桂さん、私を死なせたら新撰組のみんなに殺されちゃうって冗談言ってたっけ。
「もう二週間か。無事に帰ってくるといいね。」
「・・本当に・・きっと大丈夫ですよ。あの人達が、そう簡単に負けるはずがないんです。」
「そうだね、何せ新撰組だからね。」
「はい。彼らの強さは、私が一番分かっていますから。」
そう、負けるはずがない。京最強の剣士達だもん。
絶対帰ってくる、大丈夫・・・あの人達は絶対に死なない・・。
考え込んでいると、桂さんに頭をぽんぽんと撫でられた。
「桂さん?」
「・・・女が無理するもんじゃないよ?目が潤んでる。」
「!・・っ・・。」
「泣きたい時に泣きなよ。胸は貸してやれないけどさ。」
「っ・・す、すみま・・グスッ・・・!」
今日桂さんに会ったのは、絶対に偶然じゃない。この人は私の泣きそうな頃合いを分かってる。私の心が圧し潰されそうな時を。
それが分かって来たんだ。まだ出会って間もないのに、この人はそこまで見ている。
「グスッ・・・うっ・・!」
待つって決めたのに。
帰ってくるって約束してくれたのに。
心の中の不安は、決して消えない。
髪紐を解き、握りしめながら想い人を思い出し泣く。
「・・総司、さぁん・・・!」
今夜は三日月。雲一つなく桂さんと一緒に見守ってくれている。
総司さんの事も・・見守ってくれてるよね?
『待っとるだけじゃ辛いやろ?うちで働かんか?』
お登勢さんが私に気を遣ってくれて誘ってくれた。
家との往復は疲れるけど、おかげで余計なことを考えないですむ。一人でいるのはやっぱり辛かったし・・おりょうちゃんもいるから、私にとってはお金も稼げるしいい案だった。
「二人共、今日はもうあがりでええよ!お疲れ様!」
「はい!シエルちゃん、今日は泊まってええ?」
「うん!お登勢さん、お先です!」
あれからおりょうちゃんともっと仲良くなれて、時々家に来てもらっている。料理も教えてくれるのが凄い嬉しい。
具材を買って家に向かっていると——見慣れた人に出会う。
「あれ?桂さん?」
「よぉ八神さんにおりょうちゃん。奇遇だねぇ、今日はもう帰り?」
「えぇ。これからシエルちゃんの家でご飯作るんやで。あ、桂さんも一緒にどうです?シエルちゃん、腕上げたんですよ!」
「お、じゃあごちそうになろうかな?」
「分かりました、行きましょうか!」
食べながらお酒を飲もうという話になり、途中で買って家に向かう。
こうして誰かいれる時間は、今の私にとって嬉しい。
(そうすれば、寂しくないから——)
「いやぁ~美味かったよ。確かに腕上げたね。」
「ありがとうございます。・・・おりょうちゃん、大丈夫?」
「う~・・・。」
「あらら・・・桂さん、おりょうちゃん寝かせてきますね。」
「はいよ~。」
おりょうちゃんの体を支え、寝室に入る。
布団を敷いて寝かせた時、おりょうちゃんが小さく何かを呟きながら泣いていることに気がつく。
「・・はじめ・・さん・・・。」
「・・っ・・・・おりょうちゃん・・・。」
みんなが土佐へ立つ前日。おりょうちゃんはあの日、斎藤さんと話せていたみたい。
必ず帰ってくると約束してくれた、後は待つだけって、少し寂しそうに話してたな・・。
・・・おりょうちゃんも、待ってるのは辛いよね・・そうだよね・・。
(私も辛いよ・・早く会いたい・・。)
泣きそうになるのを我慢して、桂さんの元へ戻る。
「おりょうちゃん、大丈夫だったかい?」
「はい、ぐっすり寝てます。・・もう少し飲まれます?」
「そうするかな。八神さんもどう?」
「はい、お付き合いします。」
「そこで飲んでもいい?今夜は三日月が綺麗だからさ。」
そう言って指差したのは、縁側。
(そこは、あの人との——)
「どうした?大丈夫?」
「あっ・・すみません、大丈夫です。そこで飲みましょう。」
お酒を持ち二人で縁側に座る。見上げた三日月は確かに綺麗だった。
・・・みんなも、この三日月を見れてるかな・・・。
「・・どうだい?何か不便な事ないかい?」
「いえ、桂さんのおかげです。お登勢さんとおりょうちゃんもいるし・・大丈夫です。」
「そっか。ならいいんだ。」
「・・・武市のお願いっていうのが複雑ですけど・・。」
「ははっ・・ま~それは、目を瞑ってもらって・・。」
「ふふっ・・はいはい。」
こうして桂さんが私の面倒を見てくれているのは、武市に頼まれたかららしい。
桂さんは池田屋事件の時に父に会った事があったみたい。歴の長かった父は勤王派の中では有名で、その人の娘を見てほしい。そう言われたらしい。
桂さん、私を死なせたら新撰組のみんなに殺されちゃうって冗談言ってたっけ。
「もう二週間か。無事に帰ってくるといいね。」
「・・本当に・・きっと大丈夫ですよ。あの人達が、そう簡単に負けるはずがないんです。」
「そうだね、何せ新撰組だからね。」
「はい。彼らの強さは、私が一番分かっていますから。」
そう、負けるはずがない。京最強の剣士達だもん。
絶対帰ってくる、大丈夫・・・あの人達は絶対に死なない・・。
考え込んでいると、桂さんに頭をぽんぽんと撫でられた。
「桂さん?」
「・・・女が無理するもんじゃないよ?目が潤んでる。」
「!・・っ・・。」
「泣きたい時に泣きなよ。胸は貸してやれないけどさ。」
「っ・・す、すみま・・グスッ・・・!」
今日桂さんに会ったのは、絶対に偶然じゃない。この人は私の泣きそうな頃合いを分かってる。私の心が圧し潰されそうな時を。
それが分かって来たんだ。まだ出会って間もないのに、この人はそこまで見ている。
「グスッ・・・うっ・・!」
待つって決めたのに。
帰ってくるって約束してくれたのに。
心の中の不安は、決して消えない。
髪紐を解き、握りしめながら想い人を思い出し泣く。
「・・総司、さぁん・・・!」
今夜は三日月。雲一つなく桂さんと一緒に見守ってくれている。
総司さんの事も・・見守ってくれてるよね?