第四部 私と俺とあの人の未来
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「歳ちゃんに言われたんや。お前はシエルがおるんやから、死なせる訳にはいかんってな。せやけどワシは、そないな事できん。一ちゃんや歳ちゃん、新八ちゃんだけに戦わせるなんてできひんのや。せやから・・・これを御守りにして、必ず返しに帰ってくるで。」
髪紐を握りしめいる総司さんの顔を見る。
決意の顔をしているけど、目は違う。
「・・迷っていたのは、それだけですか?」
「!」
「・・それだけじゃ、ないですよね?それだったら、そんな迷う目しないですよね?」
「・・・はぁ・・・シエルには敵わんのう。」
総司さんは私の手を繋いだまま京も街を見下ろしていた。
顔を見ると、街を見るその横顔はどこか遠くを見ているようだった。街じゃなくて、その先のどこかを。
少しの沈黙の後、総司さんの口が開いた。
「・・・ホンマはな、土佐で死ぬつもりやったんや。」
「・・・え・・・?」
土佐で死ぬ・・・?何を言っているんですか?
疑問に思う私の気持ちを察したのか、総司さんは更に話し始める。
「シエルと一緒におりたいっていう気持ちは本物や。今でも思うとる。・・・せやけど、それはワシのわがままや。」
「総司さんの、わがまま・・・?」
「シエルはワシの言うとるわがままに付き合うてくれとる、本心を隠しとるんやないかって思ってたんや。・・・そんな優しさに甘えとるワシが嫌やったんや。それでシエルを縛り付けとるんやったら・・その元凶のワシはおらん方がええ思うたんや。今まで我慢してきた人生だったんや・・自由に生きてほしい思うたんや。」
総司さん・・・そんな事考えてたなんて・・・。
そんな事ないのに、私はそんな風に思ったこと、一度もないのに・・・。
「・・・せやけど、さっき一ちゃんに言うとった言葉で思ったんや。”偽りなんかじゃなくて真実なんです”って。・・・もしかしたらワシの事が好きっちゅう気持ちは、本心なんかもしれんってな。」
「総司さん・・・。」
「・・・ワシはなシエル。今まで誰かの為に戦うた事がないんや。せやけどシエルと出会って変わったんや。惚れた女の為に戦う思うたんやで?そう思うたワシは、間違いなくワシや。水戸藩の平山五郎でも、新撰組の沖田総司でもない。この京で生きた、ただの沖田総司や。・・・シエルは、そんなワシを好き言うてくれるか?・・・ワシの帰りを、待ってくれるんか・・・?」
初めて聞いた総司さんの本心。
自分の気持ちをわがままだって思ってたんだ。そんなこと言ったら、私の今までだってわがままだ。
でも総司さんはそんな私のわがままを全部受け入れてくれた。
だから、私は・・・。
「・・・総司さん、総司さんの髪紐・・・私が預かってもいいですか?」
「・・?何でや?」
「総司さんが私のもとに受け取りにきてもらえるようにです。」
「・・・シエル・・・。」
「わがままでいいんですよ?私だって、ずっとそうだったんですから。それを受け入れてくれた。だから・・・総司さんも、わがまま言ってください。」
好きな人のわがままなら、いくらでも聞けるから。
総司さんの望みを叶えるのが、私の幸せだから。
「・・・私はここで総司さんの帰りを待っています。だから・・・だから生きて帰ってきてください。・・私のわがまま、聞いてくれますか?」
「・・んなもん、いくらでも聞いたる。シエルこそ、ずっと待っとるんやで?ワシのわがまま、聞いてくれるな?」
「はい・・もちろんです。」
「・・・せやったらもう一つ、ええか?」
「・・?」
総司さんは私を抱き寄せ、耳元で囁く。
「———今夜は寝かさへんで。・・・シエルを、感じたい・・ええな?」
京の日が沈む。
家に帰った私達は、深い口付けを交わし布団に入り込む。
総司さんを感じる為に——。
髪紐を握りしめいる総司さんの顔を見る。
決意の顔をしているけど、目は違う。
「・・迷っていたのは、それだけですか?」
「!」
「・・それだけじゃ、ないですよね?それだったら、そんな迷う目しないですよね?」
「・・・はぁ・・・シエルには敵わんのう。」
総司さんは私の手を繋いだまま京も街を見下ろしていた。
顔を見ると、街を見るその横顔はどこか遠くを見ているようだった。街じゃなくて、その先のどこかを。
少しの沈黙の後、総司さんの口が開いた。
「・・・ホンマはな、土佐で死ぬつもりやったんや。」
「・・・え・・・?」
土佐で死ぬ・・・?何を言っているんですか?
疑問に思う私の気持ちを察したのか、総司さんは更に話し始める。
「シエルと一緒におりたいっていう気持ちは本物や。今でも思うとる。・・・せやけど、それはワシのわがままや。」
「総司さんの、わがまま・・・?」
「シエルはワシの言うとるわがままに付き合うてくれとる、本心を隠しとるんやないかって思ってたんや。・・・そんな優しさに甘えとるワシが嫌やったんや。それでシエルを縛り付けとるんやったら・・その元凶のワシはおらん方がええ思うたんや。今まで我慢してきた人生だったんや・・自由に生きてほしい思うたんや。」
総司さん・・・そんな事考えてたなんて・・・。
そんな事ないのに、私はそんな風に思ったこと、一度もないのに・・・。
「・・・せやけど、さっき一ちゃんに言うとった言葉で思ったんや。”偽りなんかじゃなくて真実なんです”って。・・・もしかしたらワシの事が好きっちゅう気持ちは、本心なんかもしれんってな。」
「総司さん・・・。」
「・・・ワシはなシエル。今まで誰かの為に戦うた事がないんや。せやけどシエルと出会って変わったんや。惚れた女の為に戦う思うたんやで?そう思うたワシは、間違いなくワシや。水戸藩の平山五郎でも、新撰組の沖田総司でもない。この京で生きた、ただの沖田総司や。・・・シエルは、そんなワシを好き言うてくれるか?・・・ワシの帰りを、待ってくれるんか・・・?」
初めて聞いた総司さんの本心。
自分の気持ちをわがままだって思ってたんだ。そんなこと言ったら、私の今までだってわがままだ。
でも総司さんはそんな私のわがままを全部受け入れてくれた。
だから、私は・・・。
「・・・総司さん、総司さんの髪紐・・・私が預かってもいいですか?」
「・・?何でや?」
「総司さんが私のもとに受け取りにきてもらえるようにです。」
「・・・シエル・・・。」
「わがままでいいんですよ?私だって、ずっとそうだったんですから。それを受け入れてくれた。だから・・・総司さんも、わがまま言ってください。」
好きな人のわがままなら、いくらでも聞けるから。
総司さんの望みを叶えるのが、私の幸せだから。
「・・・私はここで総司さんの帰りを待っています。だから・・・だから生きて帰ってきてください。・・私のわがまま、聞いてくれますか?」
「・・んなもん、いくらでも聞いたる。シエルこそ、ずっと待っとるんやで?ワシのわがまま、聞いてくれるな?」
「はい・・もちろんです。」
「・・・せやったらもう一つ、ええか?」
「・・?」
総司さんは私を抱き寄せ、耳元で囁く。
「———今夜は寝かさへんで。・・・シエルを、感じたい・・ええな?」
京の日が沈む。
家に帰った私達は、深い口付けを交わし布団に入り込む。
総司さんを感じる為に——。