第四部 私と俺とあの人の未来
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「・・・おい沖田。いつまで抱きしめてんだ。」
「ええやろ別に。一ちゃんも、おりょうちゃん抱きしめたらどうや?——ってぇ!!」
「いい加減にしろ総司。」
「歳ちゃん、最近ワシへの拳骨多ないか?!」
「自業自得やろ。」
「あはは・・・あの、総司さん・・とりあえず、放してもらっても・・?」
「・・・しゃあないのう・・・。」
総司さんが分かりやすく溜息をして放した後、私達は互いに報告し合うことになった。
——結局、あの後武市には逃げられてしまったみたいだった。
見廻り組の佐々木と御陵衛士の伊東によって阻まれ、三人で一緒にどこかへ行ってしまった。
『土佐で待つ。』
その言葉だけを残して。
「じゃあ・・行くんですね、土佐に。」
「あぁ。・・・シエルはどうだった?伊東に人質にされたと聞いたが・・・怪我は?」
「何もありません、大丈夫です。ただ・・・。」
「どないした?」
私は武市と話したことを全て話した。
椿との事、本当の父の事、お母さんの事。
私が意識を失う前に、武市に言われた言葉。
『君のお父さんの墓は、江戸にある。いつか会いに行ってやってくれ。』
「・・兄弟らしいな・・・。」
斎藤さんは、武市の言動に納得いくみたい。
あの人は・・・本当は悪い人じゃないのかもしれない。仲間の家族を、心配してくれていた。
ただ・・成す為のやり方を、間違えているだけ。
「・・・行くのか?江戸に。」
「・・・今は、何とも言えません。でも・・いつかは、と思っています。」
「そうか。・・・我々は明後日出立する。」
土方さんの言葉に、場の空気が引き締まるのが分かる。
明後日・・京を発つ。生き残れる保証はない。京を巻き込んだ新撰組と坂本龍馬の戦い、土佐で終わるんだ。
ふと総司さんに視線を向けると、総司さんも私を見ていた。
その目が何を言いたいのか、私には分かる。そしてそれは、総司さんだけじゃない。みんなきっと思ってる。
言い辛いだけ。だから、私が自分から言うんだ。
「——皆さん、生きて帰ってきてくださいね。私は・・ここで待っていますから。」
その言葉に、安堵の顔が見られる。
——総司さんを除いて。一瞬の安堵の後、迷いの目になっていた。
その後解散となり、寺田屋に残る斎藤さん以外の私達は途中まで一緒に歩く。
総司さんと永倉さんが前を歩き、私の隣に土方さんがいる。
・・・こうしてみんなとゆっくり歩く事なんてなかったから、新鮮だなぁ。
「・・・シエル。」
「?はい、何でしょう土方さん。」
「——総司は京に残すつもりだ。」
「・・・え?」
どうしてそんな事を・・?
「総司には君がいる。何が起こるか分からない土佐に連れて行く訳にはいかない。・・・あくまで私の独断だ。本人には伝えてある。」
「・・そう、ですか・・・。」
だから・・残るって言った後、迷ってる目をしていたんだ。
それだったら、どんなに良い事か。
愛してる人を戦場に送るなんて、したくない。
でも・・・総司さんは?総司さんはそれでいいの?私と京で待つでいいの?それで・・・納得いくの?
「・・頼みがあるんだ、シエル。」
「・・?」
土方さんは二人に聞こえないくらいの小さな声で、私の耳元で呟く。
「・・・頼めるか?」
「・・もちろんです。」
(それが土方さんが・・新撰組の副長が望むなら・・。)
その後家に着いた私達は、縁側に座りお酒を飲んでいた。
雲の隙間から、三日月が見える。月を眺めていると、口を閉ざしていた総司さんの口が開く。
「シエル。」
「はい?」
「・・・明日、朝屯所に行ったら街を歩こうな。約束やったろ?」
『明日が終わったら、京の街を歩きませんか?』
「・・・はい、もちろんです。」
「ん・・・ほな、先寝とき。ワシはもう少し起きとる。」
「分かりました。・・おやすみなさい。」
「おう。おやすみ。」
総司さんの顔は、少し曇り気味だった。
何かを迷っている目。・・・今追及しても、きっと話してくれない。
きっと、明日答えを聞かせてくれる——そうですよね、総司さん。
「ええやろ別に。一ちゃんも、おりょうちゃん抱きしめたらどうや?——ってぇ!!」
「いい加減にしろ総司。」
「歳ちゃん、最近ワシへの拳骨多ないか?!」
「自業自得やろ。」
「あはは・・・あの、総司さん・・とりあえず、放してもらっても・・?」
「・・・しゃあないのう・・・。」
総司さんが分かりやすく溜息をして放した後、私達は互いに報告し合うことになった。
——結局、あの後武市には逃げられてしまったみたいだった。
見廻り組の佐々木と御陵衛士の伊東によって阻まれ、三人で一緒にどこかへ行ってしまった。
『土佐で待つ。』
その言葉だけを残して。
「じゃあ・・行くんですね、土佐に。」
「あぁ。・・・シエルはどうだった?伊東に人質にされたと聞いたが・・・怪我は?」
「何もありません、大丈夫です。ただ・・・。」
「どないした?」
私は武市と話したことを全て話した。
椿との事、本当の父の事、お母さんの事。
私が意識を失う前に、武市に言われた言葉。
『君のお父さんの墓は、江戸にある。いつか会いに行ってやってくれ。』
「・・兄弟らしいな・・・。」
斎藤さんは、武市の言動に納得いくみたい。
あの人は・・・本当は悪い人じゃないのかもしれない。仲間の家族を、心配してくれていた。
ただ・・成す為のやり方を、間違えているだけ。
「・・・行くのか?江戸に。」
「・・・今は、何とも言えません。でも・・いつかは、と思っています。」
「そうか。・・・我々は明後日出立する。」
土方さんの言葉に、場の空気が引き締まるのが分かる。
明後日・・京を発つ。生き残れる保証はない。京を巻き込んだ新撰組と坂本龍馬の戦い、土佐で終わるんだ。
ふと総司さんに視線を向けると、総司さんも私を見ていた。
その目が何を言いたいのか、私には分かる。そしてそれは、総司さんだけじゃない。みんなきっと思ってる。
言い辛いだけ。だから、私が自分から言うんだ。
「——皆さん、生きて帰ってきてくださいね。私は・・ここで待っていますから。」
その言葉に、安堵の顔が見られる。
——総司さんを除いて。一瞬の安堵の後、迷いの目になっていた。
その後解散となり、寺田屋に残る斎藤さん以外の私達は途中まで一緒に歩く。
総司さんと永倉さんが前を歩き、私の隣に土方さんがいる。
・・・こうしてみんなとゆっくり歩く事なんてなかったから、新鮮だなぁ。
「・・・シエル。」
「?はい、何でしょう土方さん。」
「——総司は京に残すつもりだ。」
「・・・え?」
どうしてそんな事を・・?
「総司には君がいる。何が起こるか分からない土佐に連れて行く訳にはいかない。・・・あくまで私の独断だ。本人には伝えてある。」
「・・そう、ですか・・・。」
だから・・残るって言った後、迷ってる目をしていたんだ。
それだったら、どんなに良い事か。
愛してる人を戦場に送るなんて、したくない。
でも・・・総司さんは?総司さんはそれでいいの?私と京で待つでいいの?それで・・・納得いくの?
「・・頼みがあるんだ、シエル。」
「・・?」
土方さんは二人に聞こえないくらいの小さな声で、私の耳元で呟く。
「・・・頼めるか?」
「・・もちろんです。」
(それが土方さんが・・新撰組の副長が望むなら・・。)
その後家に着いた私達は、縁側に座りお酒を飲んでいた。
雲の隙間から、三日月が見える。月を眺めていると、口を閉ざしていた総司さんの口が開く。
「シエル。」
「はい?」
「・・・明日、朝屯所に行ったら街を歩こうな。約束やったろ?」
『明日が終わったら、京の街を歩きませんか?』
「・・・はい、もちろんです。」
「ん・・・ほな、先寝とき。ワシはもう少し起きとる。」
「分かりました。・・おやすみなさい。」
「おう。おやすみ。」
総司さんの顔は、少し曇り気味だった。
何かを迷っている目。・・・今追及しても、きっと話してくれない。
きっと、明日答えを聞かせてくれる——そうですよね、総司さん。