第一部 仮面の選択
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寺田屋に戻り隊服を脱ぎ捨て、何もやる気になれなく布団に潜る。
・・・死にたい・・制御できなくて泣き散らし、終いには帰れと言われて・・・幻滅されたろうなぁ・・・。
こんなに”私”を抑えられないなんて・・・よっぽど動揺してたんだな・・・。
『”私”の事も、認めてくれますか?』
・・私は何を望んでいたんだろう。沖田さんにあんな姿見せて・・私の存在を認めてもらおうとするなんて・・・。
吾朗と名付けられたあの日から、私は女である事を許されていないんだ。
冷静になれ、切り替えろ、”私”を捨てろ、”俺”になるんだ。
八神吾朗に・・・。
「・・・ふぅ・・・。」
明日は夜勤・・・早めに出て、屯所で鍛錬でもするか。
翌朝。
身支度を整え屯所に辿り着くと、池の前で素振りをしている人物がいた。
その人物は俺に気付き、こちらに視線を向ける。
「おはよう八神。体調が優れないと聞いたが、大丈夫だったか?」
「井上隊長。」
六番隊隊長、井上源三郎。
新撰組の中でも試衛館以来の古株の一人。
「ご心配をおかけしました。もう大丈夫です。」
「そうか。・・・それにしても来るのが随分早いな。今日は夜勤ではなかったか?」
「永倉隊長のご指摘があった鍛錬をしようと思いまして。」
「それはいい事だが、寝ないで大丈夫なのか?夜勤の辛さは重々承知だろう?」
「ご忠告感謝します。けれど心配無用です。ありがとうございます。」
「そうか。・・俺はそろそろ戻る。じゃあな。」
一度手合わせをしてもらった時の殺気は凄まじかった。
・・・いつかもう一度手合わせを願いたいものだ。
「八神。少しいいか?」
「?何でしょう?」
「お前が使っている小太刀に興味があってな。一度手合わせを願いたい。いいか?」
「は、はい!是非!」
「はぁ・・はぁ・・本当に凄い腕だな。うちの隊にきてほしいくらいだ。」
「お褒めの言葉、ありがたいです。」
「おう。・・・ところで一番隊は夜勤だろ?少しでも休んどけ。」
「・・感謝します。」
さっきの方は、確か六番隊の・・・平隊士じゃ勿体ない腕だった。井上隊長の指導が行き届いてるんだな。
・・さて、永倉隊長はいるだろうか。鍛錬の指導を受けたいが・・・。
そう思い屯所を歩いていると、副長を見かける。
「土方副長、おはようございます。」
「あぁおはよう。随分早いな。」
「鍛錬をと思いまして・・・永倉隊長を見かけませんでしたか?」
「永倉は変更があって今日は休みだ。・・君は今日夜勤だろう。鍛錬もいいが休息も必要だ。」
「・・・はい・・。」
副長にまで言われた・・・。
「・・あの時怪我で運ばれた君が隊士になるとはな。これからも新撰組の為、その腕をふるってくれ。」
「!・・は、はい!」
そう言うと満足げな顔で、副長はその場を離れていった。
・・・どうしよう。一度寺田屋に戻って・・・いや、鍛錬を優先しよう。今は少しでも早く強くならないと・・・”俺”である為に。
「あれ?君、確か沖田さんとこの新人さんだよね?」
「あ・・藤堂隊長!おはようございます。」
八番隊隊長、藤堂平助。
新撰組の中でも比較的常識人・・・だと思う。
そういえば、まだ手合わせしたことなかったな。
「あの、もしお時間ありましたら手合わせをお願いしたいのですが。」
「あーごめんね。俺今から試験官やらなきゃなんだ。君の腕は相当らしいね。またの機会でもいいかな?」
「はい、是非!・・・あ・・・そう言えば・・・。」
「ん?どうしたの?」
「あの・・・藤堂さんはどうして俺の事を?あまり話したことがないのに・・・。」
それに、さっきの六番隊の方だってそうだ。
まだ日も浅いのにどうして俺の事を知っているのだろう。その疑問を藤堂隊長に言ってみると、思わぬ返答が返ってくる。
「あぁ、多分沖田さんが色んな人に話してるからじゃないかな?」
トクンッ・・・
「沖田・・隊長が・・・?」
「えらいゴツイ新人がきたで!とか、アイツの剣術はおもろい!とか、散々言ってるからねー。君を知らない人って、逆に少ないんじゃないかな?」
沖田隊長が・・・俺の事を・・?
「相当気に入ってるみたいだね。じゃあそろそろ行くから。また!」
「は・・はい・・!」
沖田隊長が、八神吾朗を認めてくれている・・!これは増々頑張らなくちゃ・・・!
その日の夜勤を無事終えた後、毎日のように鍛錬や手合わせをする日々を送った。
・・・死にたい・・制御できなくて泣き散らし、終いには帰れと言われて・・・幻滅されたろうなぁ・・・。
こんなに”私”を抑えられないなんて・・・よっぽど動揺してたんだな・・・。
『”私”の事も、認めてくれますか?』
・・私は何を望んでいたんだろう。沖田さんにあんな姿見せて・・私の存在を認めてもらおうとするなんて・・・。
吾朗と名付けられたあの日から、私は女である事を許されていないんだ。
冷静になれ、切り替えろ、”私”を捨てろ、”俺”になるんだ。
八神吾朗に・・・。
「・・・ふぅ・・・。」
明日は夜勤・・・早めに出て、屯所で鍛錬でもするか。
翌朝。
身支度を整え屯所に辿り着くと、池の前で素振りをしている人物がいた。
その人物は俺に気付き、こちらに視線を向ける。
「おはよう八神。体調が優れないと聞いたが、大丈夫だったか?」
「井上隊長。」
六番隊隊長、井上源三郎。
新撰組の中でも試衛館以来の古株の一人。
「ご心配をおかけしました。もう大丈夫です。」
「そうか。・・・それにしても来るのが随分早いな。今日は夜勤ではなかったか?」
「永倉隊長のご指摘があった鍛錬をしようと思いまして。」
「それはいい事だが、寝ないで大丈夫なのか?夜勤の辛さは重々承知だろう?」
「ご忠告感謝します。けれど心配無用です。ありがとうございます。」
「そうか。・・俺はそろそろ戻る。じゃあな。」
一度手合わせをしてもらった時の殺気は凄まじかった。
・・・いつかもう一度手合わせを願いたいものだ。
「八神。少しいいか?」
「?何でしょう?」
「お前が使っている小太刀に興味があってな。一度手合わせを願いたい。いいか?」
「は、はい!是非!」
「はぁ・・はぁ・・本当に凄い腕だな。うちの隊にきてほしいくらいだ。」
「お褒めの言葉、ありがたいです。」
「おう。・・・ところで一番隊は夜勤だろ?少しでも休んどけ。」
「・・感謝します。」
さっきの方は、確か六番隊の・・・平隊士じゃ勿体ない腕だった。井上隊長の指導が行き届いてるんだな。
・・さて、永倉隊長はいるだろうか。鍛錬の指導を受けたいが・・・。
そう思い屯所を歩いていると、副長を見かける。
「土方副長、おはようございます。」
「あぁおはよう。随分早いな。」
「鍛錬をと思いまして・・・永倉隊長を見かけませんでしたか?」
「永倉は変更があって今日は休みだ。・・君は今日夜勤だろう。鍛錬もいいが休息も必要だ。」
「・・・はい・・。」
副長にまで言われた・・・。
「・・あの時怪我で運ばれた君が隊士になるとはな。これからも新撰組の為、その腕をふるってくれ。」
「!・・は、はい!」
そう言うと満足げな顔で、副長はその場を離れていった。
・・・どうしよう。一度寺田屋に戻って・・・いや、鍛錬を優先しよう。今は少しでも早く強くならないと・・・”俺”である為に。
「あれ?君、確か沖田さんとこの新人さんだよね?」
「あ・・藤堂隊長!おはようございます。」
八番隊隊長、藤堂平助。
新撰組の中でも比較的常識人・・・だと思う。
そういえば、まだ手合わせしたことなかったな。
「あの、もしお時間ありましたら手合わせをお願いしたいのですが。」
「あーごめんね。俺今から試験官やらなきゃなんだ。君の腕は相当らしいね。またの機会でもいいかな?」
「はい、是非!・・・あ・・・そう言えば・・・。」
「ん?どうしたの?」
「あの・・・藤堂さんはどうして俺の事を?あまり話したことがないのに・・・。」
それに、さっきの六番隊の方だってそうだ。
まだ日も浅いのにどうして俺の事を知っているのだろう。その疑問を藤堂隊長に言ってみると、思わぬ返答が返ってくる。
「あぁ、多分沖田さんが色んな人に話してるからじゃないかな?」
トクンッ・・・
「沖田・・隊長が・・・?」
「えらいゴツイ新人がきたで!とか、アイツの剣術はおもろい!とか、散々言ってるからねー。君を知らない人って、逆に少ないんじゃないかな?」
沖田隊長が・・・俺の事を・・?
「相当気に入ってるみたいだね。じゃあそろそろ行くから。また!」
「は・・はい・・!」
沖田隊長が、八神吾朗を認めてくれている・・!これは増々頑張らなくちゃ・・・!
その日の夜勤を無事終えた後、毎日のように鍛錬や手合わせをする日々を送った。