第四部 私と俺とあの人の未来
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日が暮れ夜になった。
・・・雲が濃い。雨でも降りそうだな・・。討ち入りには足音が聞こえ辛くなるから、好都合ではある。
「おう、お前さん等が新撰組の女たちか?」
「・・・貴方は?」
「ほぅ。京にいてワシの顔を知らんとはのう。まぁええわ。ワシは西郷吉之助や。・・・さ、酒でも用意してもらおか。」
西郷吉之助、薩摩藩軍賊役。
この人が薩摩の代表・・・金髪にその大きな体格が堂々とした風格を物語っている。
西郷は私に近寄ってきて顎に手を当ててくる。
「お前さんえらい別嬪さんやのう。お前が狂犬の女やなかったらワシのモンにしたい程やなぁ。」
「・・・今は作戦中です。・・って、狂犬の女?」
「中岡ちゅうモンから聞いたで。お前さんに手ぇ出したら殺す言うとけ言われたらしいやないか。」
・・・総司さん・・私そんなの聞いてないんですけど・・いつの間に言ってたんですか・・。
「ほれ、今は芸者と女中やろ?酒用意せぇ。」
「は、はい・・・。」
「芸者のおのれは、折角やし注いでもらおうかのう。」
「・・・分かりました。おりょうさん、少し外の様子を見てもらってもいいですか?この方は私がお相手します。」
「分かりました・・またな?」
「はい。」
客間に二人きりになって少し経ったあと、もう一人の男が部屋に入ってきた。
「お、西郷さんも来てたんですか。罠かもしれないのに、さっすが怖いもの知らずですねえ。」
「二人の坂本龍馬。おもろそうな話やないか。・・・そういうお前も、興味あるんとちゃうか?」
「えぇ。興味津々って感じで。・・・と、その人が噂の狂犬の女かな?新撰組の女隊士さん。」
「・・・貴方まで知ってるんですね、桂さん。」
桂小五郎、長州藩藩士。池田屋で斎藤さんが逃したって聞いてたけど・・後から本人に聞いたら、入隊前に面識があったらしい。
この人は、最初から坂本龍馬の存在を知っていたみたい。
「池田屋で君に会えなかったのは残念だな。あの時は、俺も逃げるのに必死だったからさ。」
「・・そうですか・・。」
池田屋・・・本当の父を、私が殺してしまったかもしれない場所・・あんまり思い出したくないな・・。
「・・・私、おりょうさんを見てきます。ごゆっくり。」
その場に居辛く、私は部屋を出る。
・・・桂は、私の父を知っているのかな。名前も知らないから、聞くのも無理な話だけど。
それよりも、今は作戦に集中しなきゃ。おりょうさんを探して、狼煙の準備をしなきゃ———。
「こんな芸者まで用意するとはな。」
「?!」
突然背後から聞こえた男の声。
慌てて振り返ると、そこに立っていたのは白銀の髪のこけた男がいた。
・・・いつの間に後ろに?そもそもいつから近江屋の中に入ったの?!もう協力者なんていないはず・・。
「・・坂本龍馬、と言えば分かってくれるかな?」
「!・・・あ、あなたが・・・武市半平太・・?」
この人が、斎藤さんの兄弟分?
同じ年くらいに見えない・・・もしかして、心労でこんなに老けたの?こんなに老けてしまうなんて・・どれだけの苦労を重ねたんだろう・・・。
「もうすぐ龍馬達が来るんだろう?」
「・・・全部知ってるんですね。だったら話は早いです。観念してください。」
「その前に、君と話がしたくてな。」
「私?」
「・・・君、八神美鈴の娘だろ?」
「——えっ・・・。」
何で・・・お母さんの名前を・・・?
「さぁ話そうか。それくらいの時間はまだ有るはずだ。」
「・・・・・・。」
不敵な笑みを浮かべる武市について行く。
・・・総司さん、ごめんなさい。無理しないって約束・・破ってしまいます。
でも、父の話を聞けるかもしれない。
そうすれば・・・私も前に進めるかもしれないから。
・・・雲が濃い。雨でも降りそうだな・・。討ち入りには足音が聞こえ辛くなるから、好都合ではある。
「おう、お前さん等が新撰組の女たちか?」
「・・・貴方は?」
「ほぅ。京にいてワシの顔を知らんとはのう。まぁええわ。ワシは西郷吉之助や。・・・さ、酒でも用意してもらおか。」
西郷吉之助、薩摩藩軍賊役。
この人が薩摩の代表・・・金髪にその大きな体格が堂々とした風格を物語っている。
西郷は私に近寄ってきて顎に手を当ててくる。
「お前さんえらい別嬪さんやのう。お前が狂犬の女やなかったらワシのモンにしたい程やなぁ。」
「・・・今は作戦中です。・・って、狂犬の女?」
「中岡ちゅうモンから聞いたで。お前さんに手ぇ出したら殺す言うとけ言われたらしいやないか。」
・・・総司さん・・私そんなの聞いてないんですけど・・いつの間に言ってたんですか・・。
「ほれ、今は芸者と女中やろ?酒用意せぇ。」
「は、はい・・・。」
「芸者のおのれは、折角やし注いでもらおうかのう。」
「・・・分かりました。おりょうさん、少し外の様子を見てもらってもいいですか?この方は私がお相手します。」
「分かりました・・またな?」
「はい。」
客間に二人きりになって少し経ったあと、もう一人の男が部屋に入ってきた。
「お、西郷さんも来てたんですか。罠かもしれないのに、さっすが怖いもの知らずですねえ。」
「二人の坂本龍馬。おもろそうな話やないか。・・・そういうお前も、興味あるんとちゃうか?」
「えぇ。興味津々って感じで。・・・と、その人が噂の狂犬の女かな?新撰組の女隊士さん。」
「・・・貴方まで知ってるんですね、桂さん。」
桂小五郎、長州藩藩士。池田屋で斎藤さんが逃したって聞いてたけど・・後から本人に聞いたら、入隊前に面識があったらしい。
この人は、最初から坂本龍馬の存在を知っていたみたい。
「池田屋で君に会えなかったのは残念だな。あの時は、俺も逃げるのに必死だったからさ。」
「・・そうですか・・。」
池田屋・・・本当の父を、私が殺してしまったかもしれない場所・・あんまり思い出したくないな・・。
「・・・私、おりょうさんを見てきます。ごゆっくり。」
その場に居辛く、私は部屋を出る。
・・・桂は、私の父を知っているのかな。名前も知らないから、聞くのも無理な話だけど。
それよりも、今は作戦に集中しなきゃ。おりょうさんを探して、狼煙の準備をしなきゃ———。
「こんな芸者まで用意するとはな。」
「?!」
突然背後から聞こえた男の声。
慌てて振り返ると、そこに立っていたのは白銀の髪のこけた男がいた。
・・・いつの間に後ろに?そもそもいつから近江屋の中に入ったの?!もう協力者なんていないはず・・。
「・・坂本龍馬、と言えば分かってくれるかな?」
「!・・・あ、あなたが・・・武市半平太・・?」
この人が、斎藤さんの兄弟分?
同じ年くらいに見えない・・・もしかして、心労でこんなに老けたの?こんなに老けてしまうなんて・・どれだけの苦労を重ねたんだろう・・・。
「もうすぐ龍馬達が来るんだろう?」
「・・・全部知ってるんですね。だったら話は早いです。観念してください。」
「その前に、君と話がしたくてな。」
「私?」
「・・・君、八神美鈴の娘だろ?」
「——えっ・・・。」
何で・・・お母さんの名前を・・・?
「さぁ話そうか。それくらいの時間はまだ有るはずだ。」
「・・・・・・。」
不敵な笑みを浮かべる武市について行く。
・・・総司さん、ごめんなさい。無理しないって約束・・破ってしまいます。
でも、父の話を聞けるかもしれない。
そうすれば・・・私も前に進めるかもしれないから。