第三部 武士達の最後
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「そうですか・・武田さんは斎藤さんに・・。」
「ワシ等が着いた時にはもう斬っとった。平助も寝かせてきた・・・明日、全部終わらせるんや。」
「会合は無事開かれるんですよね。」
「おう。近江屋を襲撃する。一ちゃんの戦いも終わるし、源さんの仇も取れる。絶対に失敗できひん大事な戦いや。」
”もう一人の坂本龍馬”。その人物は斎藤さんの兄弟分——武市半平太。源さんの死も、京の火も、そして斎藤さんにとって親同然の吉田東洋の暗殺も・・全ての元凶を、明日襲う。
「池田屋ん時よりも激しくなるはずや。シエルは家で待っとるんや。ええな?」
・・・やっぱり、そう言いますよね。
・・・でも、私は・・。
「・・・私も、一緒に行かせてください。」
「シエル・・!」
「これで、最後なんですよね?戦えないけど、女中として潜入することはできるはずです。討ち入りの合図だってできます。」
「そない危険な事、させられる訳ないやろ。」
「お願いです、総司さん!」
「アカン言うとるやろ!!」
総司さんの目は、本当に怒っていた。
私の肩を持ちながら、真っ直ぐ私を見て訴えかけてくる。
「ワシはもうシエルを危ない目に合わせたない。・・・きつい事言うが、もう吾朗として刀を握れんのや。もうシエルはただの女なんや。・・・惚れた女を、戦いの場に連れて行きとうないんや・・分かっとくれ・・・。」
分かってる。総司さんの言いたい事は、分かってる。
おりょうさんも言ってた。笑顔で待っててほしいんじゃないのかって。
それが本当に今総司さんが望んでいる事だって・・・でも、私は・・・。
「・・・ごめんなさい・・でも、これが新撰組としての最後の戦いなら、私も一緒に戦いたいんです。これは私のわがままです。・・お願いします。」
「・・・・。」
沈黙の後、総司さんは少し諦めたような顔をした。
「・・・ずるいでシエル。そないな目されたらワシが弱いの知っとるやろ?」
「総司さん・・・。」
「・・・約束してくれ。絶対に無理はせんと。身の危険を感じたら、すぐ逃げるんや。明日はシエルを守れる余裕はない。・・ええな?」
「・・・分かりました。」
「ならええ。朝一番で歳ちゃんに報告するで。」
・・・本当にごめんなさい。総司さんの望みを叶えられなくて。でも、これが最後なら私も一緒にいたい。
それに・・・愛する人を戦場に見送るなんて、私にはできない。
「・・もう寝ますか?」
「せやな、明日もあるし。」
「お布団敷きます。」
「おおきに。・・・一緒に寝ようや。」
「・・はい、もちろんです。」
小さな布団に二人で入る。
源さんが亡くなって以来、こうして二人で眠る事が多くなった。私達にとって、心癒される時間だ。
「江戸から戻って休みなしやな。えらい疲れたやろ?」
「総司さんこそ、私より休めていないのに・・。」
「心配あらへん、ようあることや。・・そういや、着物似合っとたで。」
「あ・・ありがとうございます・・。」
「ホンマは、ワシの前だけが良かったんやがのう・・明日も潜入するなら女の格好やろ?・・・何か嫌やわ。」
子供みたいなこと言われちゃった・・・。
そりゃ私も総司さんの前だけがいいけど・・・なんか、こんな会話も凄い久しぶりな気がする・・・。
「ふふっ・・。」
「あ?何笑っとるんや?」
「いえ・・拗ねてる総司さん、可愛いですよね。」
「はぁ?何言うてんねん、変なシエルやな。」
「ちょ、髪が崩れちゃいますよ!」
「ヒヒッ変な事言うた仕返しや!」
「も、もぉ!私だって!」
「痛っそれ髪引っ張っとる!」
「ぷっ・・・あはは!」
ここ数日間、本当に辛い時間だった。
ようやく、お互いの顔を見て笑い合う時間ができた。きっと戦いが終われば、もっとこんな時間が増える。
全ては明日——近江屋襲撃がかかってる。
「あの、総司さん。」
「ん?」
「明日が終わったら、京の街を歩きませんか?・・・ただの沖田総司と、ただの八神シエルとして。」
「・・あぁ、もちろんや。約束やで?」
「はい。約束です。」
私達は小さな約束を交わして眠りについた。
「ワシ等が着いた時にはもう斬っとった。平助も寝かせてきた・・・明日、全部終わらせるんや。」
「会合は無事開かれるんですよね。」
「おう。近江屋を襲撃する。一ちゃんの戦いも終わるし、源さんの仇も取れる。絶対に失敗できひん大事な戦いや。」
”もう一人の坂本龍馬”。その人物は斎藤さんの兄弟分——武市半平太。源さんの死も、京の火も、そして斎藤さんにとって親同然の吉田東洋の暗殺も・・全ての元凶を、明日襲う。
「池田屋ん時よりも激しくなるはずや。シエルは家で待っとるんや。ええな?」
・・・やっぱり、そう言いますよね。
・・・でも、私は・・。
「・・・私も、一緒に行かせてください。」
「シエル・・!」
「これで、最後なんですよね?戦えないけど、女中として潜入することはできるはずです。討ち入りの合図だってできます。」
「そない危険な事、させられる訳ないやろ。」
「お願いです、総司さん!」
「アカン言うとるやろ!!」
総司さんの目は、本当に怒っていた。
私の肩を持ちながら、真っ直ぐ私を見て訴えかけてくる。
「ワシはもうシエルを危ない目に合わせたない。・・・きつい事言うが、もう吾朗として刀を握れんのや。もうシエルはただの女なんや。・・・惚れた女を、戦いの場に連れて行きとうないんや・・分かっとくれ・・・。」
分かってる。総司さんの言いたい事は、分かってる。
おりょうさんも言ってた。笑顔で待っててほしいんじゃないのかって。
それが本当に今総司さんが望んでいる事だって・・・でも、私は・・・。
「・・・ごめんなさい・・でも、これが新撰組としての最後の戦いなら、私も一緒に戦いたいんです。これは私のわがままです。・・お願いします。」
「・・・・。」
沈黙の後、総司さんは少し諦めたような顔をした。
「・・・ずるいでシエル。そないな目されたらワシが弱いの知っとるやろ?」
「総司さん・・・。」
「・・・約束してくれ。絶対に無理はせんと。身の危険を感じたら、すぐ逃げるんや。明日はシエルを守れる余裕はない。・・ええな?」
「・・・分かりました。」
「ならええ。朝一番で歳ちゃんに報告するで。」
・・・本当にごめんなさい。総司さんの望みを叶えられなくて。でも、これが最後なら私も一緒にいたい。
それに・・・愛する人を戦場に見送るなんて、私にはできない。
「・・もう寝ますか?」
「せやな、明日もあるし。」
「お布団敷きます。」
「おおきに。・・・一緒に寝ようや。」
「・・はい、もちろんです。」
小さな布団に二人で入る。
源さんが亡くなって以来、こうして二人で眠る事が多くなった。私達にとって、心癒される時間だ。
「江戸から戻って休みなしやな。えらい疲れたやろ?」
「総司さんこそ、私より休めていないのに・・。」
「心配あらへん、ようあることや。・・そういや、着物似合っとたで。」
「あ・・ありがとうございます・・。」
「ホンマは、ワシの前だけが良かったんやがのう・・明日も潜入するなら女の格好やろ?・・・何か嫌やわ。」
子供みたいなこと言われちゃった・・・。
そりゃ私も総司さんの前だけがいいけど・・・なんか、こんな会話も凄い久しぶりな気がする・・・。
「ふふっ・・。」
「あ?何笑っとるんや?」
「いえ・・拗ねてる総司さん、可愛いですよね。」
「はぁ?何言うてんねん、変なシエルやな。」
「ちょ、髪が崩れちゃいますよ!」
「ヒヒッ変な事言うた仕返しや!」
「も、もぉ!私だって!」
「痛っそれ髪引っ張っとる!」
「ぷっ・・・あはは!」
ここ数日間、本当に辛い時間だった。
ようやく、お互いの顔を見て笑い合う時間ができた。きっと戦いが終われば、もっとこんな時間が増える。
全ては明日——近江屋襲撃がかかってる。
「あの、総司さん。」
「ん?」
「明日が終わったら、京の街を歩きませんか?・・・ただの沖田総司と、ただの八神シエルとして。」
「・・あぁ、もちろんや。約束やで?」
「はい。約束です。」
私達は小さな約束を交わして眠りについた。