第一部 仮面の選択
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「どや?落ち着いたか?」
「はい・・お見苦しいところをお見せして・・申し訳ありません。」
「別にかまへんわ。」
しばらくして、やっと涙が落ち着いた。
・・・”私”が人前で泣いたのは、いつ以来かな・・・おかげで少し気持ちが楽になった・・・。
”俺”に切り替え、沖田隊長に感謝を告げる。
「ほんで・・何があったんや?新八ちゃんに何か言われたんか?」
「いえ、永倉隊長は何も・・ただ・・・。」
「ただ?何や?」
・・・自分が女と明かせない以上、なんと伝えればいいんだろうか・・・。
「・・・隊長は、自分を否定されたことはありますか?」
「否定?」
「・・俺は、本当の自分をずっと隠して生きてきたんです。父の望む八神吾朗になる為に・・・でも、否定したことはないんです・・いや、否定したくなかった。そうじゃなきゃ、生きていけない・・・耐えられないんです・・。」
「・・・。」
「・・・さっき、俺は初めてそれを否定しました。この体では限界があると、否定してしまったんです・・・そんな自分が嫌で・・さっきは・・・。父が望む、八神吾朗にならなきゃいけないのに・・・こんな感情、駄目なのに・・。」
入隊したばかりの人間にこんな事言われても困らせるだけなのは分かってる。
でも・・・誰かに話したい。誰かに分かってほしい。誰かに認めてほしい。こんな俺を。・・・俺はなんてわがままなんだ。
「・・・せやけど、お前は八神吾朗になれとるやろ。」
・・え・・・?
「自分の何を否定したのか知らんが、あん時刀を交えたんは八神吾朗や。親父さんの望んどるもんとはちゃうかもしれんが、お前はお前や。それじゃあかんのか?」
「・・・沖田隊長・・・。」
「ワシが認めとる八神吾朗はお前だけや。それでええやないか。」
隊長が・・・俺を認めてくれてる。
胸の高鳴りが収まらない。”俺”を認めてくれる。
じゃあ・・・”私”は?
「・・・沖田さんは・・・”私”の事も、認めてくれますか・・?」
「・・・八神ちゃん?」
———!!
「・・・何でもありません。とんだご迷惑をおかけしました。もう大丈夫です。」
早く離れなきゃ・・・”私”がまた出る前に・・!
「待ちぃや。」
立ち上がった俺の腕を、沖田隊長が掴んでくる。
「・・っ・・・!」
「何を隠しとる。話せや。」
「・・・話せ、ません・・・。」
「隊長命令でもか。」
「・・・・。」
話したい・・・話してしまいたい・・・今話したら、どうなるんだろう・・・。
「・・・今日はもう帰れ。・・・そないな奴がおったら、士気が下がるわ。」
「・・っ・・・申し訳ありません・・・。」
他の隊士に見られないように下を向きながら屯所を後にする。こんな自分の顔・・・誰にも見られたくない・・・。
自分に余裕がないから、その後の沖田隊長の言葉なんか耳にも入らなかった。
「・・くそっ。何やねん・・・男相手に、何むきになっとんねん・・・。」
「はい・・お見苦しいところをお見せして・・申し訳ありません。」
「別にかまへんわ。」
しばらくして、やっと涙が落ち着いた。
・・・”私”が人前で泣いたのは、いつ以来かな・・・おかげで少し気持ちが楽になった・・・。
”俺”に切り替え、沖田隊長に感謝を告げる。
「ほんで・・何があったんや?新八ちゃんに何か言われたんか?」
「いえ、永倉隊長は何も・・ただ・・・。」
「ただ?何や?」
・・・自分が女と明かせない以上、なんと伝えればいいんだろうか・・・。
「・・・隊長は、自分を否定されたことはありますか?」
「否定?」
「・・俺は、本当の自分をずっと隠して生きてきたんです。父の望む八神吾朗になる為に・・・でも、否定したことはないんです・・いや、否定したくなかった。そうじゃなきゃ、生きていけない・・・耐えられないんです・・。」
「・・・。」
「・・・さっき、俺は初めてそれを否定しました。この体では限界があると、否定してしまったんです・・・そんな自分が嫌で・・さっきは・・・。父が望む、八神吾朗にならなきゃいけないのに・・・こんな感情、駄目なのに・・。」
入隊したばかりの人間にこんな事言われても困らせるだけなのは分かってる。
でも・・・誰かに話したい。誰かに分かってほしい。誰かに認めてほしい。こんな俺を。・・・俺はなんてわがままなんだ。
「・・・せやけど、お前は八神吾朗になれとるやろ。」
・・え・・・?
「自分の何を否定したのか知らんが、あん時刀を交えたんは八神吾朗や。親父さんの望んどるもんとはちゃうかもしれんが、お前はお前や。それじゃあかんのか?」
「・・・沖田隊長・・・。」
「ワシが認めとる八神吾朗はお前だけや。それでええやないか。」
隊長が・・・俺を認めてくれてる。
胸の高鳴りが収まらない。”俺”を認めてくれる。
じゃあ・・・”私”は?
「・・・沖田さんは・・・”私”の事も、認めてくれますか・・?」
「・・・八神ちゃん?」
———!!
「・・・何でもありません。とんだご迷惑をおかけしました。もう大丈夫です。」
早く離れなきゃ・・・”私”がまた出る前に・・!
「待ちぃや。」
立ち上がった俺の腕を、沖田隊長が掴んでくる。
「・・っ・・・!」
「何を隠しとる。話せや。」
「・・・話せ、ません・・・。」
「隊長命令でもか。」
「・・・・。」
話したい・・・話してしまいたい・・・今話したら、どうなるんだろう・・・。
「・・・今日はもう帰れ。・・・そないな奴がおったら、士気が下がるわ。」
「・・っ・・・申し訳ありません・・・。」
他の隊士に見られないように下を向きながら屯所を後にする。こんな自分の顔・・・誰にも見られたくない・・・。
自分に余裕がないから、その後の沖田隊長の言葉なんか耳にも入らなかった。
「・・くそっ。何やねん・・・男相手に、何むきになっとんねん・・・。」