第三部 武士達の最後
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「——?シエル、起きれるか?」
「・・・総司・・さん・・?」
「これから屯所行ってくるで。シエルは休んどき。」
「え・・わ、私も・・。」
「歳ちゃんが休んでええ言うてたわ。早めに戻るから、待っとってな?」
「・・・分かりました。」
「ん、ええ返事や。行ってくるで。」
総司さんはそう言うと、優しい口付けをして家を出て行った。
「・・・。」
昨日は総司さんに抱えられながら家に帰って、そのまま死んだように眠りについたのを覚えてる。
何か話しかけられたように気がするけど、覚えてない。
「・・・。」
部屋の隅に置かれた私の小太刀に目がいき、布団から出て手に持ってみる。
昨日程ではないけど、腕が震えていた。
・・・本当に、刀を持つことが怖くなってる・・。まだ新撰組の八神吾朗としてやる事はあるのに・・・このままじゃ、何もできない・・!
・・・・近藤さんは見つかったのかな。確か昨日斎藤さんが探してるって総司さんが言ってたけど、どうなったかな・・・。
街に出れば、何か分かるかもしれない。
「・・・そうだ・・確か前に買った着物があったな・・・。」
新撰組が火をつけた疑いがある中で、法被を着て歩く訳にはいかない。どちらにしても、刀を持てないなら吾朗として歩く必要ないし・・・。
「・・っしょ・・・変じゃ、ないよね・・?」
シエルとして街を歩くなんて初めてだから、少し怖い・・。
でも、今行かなきゃ・・・このまま家で待ってても、昨日の事を思い出して辛いだけ。
私は意を決して、街へ出た。
「おーい、その木材こっちに少しくれへんか?!」
「おぉ、いくらでも使いや!」
「みなさーん!お疲れどす!握り飯ありますよー!」
昨日の夜泣き叫ぶしかできなかった住人達が、今は再建しようとみんなで協力して頑張っていた。
京の人達は・・こんなに心が強いんだ。立ち止まっているだけじゃ何もできない。前を行こうとしてる。
(それなのに、私は・・・。)
「あ、お嬢さん!」
「え?」
私に声をかけてきたのは、初めて京に来た時に寄ったうどん屋の店主だった。
「良かったらうどん、食べて行かへんか?」
「えっ・・・い、いいんですか?今大変なんじゃ・・。」
「まぁ確かに・・せやけど、何や辛そうな顔しとったからな!うどんでも食うて元気だしぃや!」
「あっ・・ありがとうございます・・!」
この人だって、昨日街では泣いていたはずだ。店の一部を焼かれて、もしかしたらご家族や従業員が怪我をしたのかもしれない。
でも今では私みたいな人間に気を遣って声を掛けてくれる。
・・・よく見たら、店の中に割と人がいるなぁ・・みんな少し元気がなさそう・・・でも、従業員の人達は明るい笑顔でうどんを運んでいる。
(凄いなぁ・・・みんな・・。)
「へいお待ち!熱いうちにどうぞ!」
「わぁ・・美味しそう!いただきます!」
久しぶりに食べたうどんの味は、とても美味しかった。
・・・私は、この街を壊したかもしれない新撰組の一員なのに・・・こんな良くしてもらって・・・。
(ごめんなさい・・ごめんなさい・・・。)
泣きそうな目を必死に抑えながら、最後までうどんを食べた。
「・・・総司・・さん・・?」
「これから屯所行ってくるで。シエルは休んどき。」
「え・・わ、私も・・。」
「歳ちゃんが休んでええ言うてたわ。早めに戻るから、待っとってな?」
「・・・分かりました。」
「ん、ええ返事や。行ってくるで。」
総司さんはそう言うと、優しい口付けをして家を出て行った。
「・・・。」
昨日は総司さんに抱えられながら家に帰って、そのまま死んだように眠りについたのを覚えてる。
何か話しかけられたように気がするけど、覚えてない。
「・・・。」
部屋の隅に置かれた私の小太刀に目がいき、布団から出て手に持ってみる。
昨日程ではないけど、腕が震えていた。
・・・本当に、刀を持つことが怖くなってる・・。まだ新撰組の八神吾朗としてやる事はあるのに・・・このままじゃ、何もできない・・!
・・・・近藤さんは見つかったのかな。確か昨日斎藤さんが探してるって総司さんが言ってたけど、どうなったかな・・・。
街に出れば、何か分かるかもしれない。
「・・・そうだ・・確か前に買った着物があったな・・・。」
新撰組が火をつけた疑いがある中で、法被を着て歩く訳にはいかない。どちらにしても、刀を持てないなら吾朗として歩く必要ないし・・・。
「・・っしょ・・・変じゃ、ないよね・・?」
シエルとして街を歩くなんて初めてだから、少し怖い・・。
でも、今行かなきゃ・・・このまま家で待ってても、昨日の事を思い出して辛いだけ。
私は意を決して、街へ出た。
「おーい、その木材こっちに少しくれへんか?!」
「おぉ、いくらでも使いや!」
「みなさーん!お疲れどす!握り飯ありますよー!」
昨日の夜泣き叫ぶしかできなかった住人達が、今は再建しようとみんなで協力して頑張っていた。
京の人達は・・こんなに心が強いんだ。立ち止まっているだけじゃ何もできない。前を行こうとしてる。
(それなのに、私は・・・。)
「あ、お嬢さん!」
「え?」
私に声をかけてきたのは、初めて京に来た時に寄ったうどん屋の店主だった。
「良かったらうどん、食べて行かへんか?」
「えっ・・・い、いいんですか?今大変なんじゃ・・。」
「まぁ確かに・・せやけど、何や辛そうな顔しとったからな!うどんでも食うて元気だしぃや!」
「あっ・・ありがとうございます・・!」
この人だって、昨日街では泣いていたはずだ。店の一部を焼かれて、もしかしたらご家族や従業員が怪我をしたのかもしれない。
でも今では私みたいな人間に気を遣って声を掛けてくれる。
・・・よく見たら、店の中に割と人がいるなぁ・・みんな少し元気がなさそう・・・でも、従業員の人達は明るい笑顔でうどんを運んでいる。
(凄いなぁ・・・みんな・・。)
「へいお待ち!熱いうちにどうぞ!」
「わぁ・・美味しそう!いただきます!」
久しぶりに食べたうどんの味は、とても美味しかった。
・・・私は、この街を壊したかもしれない新撰組の一員なのに・・・こんな良くしてもらって・・・。
(ごめんなさい・・ごめんなさい・・・。)
泣きそうな目を必死に抑えながら、最後までうどんを食べた。