第三部 武士達の最後
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「やはりここにいたのか。随分探したぞ・・手紙を送って落ち着くと思っていたが、手こずらせおって・・。」
「・・・シエル、コイツが?」
「そのようやな・・。」
父上の声で、体が動かない。
父上に犯された日々を思い出してうまく呼吸ができない。
どうしよう・・どうすれば・・違う、父上を斬らなきゃ・・でも、息が・・体が・・・・。
「美鈴よ、こちらへ来い。お前には儂の子を産むという大事な事があるのだ。もうそのような連中と一緒にいる必要はない。」
「娘を抱き孕ませる事が大事な事か。世も末だな。」
「貴様ら百姓上がりの奴等に何が分かる。地位を上げ維持する為には、多少の犠牲は必要なのだ。」
「多少やと?お前さん、こいつの人生を狂わせといて何を言うとるんや!こいつが、あんたに何をしたんや!」
「黙れっ!元々そいつを産んだ母親が全ての元凶だ!私を裏切って、他の男と子を作ったのだ!それがそいつだ!そいつが産まれた事によって全てが狂い始めたのだ!!だからそいつは道具以外何でもない!!大人しく儂の子を産んで八神家を繫栄させればいいのだ!!」
”道具”。
やっぱり・・・この人は私を道具としてしか見ていなかったんだ。私が産まれたから・・・望まれてもいないのに・・・私は、いらない子供だったんだ・・・。
「”吾朗”や”美鈴”なんて名前をつけたんはその為かいな。くだらんな。」
聞き覚えのある声が父上の後ろから聞こえる。
(——総司さんだ。)
総司さんは振り返った父上を鬼の形相で睨んでいた。
こんなに怖い顔の総司さん・・・初めて・・。
「あんたは”吾朗”っちゅう自分を認めてほしかったんとちゃうんか?惚れてた”美鈴”っちゅう女を愛したかったんとちゃうんか?その為に”シエル”っちゅうたった一つの大事な名前を失くそうとしたんか?」
「な、何だ貴様・・!」
「あんたの勝手な野望の為に、自分の欲望を満たす為に、自分の娘をそない扱うんか?シエルはシエルや。”吾朗”でも”美鈴”でもない。たった一人のシエルなんや。それを勝手に失くそうとするんなんて、そない酷い事ないやろが!!」
たった一人の私・・・。
総司さんは、そのたった一人の私を見てくれている。私を必要としてくれている。
「う・・五月蠅い!!こいつは私の子ではない!!」
「ここまで育てた時点でもう親同然や。たとえ道具だったとしてもな。」
「くそっ・・黙れ黙れ!!儂はもっと上に!!もっと上に行くべき男なのだぁぁ!!!!」
父上が総司さんに銃を向けたその瞬間——さっきまで動けなかった体が動き、父上の背後に向かって走っていく。
(総司さんが私を認めてくれている——それだけで、私は充分・・・。)
何の躊躇いもなく、私は父上を背後から突き刺す。
実の父じゃないから?・・・ううん、違う。私を認めてくれる愛する人に、この男が銃を向けたからだ。
私は父を斬ったんじゃない。総司さんを殺そうとした男を斬っただけだ。
「な・・・み、みす・・ず・・・。」
「・・・さようなら。八神吾朗。」
振り向いた男の喉に小刀を置き、そのまま横へ引く。
首から大量の血が流れ、男はそのまま絶命した。絶命した男を、私は返り血を浴びた体で冷酷に見つめた。
(——終わった。これで・・・終わったんだ。)
「・・・シエル、コイツが?」
「そのようやな・・。」
父上の声で、体が動かない。
父上に犯された日々を思い出してうまく呼吸ができない。
どうしよう・・どうすれば・・違う、父上を斬らなきゃ・・でも、息が・・体が・・・・。
「美鈴よ、こちらへ来い。お前には儂の子を産むという大事な事があるのだ。もうそのような連中と一緒にいる必要はない。」
「娘を抱き孕ませる事が大事な事か。世も末だな。」
「貴様ら百姓上がりの奴等に何が分かる。地位を上げ維持する為には、多少の犠牲は必要なのだ。」
「多少やと?お前さん、こいつの人生を狂わせといて何を言うとるんや!こいつが、あんたに何をしたんや!」
「黙れっ!元々そいつを産んだ母親が全ての元凶だ!私を裏切って、他の男と子を作ったのだ!それがそいつだ!そいつが産まれた事によって全てが狂い始めたのだ!!だからそいつは道具以外何でもない!!大人しく儂の子を産んで八神家を繫栄させればいいのだ!!」
”道具”。
やっぱり・・・この人は私を道具としてしか見ていなかったんだ。私が産まれたから・・・望まれてもいないのに・・・私は、いらない子供だったんだ・・・。
「”吾朗”や”美鈴”なんて名前をつけたんはその為かいな。くだらんな。」
聞き覚えのある声が父上の後ろから聞こえる。
(——総司さんだ。)
総司さんは振り返った父上を鬼の形相で睨んでいた。
こんなに怖い顔の総司さん・・・初めて・・。
「あんたは”吾朗”っちゅう自分を認めてほしかったんとちゃうんか?惚れてた”美鈴”っちゅう女を愛したかったんとちゃうんか?その為に”シエル”っちゅうたった一つの大事な名前を失くそうとしたんか?」
「な、何だ貴様・・!」
「あんたの勝手な野望の為に、自分の欲望を満たす為に、自分の娘をそない扱うんか?シエルはシエルや。”吾朗”でも”美鈴”でもない。たった一人のシエルなんや。それを勝手に失くそうとするんなんて、そない酷い事ないやろが!!」
たった一人の私・・・。
総司さんは、そのたった一人の私を見てくれている。私を必要としてくれている。
「う・・五月蠅い!!こいつは私の子ではない!!」
「ここまで育てた時点でもう親同然や。たとえ道具だったとしてもな。」
「くそっ・・黙れ黙れ!!儂はもっと上に!!もっと上に行くべき男なのだぁぁ!!!!」
父上が総司さんに銃を向けたその瞬間——さっきまで動けなかった体が動き、父上の背後に向かって走っていく。
(総司さんが私を認めてくれている——それだけで、私は充分・・・。)
何の躊躇いもなく、私は父上を背後から突き刺す。
実の父じゃないから?・・・ううん、違う。私を認めてくれる愛する人に、この男が銃を向けたからだ。
私は父を斬ったんじゃない。総司さんを殺そうとした男を斬っただけだ。
「な・・・み、みす・・ず・・・。」
「・・・さようなら。八神吾朗。」
振り向いた男の喉に小刀を置き、そのまま横へ引く。
首から大量の血が流れ、男はそのまま絶命した。絶命した男を、私は返り血を浴びた体で冷酷に見つめた。
(——終わった。これで・・・終わったんだ。)