外伝ー隻眼物語ー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「総司。おい総司、聞いているのか。」
「・・・あ?」
「全く・・・。」
『・・・みな、いで・・私、を・・・みない・・・で・・・。』
あん時の八神ちゃんの顔が頭から離れん。おかげで全然仕事にならん。夜にはまた旭屋に向かうが、それまで待てへんで・・・。
「・・・八神君の事か?」
「・・・歳ちゃん。アイツは・・・あの子はどうなるんや?・・殺すんか?」
「それを決めるのは私ではない。近藤さんだ。」
「・・・・。」
「はぁ・・・もういい。お前はもう旭屋へ向かえ。」
「!・・・ええんか?」
「どのみちその様子じゃ隊士達に影響が出る。早く行け。」
「・・・おおきに。」
旭屋——
八神ちゃんのおる部屋に入ると、静かに寝ておった。
起こさんように静かに近づき、頭を撫でる。・・・目の近くに涙が乾いた跡があるのう。また泣いとったんか。
・・・そらそうか。父親に犯されたんや。怖かったやろうな・・・。
(・・・このまま、ずっと寝てしまうんやろうか・・。)
辛い現実から逃げとうて、このまま起きん可能性もある。
その方がええ。忘れた方がええ。逃げてもええ。
せやけど・・・ワシは、この子に目が覚めてほしい思うてしまう。
ワシが守ったる。絶対守ったるから。
だから・・・起きとくれ・・・。
「・・・ホンマの名前、なんていうんやろうな・・・。」
起きた時に教えてほしい。
八神ちゃんのホンマの名前を。ワシは、その名前を呼んでやりたい。ワシみたいに本当の名を一生語れんわけやない。
呼んでやりたい。本当の、名前を・・・・。
(・・ん・・・何や頬が暖かいのう・・いかん、いつの間にか寝てしもうたか。)
重い瞼を開けると———
「す、すみません。」
そこには、ワシは本気で守りたいと思った女がおった。
起きてほしいと願った女がおった。
「起こし——?!」
ワシはその女を抱きしめとった。
ごめんなさいと、ただ泣いてひたすら謝る女を、ただ抱きしめとった。
「なんも言うな・・・今は、なんも言わんでええ・・・お前が無事で何よりや・・・ワシは、それだけでええ・・・!」
そう、それだけでええ。
起きてくれた。それだけで充分や。
「・・・シエル・・・私の本当の、名前は・・・八神シエルです・・・。」
・・・八神・・・・シエル・・・・。
それが、ホンマの名前なんやな。
「・・・シエル・・・ええ名前や。」
シエルの顔は、何かを我慢しとる顔やなかった。
これが、ホンマの八神シエルの顔なんや。
(やっと・・・やっと会えたわ。)
ワシ等は唇を近づけ、互いを求め始める。
コイツが欲しい。コイツを守りたい。
ワシのもんや。誰にも渡しとうない。
(そうか・・・ずっと惚れとったんや。この子に・・・惚れとったんや。)
八神シエルが好きや。
その感情をようやく自覚し、ワシの欲望は止まらんくなった。どんなに求めても足りん。
(シエル・・・好きや・・・。)
この想いを伝える。
ワシのもんにする為に。ワシが守る為に。
「・・・あ?」
「全く・・・。」
『・・・みな、いで・・私、を・・・みない・・・で・・・。』
あん時の八神ちゃんの顔が頭から離れん。おかげで全然仕事にならん。夜にはまた旭屋に向かうが、それまで待てへんで・・・。
「・・・八神君の事か?」
「・・・歳ちゃん。アイツは・・・あの子はどうなるんや?・・殺すんか?」
「それを決めるのは私ではない。近藤さんだ。」
「・・・・。」
「はぁ・・・もういい。お前はもう旭屋へ向かえ。」
「!・・・ええんか?」
「どのみちその様子じゃ隊士達に影響が出る。早く行け。」
「・・・おおきに。」
旭屋——
八神ちゃんのおる部屋に入ると、静かに寝ておった。
起こさんように静かに近づき、頭を撫でる。・・・目の近くに涙が乾いた跡があるのう。また泣いとったんか。
・・・そらそうか。父親に犯されたんや。怖かったやろうな・・・。
(・・・このまま、ずっと寝てしまうんやろうか・・。)
辛い現実から逃げとうて、このまま起きん可能性もある。
その方がええ。忘れた方がええ。逃げてもええ。
せやけど・・・ワシは、この子に目が覚めてほしい思うてしまう。
ワシが守ったる。絶対守ったるから。
だから・・・起きとくれ・・・。
「・・・ホンマの名前、なんていうんやろうな・・・。」
起きた時に教えてほしい。
八神ちゃんのホンマの名前を。ワシは、その名前を呼んでやりたい。ワシみたいに本当の名を一生語れんわけやない。
呼んでやりたい。本当の、名前を・・・・。
(・・ん・・・何や頬が暖かいのう・・いかん、いつの間にか寝てしもうたか。)
重い瞼を開けると———
「す、すみません。」
そこには、ワシは本気で守りたいと思った女がおった。
起きてほしいと願った女がおった。
「起こし——?!」
ワシはその女を抱きしめとった。
ごめんなさいと、ただ泣いてひたすら謝る女を、ただ抱きしめとった。
「なんも言うな・・・今は、なんも言わんでええ・・・お前が無事で何よりや・・・ワシは、それだけでええ・・・!」
そう、それだけでええ。
起きてくれた。それだけで充分や。
「・・・シエル・・・私の本当の、名前は・・・八神シエルです・・・。」
・・・八神・・・・シエル・・・・。
それが、ホンマの名前なんやな。
「・・・シエル・・・ええ名前や。」
シエルの顔は、何かを我慢しとる顔やなかった。
これが、ホンマの八神シエルの顔なんや。
(やっと・・・やっと会えたわ。)
ワシ等は唇を近づけ、互いを求め始める。
コイツが欲しい。コイツを守りたい。
ワシのもんや。誰にも渡しとうない。
(そうか・・・ずっと惚れとったんや。この子に・・・惚れとったんや。)
八神シエルが好きや。
その感情をようやく自覚し、ワシの欲望は止まらんくなった。どんなに求めても足りん。
(シエル・・・好きや・・・。)
この想いを伝える。
ワシのもんにする為に。ワシが守る為に。