第三部 武士達の最後
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揺られる船の上で一人海を見る。
・・・何も知らなかった。私はお母さんに捨てられていなかった。むしろ、私は守られていたんだ。自分が愛した人との約束の為に、お母さんは守ってくれていた。
でも、私を道具として生かす為に父上に殺された。
そして実の父は・・・私が殺したのかもしれない。
「・・・・・・。」
色々知りすぎて頭が痛い。
椿はもういいんですって言ってたけど、私だって・・・もういいなら、こんな人生終わらせたい。でも・・・自分で終わらせる勇気がない。
今だって、何で船に乗ったんだろうって分からなくなってる。
京で父上を探してどうするの?お母さんの仇?覚えていない人の為に?父上を恨んでもないのに斬る?
(私・・・何の為にここにいるんだっけ。)
「シエルちゃん。」
後ろから聞こえるのは、総司さんの声。
いつもの優しい声で私を後ろから静かに抱きしめてくれる。
「今日はえらい驚いたのう。色々言われて疲れたやろ?休も、な?」
「・・・・・。」
「・・・そか・・なら、ワシもここにおる。こうしてれば寒ないやろ?」
「・・・・。」
「しっかしまさか椿ちゃんの偽情報にまんまと騙されてしもうたな。ワシに任せとき、必ず親父さん見つけてワシが懲らしめたるからな。」
総司さんは私を励まそうとしている。それは充分に伝わってる。
でも・・・今は・・・それに甘える事が出来ない。
「・・・総司さん。」
「ん?何や?」
「・・・そのまま、私の首・・・しめてもらえませんか?」
「・・・・。」
元凶は、私だったんだ。
私が産まれなければ、こんな事にはならなかった。父上の犯されたあの数日間も、私がいなければあんな事は起きなかった。
新撰組のみんなに・・総司さんにいっぱい迷惑をかけた。
「もう、これ以上・・・私の存在で、迷惑をかけたくないです・・・。」
「・・・ほんならシエル殺した後にワシも自害する。」
・・・・?どうしてそうなるの・・?
「シエルがおらん世の中なんて生きててもしゃあないからな。せやったら一緒に死んだ方がよっぽどええわ。」
「・・総司さんは、新撰組にとって必要な存在なんです。ここで死んだら京は・・新撰組はどうなるんです?」
「その言葉そのまま返すわ。シエルがおらんくなったら、ワシはどうしたらええんじゃ。」
総司さんの私を抱きしめる力が強くなる。
少し顔を後ろに向けて総司さんの目を見ると、辛そうな目をしていた。
「総司さん・・?」
「これはワシの我儘や。ワシはシエルを失いとうない。惚れた女の願いは聞いてやりたいが・・それだけは聞けん。新撰組としての戦いが終わって・・・結婚して・・ずっと一緒にいたいんや。ワシは・・もう目の前で大事な人が消えるんは、絶対に嫌なんや!」
”大事な人が目の前で消える”。
その言葉に、私は源さんを思い出す。総司さんにとって師匠であり、父のような人だった。
そんな人が殺されても、総司さんは今日まで戦ってきた。泣いた時もあったけど、立ち上がって生きてるんだ。
私という存在を守る為に・・・そうだ、私はこの人の気持ちに応えるって決めたんだ。
女として愛する人の隣で生きる。そう決めたんだ。
なのに・・・それを見失って、愛する人に殺させようと——
「っ・・ごめ、なさ・・・総司さっ・・ごめんなさい・・っ!」
「・・ワシこそすまん・・・お前の願いを聞けん、酷い男や。」
「そんなことっないっ・・・!」
泣きじゃくる私を抱きしめながら総司さんは頭を撫でてくれる。
この手に、私は何度救われてきたんだろう。
その後京に戻るまでの数日間、私は船の中でひたすら総司さんの手を握りながら眠っていた。
生きる目標を見失わない為に。
京——
「んぁ~~やっと着いたわ!もう体ガタガタやで・・・。」
「とりあえず寺田屋に向かうか。大政奉還がなったか確かめたい。」
「分かりました。」
「ワシ早くシエルちゃんとのんびりしたいんやけど・・・。」
「そんなの知るか・・・。」
総司さん・・それは私も嬉しいしそうしたいけど、まずは確認しないと・・。
「・・・?」
「シエル、どうした?」
「何か・・夜にしては明るくないですか?それに、焦げ臭い・・。」
「言われてみればそうやな・・・。」
何だろう・・嫌な予感がする。
私達は速足で伏見へ急ぐ。
そこには———
「——?!」
「何や・・・どないなっとるんや・・?!」
「まさか・・・間に合わなかったってのか・・!?」
京の街が———炎に包まれていた。
・・・何も知らなかった。私はお母さんに捨てられていなかった。むしろ、私は守られていたんだ。自分が愛した人との約束の為に、お母さんは守ってくれていた。
でも、私を道具として生かす為に父上に殺された。
そして実の父は・・・私が殺したのかもしれない。
「・・・・・・。」
色々知りすぎて頭が痛い。
椿はもういいんですって言ってたけど、私だって・・・もういいなら、こんな人生終わらせたい。でも・・・自分で終わらせる勇気がない。
今だって、何で船に乗ったんだろうって分からなくなってる。
京で父上を探してどうするの?お母さんの仇?覚えていない人の為に?父上を恨んでもないのに斬る?
(私・・・何の為にここにいるんだっけ。)
「シエルちゃん。」
後ろから聞こえるのは、総司さんの声。
いつもの優しい声で私を後ろから静かに抱きしめてくれる。
「今日はえらい驚いたのう。色々言われて疲れたやろ?休も、な?」
「・・・・・。」
「・・・そか・・なら、ワシもここにおる。こうしてれば寒ないやろ?」
「・・・・。」
「しっかしまさか椿ちゃんの偽情報にまんまと騙されてしもうたな。ワシに任せとき、必ず親父さん見つけてワシが懲らしめたるからな。」
総司さんは私を励まそうとしている。それは充分に伝わってる。
でも・・・今は・・・それに甘える事が出来ない。
「・・・総司さん。」
「ん?何や?」
「・・・そのまま、私の首・・・しめてもらえませんか?」
「・・・・。」
元凶は、私だったんだ。
私が産まれなければ、こんな事にはならなかった。父上の犯されたあの数日間も、私がいなければあんな事は起きなかった。
新撰組のみんなに・・総司さんにいっぱい迷惑をかけた。
「もう、これ以上・・・私の存在で、迷惑をかけたくないです・・・。」
「・・・ほんならシエル殺した後にワシも自害する。」
・・・・?どうしてそうなるの・・?
「シエルがおらん世の中なんて生きててもしゃあないからな。せやったら一緒に死んだ方がよっぽどええわ。」
「・・総司さんは、新撰組にとって必要な存在なんです。ここで死んだら京は・・新撰組はどうなるんです?」
「その言葉そのまま返すわ。シエルがおらんくなったら、ワシはどうしたらええんじゃ。」
総司さんの私を抱きしめる力が強くなる。
少し顔を後ろに向けて総司さんの目を見ると、辛そうな目をしていた。
「総司さん・・?」
「これはワシの我儘や。ワシはシエルを失いとうない。惚れた女の願いは聞いてやりたいが・・それだけは聞けん。新撰組としての戦いが終わって・・・結婚して・・ずっと一緒にいたいんや。ワシは・・もう目の前で大事な人が消えるんは、絶対に嫌なんや!」
”大事な人が目の前で消える”。
その言葉に、私は源さんを思い出す。総司さんにとって師匠であり、父のような人だった。
そんな人が殺されても、総司さんは今日まで戦ってきた。泣いた時もあったけど、立ち上がって生きてるんだ。
私という存在を守る為に・・・そうだ、私はこの人の気持ちに応えるって決めたんだ。
女として愛する人の隣で生きる。そう決めたんだ。
なのに・・・それを見失って、愛する人に殺させようと——
「っ・・ごめ、なさ・・・総司さっ・・ごめんなさい・・っ!」
「・・ワシこそすまん・・・お前の願いを聞けん、酷い男や。」
「そんなことっないっ・・・!」
泣きじゃくる私を抱きしめながら総司さんは頭を撫でてくれる。
この手に、私は何度救われてきたんだろう。
その後京に戻るまでの数日間、私は船の中でひたすら総司さんの手を握りながら眠っていた。
生きる目標を見失わない為に。
京——
「んぁ~~やっと着いたわ!もう体ガタガタやで・・・。」
「とりあえず寺田屋に向かうか。大政奉還がなったか確かめたい。」
「分かりました。」
「ワシ早くシエルちゃんとのんびりしたいんやけど・・・。」
「そんなの知るか・・・。」
総司さん・・それは私も嬉しいしそうしたいけど、まずは確認しないと・・。
「・・・?」
「シエル、どうした?」
「何か・・夜にしては明るくないですか?それに、焦げ臭い・・。」
「言われてみればそうやな・・・。」
何だろう・・嫌な予感がする。
私達は速足で伏見へ急ぐ。
そこには———
「——?!」
「何や・・・どないなっとるんや・・?!」
「まさか・・・間に合わなかったってのか・・!?」
京の街が———炎に包まれていた。