第三部 武士達の最後
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「私の一家がその勤王派の男と関りがあったと知ったのは、その後でした。だから・・お嬢様をお守りしたかった。でも・・・拾ってもらって裏切るなんて、当時の私には・・・できませんでした・・・!」
椿は涙を流しながら話した。
関わりがあると気付いた父上は、椿が裏切らないように性的暴力を繰り返した。
私を逃さない為に。”道具”を逃さない為に。
欲望に忠実に従い、嫉妬に狂った人間と化していった。
「・・・椿ちゃんは、シエルちゃんのホンマの親父さんの事知っとるんか?」
「・・・・・・。」
「江戸を発ったと言っていたな。手紙のやり取りもあったと。その後は?何かあったのか?」
「——池田屋事件。」
・・・え?
「それでお分かりでしょうか。・・・新撰組。」
「・・・そ、んな・・まさ、か・・・。」
池田屋事件。
御所に火を放とうとした勤王派四十名を斬ったあの事件。あの事件で新撰組の名は広まった。
勤王派四十名・・・・。
「・・・そこに・・いたの・・・?」
「っ・・・お嬢様、申し訳ありませんっ・・・わ、私がもっと・・・お嬢様を守れていれば・・・こ、こんな事には・・!」
椿は大声を上げながら私の膝に泣きついた。
何度も何度も、ごめんなさい・申し訳ありませんと謝ってきた。
椿のせいじゃない。椿は私の傍にいてくれた。
あの日々を耐えられたのは、椿は傍にいたからだ。
・・・父上が壊れたのも。お母さんが殺されたのも。実の父親が死んだのも。椿がこんなに泣いているのも。
(——全部私のせいなんだ。)
私が産まれなければ、父上は壊れなかった。
私をお腹に宿さなければ、お母さんは殺されなかった。
私がいなければ、実の父親は池田屋で殺されなかった。
私が女として生きていれば、椿がこんなに泣くことがなかった。
全部・・全部全部私のせい。
「・・・椿のせいじゃないよ・・・。」
泣き叫ぶ椿に、それくらいしかかける言葉がない・・・。
「・・・行きましょう、二人とも。」
「お嬢様・・!もうおやめください!今度こそ・・・今度こそ私が守ります!ですからっもう・・・!もういいんです!お願いですから・・・私の傍に・・!」
椿は立ち上がった私の腕を精一杯掴んできた。
私はその腕を振り払い、背を向ける。
「・・・私はもうここには帰らない。・・・ううん、帰れないよ。」
「シエルちゃん・・・。」
「お嬢様!!」
「もうやめてっ!!」
もう、聞きたくない・・・。
「・・・椿の人生を狂わせたのは、私だから・・・もう傍にいられない。」
「——!そんな・・・お嬢様・・!お嬢様あぁぁ!!」
私は、後ろを振り向かないでその場を走った。
離れを出て人気の少ない細道に入り、乱れた呼吸を整えようとする。
でも、涙のせいでまともにできない。
「シエルちゃん!」
「シエル!」
私を追ってくれた総司さんと斎藤さんがやってきた。
「うっ・・グスッ・・うわあぁぁ!!!」
私は総司さんに泣きつき、その胸に顔をうずませる。
総司さんはただそんな私を強く抱きしめてくれて、斎藤さんは泣きつく私の背に手を置いてくれていた。
やっとその場を動けたのは、船に乗る時間の少し前。
私達は、江戸を離れた。
椿は涙を流しながら話した。
関わりがあると気付いた父上は、椿が裏切らないように性的暴力を繰り返した。
私を逃さない為に。”道具”を逃さない為に。
欲望に忠実に従い、嫉妬に狂った人間と化していった。
「・・・椿ちゃんは、シエルちゃんのホンマの親父さんの事知っとるんか?」
「・・・・・・。」
「江戸を発ったと言っていたな。手紙のやり取りもあったと。その後は?何かあったのか?」
「——池田屋事件。」
・・・え?
「それでお分かりでしょうか。・・・新撰組。」
「・・・そ、んな・・まさ、か・・・。」
池田屋事件。
御所に火を放とうとした勤王派四十名を斬ったあの事件。あの事件で新撰組の名は広まった。
勤王派四十名・・・・。
「・・・そこに・・いたの・・・?」
「っ・・・お嬢様、申し訳ありませんっ・・・わ、私がもっと・・・お嬢様を守れていれば・・・こ、こんな事には・・!」
椿は大声を上げながら私の膝に泣きついた。
何度も何度も、ごめんなさい・申し訳ありませんと謝ってきた。
椿のせいじゃない。椿は私の傍にいてくれた。
あの日々を耐えられたのは、椿は傍にいたからだ。
・・・父上が壊れたのも。お母さんが殺されたのも。実の父親が死んだのも。椿がこんなに泣いているのも。
(——全部私のせいなんだ。)
私が産まれなければ、父上は壊れなかった。
私をお腹に宿さなければ、お母さんは殺されなかった。
私がいなければ、実の父親は池田屋で殺されなかった。
私が女として生きていれば、椿がこんなに泣くことがなかった。
全部・・全部全部私のせい。
「・・・椿のせいじゃないよ・・・。」
泣き叫ぶ椿に、それくらいしかかける言葉がない・・・。
「・・・行きましょう、二人とも。」
「お嬢様・・!もうおやめください!今度こそ・・・今度こそ私が守ります!ですからっもう・・・!もういいんです!お願いですから・・・私の傍に・・!」
椿は立ち上がった私の腕を精一杯掴んできた。
私はその腕を振り払い、背を向ける。
「・・・私はもうここには帰らない。・・・ううん、帰れないよ。」
「シエルちゃん・・・。」
「お嬢様!!」
「もうやめてっ!!」
もう、聞きたくない・・・。
「・・・椿の人生を狂わせたのは、私だから・・・もう傍にいられない。」
「——!そんな・・・お嬢様・・!お嬢様あぁぁ!!」
私は、後ろを振り向かないでその場を走った。
離れを出て人気の少ない細道に入り、乱れた呼吸を整えようとする。
でも、涙のせいでまともにできない。
「シエルちゃん!」
「シエル!」
私を追ってくれた総司さんと斎藤さんがやってきた。
「うっ・・グスッ・・うわあぁぁ!!!」
私は総司さんに泣きつき、その胸に顔をうずませる。
総司さんはただそんな私を強く抱きしめてくれて、斎藤さんは泣きつく私の背に手を置いてくれていた。
やっとその場を動けたのは、船に乗る時間の少し前。
私達は、江戸を離れた。