第一部 仮面の選択
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翌朝、”俺”に切り替え寺田屋の外に出る。
刀の手入れもした。頭の傷も落ち着いた・・・よし、屯所へ向かおう。その時、後ろから新撰組の羽織を纏った男が俺を追い越す。
もしかして・・・・。
「あ・・あの!あなたが、寺田屋にいるという新撰組の方か?」
「ん?あぁそうだが・・・あんたは?」
「無礼を失礼。俺も世話になっていて、八神吾朗と申します。今日入隊試験を希望しているのですが、昨日の今日で慣れていなくて・・・。」
「あぁ屯所か?なら、一緒に行くか?」
「感謝する。」
・・・実は覚えているが、同じ宿にいる者同士、少し相手を知りたかったところだ。
屯所へ向かう途中、彼の名前を知る事が出来た。
新撰組三番隊隊長、斎藤一。天然理心流を追い京まで来たそうだ。見るからに実力者だ・・・こんな男が探しているんだ、相当な流派なんだろうな。
「では斎藤殿は、天然理心流を使いこなそうと?」
「いや、ただ興味があっただけだ。」
「興味だけで入隊するとは・・・並々ならぬ気持ちですね。」
「ふっまぁな。あんたは何でだ?」
「父の為と、自分の為です。」
”父の為”。そう、俺の人生はすべて父の為。
俺の意志なんてないんだ。・・私の意志も・・・。
「あんたも物好きだな。ほら、着いたぞ。」
・・・いけない、今は目の前の事に集中せねば。
石段を登り、正門から中へ入る。門番に用件を伝えると中へ入る許可がでた。
斎藤殿についていくと、試験会場らしき場所に着く。すでに始まっていて、その男は立っていた。
「よぉ来たな八神ちゃん。・・・て、何で一ちゃんとおるんや?」
「たまたま同じ寺田屋でな。八神、沖田と知り合いなのか?」
「昨日助けてもらったんです。沖田殿、本当に感謝する。」
「せやから固い言い方やめやって・・・まぁええわ。ほな始めるで。」
「はい。」
そう言うと、沖田殿が刀を構える。それに応えるように俺も構える。
(・・・凄い殺気・・。)
でも、ここで怖気づくわけにはいかない。
「いくで・・・八神ちゃんよぉ!!」
その勢いに迷いはなかった。この人は全力だ。
なら・・・本気でやるまでだ!
「お、おい・・・一体どのくらい続くんだ・・。」
「もうしばらくたつぞ・・・。」
互いの体に刀が触れない。なんて人だ・・・想像していたが、ここまでとは・・・!
「考え事とは余裕やのう。ほんなら・・本気でいかせてもらうで。」
「——?!」
力強く弾き返され、刀が地面に突き刺さる。
しまった———!
「ヒャッハーー!」
叫び声と共に、上空に飛び跳ね刀を振り下ろしてくる。
「沖田、待て!」
斎藤殿の叫び声と共に、刀と刀が重なる音が響き渡る。
周囲のどよめき、沖田殿の驚愕の顔。・・・出すつもりはなかったけど、仕方ない。
「・・・小太刀・・二刀流・・・?」
「・・・これが、俺の剣です。」
それだけ伝えると、沖田殿は満足した笑みで刀を納める。
「ヒヒッ一ちゃん以来のおもろい新人やで。」
そう言うと、沖田殿は右手を差し伸べてくる。
新人って・・・まさか・・・。
「今日からお前は、ワシの一番隊隊士や。」
「・・はいっ!」
その手を掴み、立ち上がる。
新撰組の一員になれた喜び。自分の腕を認めてもらえた喜び。
”女”として隣に一生立てない悲しみ。
感情の蓋を固く閉ざしたのだった。
刀の手入れもした。頭の傷も落ち着いた・・・よし、屯所へ向かおう。その時、後ろから新撰組の羽織を纏った男が俺を追い越す。
もしかして・・・・。
「あ・・あの!あなたが、寺田屋にいるという新撰組の方か?」
「ん?あぁそうだが・・・あんたは?」
「無礼を失礼。俺も世話になっていて、八神吾朗と申します。今日入隊試験を希望しているのですが、昨日の今日で慣れていなくて・・・。」
「あぁ屯所か?なら、一緒に行くか?」
「感謝する。」
・・・実は覚えているが、同じ宿にいる者同士、少し相手を知りたかったところだ。
屯所へ向かう途中、彼の名前を知る事が出来た。
新撰組三番隊隊長、斎藤一。天然理心流を追い京まで来たそうだ。見るからに実力者だ・・・こんな男が探しているんだ、相当な流派なんだろうな。
「では斎藤殿は、天然理心流を使いこなそうと?」
「いや、ただ興味があっただけだ。」
「興味だけで入隊するとは・・・並々ならぬ気持ちですね。」
「ふっまぁな。あんたは何でだ?」
「父の為と、自分の為です。」
”父の為”。そう、俺の人生はすべて父の為。
俺の意志なんてないんだ。・・私の意志も・・・。
「あんたも物好きだな。ほら、着いたぞ。」
・・・いけない、今は目の前の事に集中せねば。
石段を登り、正門から中へ入る。門番に用件を伝えると中へ入る許可がでた。
斎藤殿についていくと、試験会場らしき場所に着く。すでに始まっていて、その男は立っていた。
「よぉ来たな八神ちゃん。・・・て、何で一ちゃんとおるんや?」
「たまたま同じ寺田屋でな。八神、沖田と知り合いなのか?」
「昨日助けてもらったんです。沖田殿、本当に感謝する。」
「せやから固い言い方やめやって・・・まぁええわ。ほな始めるで。」
「はい。」
そう言うと、沖田殿が刀を構える。それに応えるように俺も構える。
(・・・凄い殺気・・。)
でも、ここで怖気づくわけにはいかない。
「いくで・・・八神ちゃんよぉ!!」
その勢いに迷いはなかった。この人は全力だ。
なら・・・本気でやるまでだ!
「お、おい・・・一体どのくらい続くんだ・・。」
「もうしばらくたつぞ・・・。」
互いの体に刀が触れない。なんて人だ・・・想像していたが、ここまでとは・・・!
「考え事とは余裕やのう。ほんなら・・本気でいかせてもらうで。」
「——?!」
力強く弾き返され、刀が地面に突き刺さる。
しまった———!
「ヒャッハーー!」
叫び声と共に、上空に飛び跳ね刀を振り下ろしてくる。
「沖田、待て!」
斎藤殿の叫び声と共に、刀と刀が重なる音が響き渡る。
周囲のどよめき、沖田殿の驚愕の顔。・・・出すつもりはなかったけど、仕方ない。
「・・・小太刀・・二刀流・・・?」
「・・・これが、俺の剣です。」
それだけ伝えると、沖田殿は満足した笑みで刀を納める。
「ヒヒッ一ちゃん以来のおもろい新人やで。」
そう言うと、沖田殿は右手を差し伸べてくる。
新人って・・・まさか・・・。
「今日からお前は、ワシの一番隊隊士や。」
「・・はいっ!」
その手を掴み、立ち上がる。
新撰組の一員になれた喜び。自分の腕を認めてもらえた喜び。
”女”として隣に一生立てない悲しみ。
感情の蓋を固く閉ざしたのだった。