第二部 愛の約束
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斎藤さんにお茶を出した後、今日の出来事を話してくれた。
近藤さんに呼び出された斎藤さんは、とある話をされたらしい。
薩摩と長州が手を結び、倒幕に向けて準備を進めている秘密の同盟——”薩長同盟”。
そこに繋がっているのは、源さんを殺したもう一人の坂本龍馬。
英国から大量の武器を仕入れて薩長に売り込んでいる。
内戦が始まれば、多くの人々の血が流れてしまう。そうすれば西洋列強で日本は終わってしまう。
それを止める為の近藤さんの手段———
「京を・・・焼く・・?!」
「近藤はその為に新撰組を作り、京まで来た。朝廷を潰す為に。」
「そんな・・・!そしたら、ここで懸命に生きている人達はどうなるんですか?!どうしてそんな酷いことを・・・!」
「戦争が起こればもっと多くの犠牲者が出る。その為の少ない犠牲らしい・・・。」
あの近藤さんが・・・そんな事を考えていたの?
それを聞いた斎藤さんの出した考えは、幕府に白旗を上げさせる事。そんな無茶な事に近藤さんは賛同して、政権を帝へ返させようとしている———”大政奉還”。
そうすれば、薩長が戦争を始める理由がなくなる。
「徳川幕府三百年の歴史を終わらせるって事ですよね?でも・・どうやって?」
「俺が将軍に直談判する。」
「え?!そんなの、死にに行くようなもんじゃないですか!」
「でもそれしか方法がない。やるしかないんだ。」
出立は明日の夜明け。もう時間がない。
「・・・でも、その話と私が江戸に行くのとどう関係が?もしかして案内役ですか?」
「・・・親父さんが、坂本龍馬と繋がっている可能性があるらしい。」
・・・え・・・?
父上が、坂本龍馬と・・・?倒幕を目指してるっていうの・・?
「そんな・・・ありえませんよ!だって、幕府に目をつけてほしくて私を新撰組のいる京に送ったんですよ?!幕府を倒すなんて・・・!」
「お前の親父さんの中で、お前はもう吾朗ではなく美鈴になっている。女として生かそうとしているって事は、もう幕府につけ入る理由がない。そうだろう?」
「それは・・・。」
「江戸でも戦争が引き起こされたら、もう誰にも止められない。・・・シエル、お前が親父さんを止めるんだ。そして終わらせるんだ。お前が自由になる為に。」
私が自由になる為。それは——父上を、殺す事以外ない。
「・・・お前には辛い選択だ。父親を斬る事、故郷に戻る事。だがお前自身を、八神シエルを自由にできるのは、お前自身だけなんだ。」
『一緒に来るなら、夜明けに寺田屋まで来てくれ。』
それだけを告げ、斎藤さんは家を出た。
「・・自由になる為・・・。」
父上を斬る。そうすれば、長く続いたこの辛くて苦しい生活から・・人生から解放される。もう父の為に、男として生きる理由もなくなる。シエルとして、ちゃんと生きていられる。
「・・・・・・。」
旭屋へ行こう。きっと近藤さんがいるはず。
旭屋——
いつもの部屋に入ると、近藤さんは一人そこにいた。
「おぉ。来ると思ってたぜ。」
「・・・俺が来るのと分かっていた口ぶりですね、局長。」
「斎藤から話を聞いて、はい分かりましたって頷く訳ねぇもんな。だが、奴の言葉に心を動かされたからここにきた。違うか?」
・・・この人は、本当に先を読んでいるんだ。
それなら、俺の考えも分かっているはずだ。
「行くんだろ?江戸に。」
「はい。」
「ワシも行くで、勇ちゃん。」
「・・え?!」
背後にはいつの間にか、沖田隊長が立っていた。
「隊長、どうしてここに・・・?!」
「一ちゃんと家で話しとるのを聞いてのう。なんやおもろそうな話やと思うてな。ほんで八神ちゃんが出たところをつけてきたっちゅう事や。」
「ったく、お前さんは趣味悪ぃなぁ。」
「たまたまやがな。・・・それより出立は夜明けやろ?家帰って少しでも休まなあかんな。」
「おっと、帰る前にこれを渡しとく。」
近藤局長はそう言うと、懐から一通の手紙を出してきた。
これは・・・?
「将軍様へだ。斎藤に渡しておいてくれ。」
「分かったわ。ほないくで、八神ちゃん。」
「・・・・・。」
「八神ちゃん?」
近藤局長と静かに目を合わせる。
俺が・・・俺達が何を言いたいのか、まるで分かっている目だ。
「・・・俺達は必ず戻ります。だからそれまで・・・京の街を焼かないでください。必ず成し遂げます。だから・・お願いします。」
八神吾朗として、八神シエルとして、ここは沖田隊長や新撰組の人々と出会えた、大切な思い出のある街。
私の自由の為じゃない。京の街で生きる人・・愛する人と過ごした思い出を守る為に戦う。
「・・約束してやるさ。だから、生きて帰ってこい。」
そして、夜が明ける———
近藤さんに呼び出された斎藤さんは、とある話をされたらしい。
薩摩と長州が手を結び、倒幕に向けて準備を進めている秘密の同盟——”薩長同盟”。
そこに繋がっているのは、源さんを殺したもう一人の坂本龍馬。
英国から大量の武器を仕入れて薩長に売り込んでいる。
内戦が始まれば、多くの人々の血が流れてしまう。そうすれば西洋列強で日本は終わってしまう。
それを止める為の近藤さんの手段———
「京を・・・焼く・・?!」
「近藤はその為に新撰組を作り、京まで来た。朝廷を潰す為に。」
「そんな・・・!そしたら、ここで懸命に生きている人達はどうなるんですか?!どうしてそんな酷いことを・・・!」
「戦争が起こればもっと多くの犠牲者が出る。その為の少ない犠牲らしい・・・。」
あの近藤さんが・・・そんな事を考えていたの?
それを聞いた斎藤さんの出した考えは、幕府に白旗を上げさせる事。そんな無茶な事に近藤さんは賛同して、政権を帝へ返させようとしている———”大政奉還”。
そうすれば、薩長が戦争を始める理由がなくなる。
「徳川幕府三百年の歴史を終わらせるって事ですよね?でも・・どうやって?」
「俺が将軍に直談判する。」
「え?!そんなの、死にに行くようなもんじゃないですか!」
「でもそれしか方法がない。やるしかないんだ。」
出立は明日の夜明け。もう時間がない。
「・・・でも、その話と私が江戸に行くのとどう関係が?もしかして案内役ですか?」
「・・・親父さんが、坂本龍馬と繋がっている可能性があるらしい。」
・・・え・・・?
父上が、坂本龍馬と・・・?倒幕を目指してるっていうの・・?
「そんな・・・ありえませんよ!だって、幕府に目をつけてほしくて私を新撰組のいる京に送ったんですよ?!幕府を倒すなんて・・・!」
「お前の親父さんの中で、お前はもう吾朗ではなく美鈴になっている。女として生かそうとしているって事は、もう幕府につけ入る理由がない。そうだろう?」
「それは・・・。」
「江戸でも戦争が引き起こされたら、もう誰にも止められない。・・・シエル、お前が親父さんを止めるんだ。そして終わらせるんだ。お前が自由になる為に。」
私が自由になる為。それは——父上を、殺す事以外ない。
「・・・お前には辛い選択だ。父親を斬る事、故郷に戻る事。だがお前自身を、八神シエルを自由にできるのは、お前自身だけなんだ。」
『一緒に来るなら、夜明けに寺田屋まで来てくれ。』
それだけを告げ、斎藤さんは家を出た。
「・・自由になる為・・・。」
父上を斬る。そうすれば、長く続いたこの辛くて苦しい生活から・・人生から解放される。もう父の為に、男として生きる理由もなくなる。シエルとして、ちゃんと生きていられる。
「・・・・・・。」
旭屋へ行こう。きっと近藤さんがいるはず。
旭屋——
いつもの部屋に入ると、近藤さんは一人そこにいた。
「おぉ。来ると思ってたぜ。」
「・・・俺が来るのと分かっていた口ぶりですね、局長。」
「斎藤から話を聞いて、はい分かりましたって頷く訳ねぇもんな。だが、奴の言葉に心を動かされたからここにきた。違うか?」
・・・この人は、本当に先を読んでいるんだ。
それなら、俺の考えも分かっているはずだ。
「行くんだろ?江戸に。」
「はい。」
「ワシも行くで、勇ちゃん。」
「・・え?!」
背後にはいつの間にか、沖田隊長が立っていた。
「隊長、どうしてここに・・・?!」
「一ちゃんと家で話しとるのを聞いてのう。なんやおもろそうな話やと思うてな。ほんで八神ちゃんが出たところをつけてきたっちゅう事や。」
「ったく、お前さんは趣味悪ぃなぁ。」
「たまたまやがな。・・・それより出立は夜明けやろ?家帰って少しでも休まなあかんな。」
「おっと、帰る前にこれを渡しとく。」
近藤局長はそう言うと、懐から一通の手紙を出してきた。
これは・・・?
「将軍様へだ。斎藤に渡しておいてくれ。」
「分かったわ。ほないくで、八神ちゃん。」
「・・・・・。」
「八神ちゃん?」
近藤局長と静かに目を合わせる。
俺が・・・俺達が何を言いたいのか、まるで分かっている目だ。
「・・・俺達は必ず戻ります。だからそれまで・・・京の街を焼かないでください。必ず成し遂げます。だから・・お願いします。」
八神吾朗として、八神シエルとして、ここは沖田隊長や新撰組の人々と出会えた、大切な思い出のある街。
私の自由の為じゃない。京の街で生きる人・・愛する人と過ごした思い出を守る為に戦う。
「・・約束してやるさ。だから、生きて帰ってこい。」
そして、夜が明ける———