第二部 愛の約束
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「逃げるって・・・何がやねん。ワシは本当に寝ようと・・。」
「沖田さん、私を見てください。」
『ああ見えて総司は寂しがり屋なんだ。自分の本心を見せようとしない。・・・昔、夏の夜だったのに”寒い”って言ったことがあったんだ。話を聞いたら、近所の子供と喧嘩して寂しかったんだと言っていたんだ。気持ちを言ったアイツは、熱くてたまらん!って怒ってたよ。・・・総司を見てやってくれ、シエル。あいつを凍えさせないように。』
どうして今思い出すだろう。前に聞いた源さんの言葉。
子供の頃の沖田さんの・・・ううん、平山五郎さんの話。今沖田さんは、平山五郎なんだ。
だったら、私のできる事はこれしかない。
「ま、毎日顔合わせとるやろ?今更——」
「沖田さんっ!」
両手で頬を持ち、私の方に無理矢理向けさせる。
その右目は——涙で潤んでいた。
「っ・・・見んといてくれや・・こない情けない顔。」
・・・沖田さんは、寂しかったんだ。
きっと源さんがいなくなって・・・その気持ちを悟られないように、私とも誰ともちゃんと目を合わせようとしなかったんだ。
「・・・沖田さんは、私だけの沖田さんでいてくれていますか?」
「・・・?」
「新撰組の一番隊隊長でなく、元水戸藩の平山五郎でもない。私の・・・私だけの沖田さんでいてくれていますか?」
「・・・!」
決して人の前で自分の弱いところを見せない。
京最凶の”沖田総司”は、平山五郎が演じている仮の姿。演じ続ける辛さは、私もよく知っている。
本音を見せられる相手がいないと、いつか壊れてしまう。
その状態だった私を、シエルと吾朗を救ってくれたのは沖田さんだった。
「・・・この家では、泣いてもいいんです。私の前では、弱音を吐いてしまっていいんです。そんなの・・・情けなくなんかないんですよ?」
「・・・・シエルちゃん・・・。」
「一人で抱え込まないでください。・・・私じゃ、その相手は務まらないですか?私じゃ・・・駄目ですか?」
「——!」
沖田さんの目から涙が零れ落ち、私を強く抱きしめた。
冷えていたはずの沖田さんの体は、少しずつ温まってきていた。
「そんなことあらへん!シエルちゃんがおらんかったら、ワシは今どないなっとるか分からん!・・・弱いところを見せたないんはワシのわがままや・・・それだけなんや・・・。」
あぁ・・・この人は、ずっと孤独だったんだ。
弱いところを誰にも見せられず生きてきたんだ。
「・・・ワシは弱い男や。源さんの死をすぐ受け入れず街で暴れ、終いには一ちゃんを疑った。ろくに源さんを見送りもせんで、偽の坂本龍馬も取り逃がした・・どうしようもない男なんや・・!」
「そんなことないです。沖田さんは、源さんの為に戦っただけです。」
「そんなんちゃう!!源さん思うなら、ちゃんと見送らなアカンかったんや!!せやのに・・・ワシは・・・っ・・・。」
それから暫く、沖田さんが喋ることはなかった。
ただ抱きしめながら私の肩に顔を俯かせ、声を出さないように体を震わせていた。
初めて見る、弱々しい沖田さん。そんな沖田さんを、私はただ頭を撫でる事しかできない。
(私には、これしかできないから——。)
その少し後、沖田さんの顔が離れた。その表情は、少し憑き物が落ちたような感じだった。
「・・こないなとこ、他の奴等には見せられんな。」
「ふふっそうですね。」
「ワシ等の秘密やで?」
「はい。秘密です。」
月が下がり始め、段々と空が明るくなってきた。
「・・・そろそろ寝よか。」
「はい。」
私達は寝室に入り、一つの布団に入る。
自然としてくれた腕枕に心が静まらない。こうして寝るのも初めてだから、緊張する・・・!腕痺れないかな・・。
少し離れようとしたら、沖田さんにそれを止められた。
「・・・離れんといてくれや。」
「う、腕・・・疲れないですか?」
「全然。むしろ安心するわ。やっぱりシエルちゃんの匂いが一番の癒しやな。」
「そ、そうですか・・・私も、安心します・・沖田さんに抱きしめられて・・。」
「・・そうか・・。」
沖田さんは優しい笑顔で抱きしめてくれる。
私もそれに応えるように、沖田さんの胸に近づく。心地いい心臓の音で、少しずつ眠気がやってきた。
うとうとしていると、頭を撫でられているのに気がついて顔を上げると、沖田さんは優しく触れる程度の口付けを交わす。
「シエルはワシの命に代えても守る。そんで、ずっとワシの傍にいさせたる。ワシは・・・シエルまで失いとうない。」
「・・私も、沖田さんをお守りします。ずっと傍にいられるように。・・・約束ですよ?」
「あぁ・・・約束や。」
互いを守るという約束。
一緒に住んでいて、初めて沖田さんの心の底からの優しい笑顔を見れた気がした。
『あいつにお前は必要な存在なんだ。』
私にとってもです・・・源さん。
「沖田さん、私を見てください。」
『ああ見えて総司は寂しがり屋なんだ。自分の本心を見せようとしない。・・・昔、夏の夜だったのに”寒い”って言ったことがあったんだ。話を聞いたら、近所の子供と喧嘩して寂しかったんだと言っていたんだ。気持ちを言ったアイツは、熱くてたまらん!って怒ってたよ。・・・総司を見てやってくれ、シエル。あいつを凍えさせないように。』
どうして今思い出すだろう。前に聞いた源さんの言葉。
子供の頃の沖田さんの・・・ううん、平山五郎さんの話。今沖田さんは、平山五郎なんだ。
だったら、私のできる事はこれしかない。
「ま、毎日顔合わせとるやろ?今更——」
「沖田さんっ!」
両手で頬を持ち、私の方に無理矢理向けさせる。
その右目は——涙で潤んでいた。
「っ・・・見んといてくれや・・こない情けない顔。」
・・・沖田さんは、寂しかったんだ。
きっと源さんがいなくなって・・・その気持ちを悟られないように、私とも誰ともちゃんと目を合わせようとしなかったんだ。
「・・・沖田さんは、私だけの沖田さんでいてくれていますか?」
「・・・?」
「新撰組の一番隊隊長でなく、元水戸藩の平山五郎でもない。私の・・・私だけの沖田さんでいてくれていますか?」
「・・・!」
決して人の前で自分の弱いところを見せない。
京最凶の”沖田総司”は、平山五郎が演じている仮の姿。演じ続ける辛さは、私もよく知っている。
本音を見せられる相手がいないと、いつか壊れてしまう。
その状態だった私を、シエルと吾朗を救ってくれたのは沖田さんだった。
「・・・この家では、泣いてもいいんです。私の前では、弱音を吐いてしまっていいんです。そんなの・・・情けなくなんかないんですよ?」
「・・・・シエルちゃん・・・。」
「一人で抱え込まないでください。・・・私じゃ、その相手は務まらないですか?私じゃ・・・駄目ですか?」
「——!」
沖田さんの目から涙が零れ落ち、私を強く抱きしめた。
冷えていたはずの沖田さんの体は、少しずつ温まってきていた。
「そんなことあらへん!シエルちゃんがおらんかったら、ワシは今どないなっとるか分からん!・・・弱いところを見せたないんはワシのわがままや・・・それだけなんや・・・。」
あぁ・・・この人は、ずっと孤独だったんだ。
弱いところを誰にも見せられず生きてきたんだ。
「・・・ワシは弱い男や。源さんの死をすぐ受け入れず街で暴れ、終いには一ちゃんを疑った。ろくに源さんを見送りもせんで、偽の坂本龍馬も取り逃がした・・どうしようもない男なんや・・!」
「そんなことないです。沖田さんは、源さんの為に戦っただけです。」
「そんなんちゃう!!源さん思うなら、ちゃんと見送らなアカンかったんや!!せやのに・・・ワシは・・・っ・・・。」
それから暫く、沖田さんが喋ることはなかった。
ただ抱きしめながら私の肩に顔を俯かせ、声を出さないように体を震わせていた。
初めて見る、弱々しい沖田さん。そんな沖田さんを、私はただ頭を撫でる事しかできない。
(私には、これしかできないから——。)
その少し後、沖田さんの顔が離れた。その表情は、少し憑き物が落ちたような感じだった。
「・・こないなとこ、他の奴等には見せられんな。」
「ふふっそうですね。」
「ワシ等の秘密やで?」
「はい。秘密です。」
月が下がり始め、段々と空が明るくなってきた。
「・・・そろそろ寝よか。」
「はい。」
私達は寝室に入り、一つの布団に入る。
自然としてくれた腕枕に心が静まらない。こうして寝るのも初めてだから、緊張する・・・!腕痺れないかな・・。
少し離れようとしたら、沖田さんにそれを止められた。
「・・・離れんといてくれや。」
「う、腕・・・疲れないですか?」
「全然。むしろ安心するわ。やっぱりシエルちゃんの匂いが一番の癒しやな。」
「そ、そうですか・・・私も、安心します・・沖田さんに抱きしめられて・・。」
「・・そうか・・。」
沖田さんは優しい笑顔で抱きしめてくれる。
私もそれに応えるように、沖田さんの胸に近づく。心地いい心臓の音で、少しずつ眠気がやってきた。
うとうとしていると、頭を撫でられているのに気がついて顔を上げると、沖田さんは優しく触れる程度の口付けを交わす。
「シエルはワシの命に代えても守る。そんで、ずっとワシの傍にいさせたる。ワシは・・・シエルまで失いとうない。」
「・・私も、沖田さんをお守りします。ずっと傍にいられるように。・・・約束ですよ?」
「あぁ・・・約束や。」
互いを守るという約束。
一緒に住んでいて、初めて沖田さんの心の底からの優しい笑顔を見れた気がした。
『あいつにお前は必要な存在なんだ。』
私にとってもです・・・源さん。