第二部 愛の約束
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変わり果てた井上隊長の姿に、俺は言葉が出なかった。
どうして?昨日話したよな?あんなに笑っていたよな?なのに・・・何で俺の目の前に井上隊長の・・・源さんの死体があるの?
頭の理解が追い付かない・・・。
「源さん・・・?」
「・・・!」
「・・ピストルで撃たれたらしい。刀傷もある。恐らくほぼ即死だろう。」
ピストル・・・?刀傷・・・?
そんな技使えるのは・・・俺の知ってる限りあの人だけ・・・斎藤隊長だけ・・・。でも殺す理由なんてない。
あの人が殺して何になる?何の得がある?なんで、どうして・・・。
「・・・八神ちゃん、こっち来いや。」
「・・え・・?」
「唇噛みすぎて血がでとるで八神・・・部屋で少し休んどれ。」
「他の隊長達にも話さなければならない。しばらく屯所にいてもらうぞ。」
「・・・分かりました。」
気付かなかった。口の中、血の味がする・・・。
沖田隊長は俺の腕を引き部屋へ連れて行ってくれた。
隊長だって辛いはずなのに・・・こんな時も、心配をかけてしまう・・・。
部屋に入ると、座布団を用意し俺を座らせてくれた。
「薬もろてくる。座って待っとれ。」
それだけ言い、部屋を出ていく。
「・・・・・。」
死体は何度も見てきた。隊長に就いてから、何度も何度も。もちろん隊士達の・・仲間たちの死も見てきた。
でも——今までと違う。
「・・っ・・うっ・・・!」
吾朗を保てず、シエルになって声を押し殺しながら泣いた。
源さん・・・いつも傍にいて、隊士みんなの事を考えていた人。心から尊敬する人が、もうこの世にいない。
その恐怖を私は今まで知らなかった。きっとないと思っていた。だって、みんな強いから。死ぬなんて考えたことなかった。
(———これが、沖田さんだったら?)
源さんの姿を沖田さんに置き換えると、体の震えが止まらない。
そんなの・・・そんなの耐えられない・・・!
「何が言いすぎだ馬鹿野郎!!」
突然部屋の外で大声が聞こえてきた。
今のは・・・十番隊の、原田隊長?
いけない、なんとか切り替えないと・・・そういえば、沖田隊長が戻ってきていない・・・様子を見に行こう。
唇を拭い声の聞こえた方向へ向かうと、そこには副長に原田隊長、藤堂隊長に斎藤隊長、そして沖田隊長が井上隊長の周りに立っていた。
「俺達が今勤王志士達の間で、何て呼ばれているか知ってるか?幕府の”歩”だとよ。」
「・・・捨て駒ですか。」
捨て駒・・・?新撰組が捨て駒だって・・・?
「そんな言葉を真に受けるのですか?」
「あ、八神さん・・・。」
「そんな勤王志士達のくだらない言い分を真に受けるのですか?」
「はっ!入隊して間もないお前に何が分かる。お前や斎藤みたいな素性の知れねぇ人間が隊長になる時点で舐められるんだろうが!!」
「っ・・・!」
確かに新撰組に入ってまだ日も浅い。
でも・・近藤局長や井上隊長は、俺の事を認めてくれていた。だから隊長を任せてくれたんだ。
それだけじゃ、この人は一員と認めてくれないのか?
「今すぐ京の街の宿という宿を攻めて、勤王志士達を根こそぎぶっ殺す。」
「そんな事したら、源さんがどうして殺されたのか分かんなくなっちゃうじゃないですか!?」
「だからそれはどうでもいいっつってんだろ!!このオッサンの死を利用するんだよ・・・。」
井上隊長の死を利用するだと・・・!?
「ふざけるな!!人の死を、何だと思っているんだ!!」
「人の死、だ?俺達が言える台詞かよ。今まで散々殺してきたくせによっ!!お前も一緒だ八神!!作戦会議の時も偉そうに正論言ってるが、所詮ただの偽善なんだよ!!頭の中お花畑の奴が口出しするんじゃねぇ!!」
「なっ・・・!」
「ちょっと左之助さん!!言いすぎですよ!!」
偽善・・・俺の考えている事は、偽善なのか?ただの綺麗事なのか?俺はただ、みんなに死んでほしくないだけなのに・・・!
「副長!アンタだって新撰組を使ってのし上がりたいっつってただろ!?なあ、今すぐ俺を行かせて———」
「面白そうな話やな、左之助。」
沖田隊長は、原田隊長の言葉を遮るように刀を向けた。
「せやけどそれ・・・一番隊がやらせてもらうわ。」
「総司・・!」
「文句あってもワシは止められへんで。歳ちゃん。」
その後の原田さんの言葉を跳ね返し、一番隊を集めて街へ向かった。
何があっても合わせてくれていた目は———一度も合わなかった。
どうして?昨日話したよな?あんなに笑っていたよな?なのに・・・何で俺の目の前に井上隊長の・・・源さんの死体があるの?
頭の理解が追い付かない・・・。
「源さん・・・?」
「・・・!」
「・・ピストルで撃たれたらしい。刀傷もある。恐らくほぼ即死だろう。」
ピストル・・・?刀傷・・・?
そんな技使えるのは・・・俺の知ってる限りあの人だけ・・・斎藤隊長だけ・・・。でも殺す理由なんてない。
あの人が殺して何になる?何の得がある?なんで、どうして・・・。
「・・・八神ちゃん、こっち来いや。」
「・・え・・?」
「唇噛みすぎて血がでとるで八神・・・部屋で少し休んどれ。」
「他の隊長達にも話さなければならない。しばらく屯所にいてもらうぞ。」
「・・・分かりました。」
気付かなかった。口の中、血の味がする・・・。
沖田隊長は俺の腕を引き部屋へ連れて行ってくれた。
隊長だって辛いはずなのに・・・こんな時も、心配をかけてしまう・・・。
部屋に入ると、座布団を用意し俺を座らせてくれた。
「薬もろてくる。座って待っとれ。」
それだけ言い、部屋を出ていく。
「・・・・・。」
死体は何度も見てきた。隊長に就いてから、何度も何度も。もちろん隊士達の・・仲間たちの死も見てきた。
でも——今までと違う。
「・・っ・・うっ・・・!」
吾朗を保てず、シエルになって声を押し殺しながら泣いた。
源さん・・・いつも傍にいて、隊士みんなの事を考えていた人。心から尊敬する人が、もうこの世にいない。
その恐怖を私は今まで知らなかった。きっとないと思っていた。だって、みんな強いから。死ぬなんて考えたことなかった。
(———これが、沖田さんだったら?)
源さんの姿を沖田さんに置き換えると、体の震えが止まらない。
そんなの・・・そんなの耐えられない・・・!
「何が言いすぎだ馬鹿野郎!!」
突然部屋の外で大声が聞こえてきた。
今のは・・・十番隊の、原田隊長?
いけない、なんとか切り替えないと・・・そういえば、沖田隊長が戻ってきていない・・・様子を見に行こう。
唇を拭い声の聞こえた方向へ向かうと、そこには副長に原田隊長、藤堂隊長に斎藤隊長、そして沖田隊長が井上隊長の周りに立っていた。
「俺達が今勤王志士達の間で、何て呼ばれているか知ってるか?幕府の”歩”だとよ。」
「・・・捨て駒ですか。」
捨て駒・・・?新撰組が捨て駒だって・・・?
「そんな言葉を真に受けるのですか?」
「あ、八神さん・・・。」
「そんな勤王志士達のくだらない言い分を真に受けるのですか?」
「はっ!入隊して間もないお前に何が分かる。お前や斎藤みたいな素性の知れねぇ人間が隊長になる時点で舐められるんだろうが!!」
「っ・・・!」
確かに新撰組に入ってまだ日も浅い。
でも・・近藤局長や井上隊長は、俺の事を認めてくれていた。だから隊長を任せてくれたんだ。
それだけじゃ、この人は一員と認めてくれないのか?
「今すぐ京の街の宿という宿を攻めて、勤王志士達を根こそぎぶっ殺す。」
「そんな事したら、源さんがどうして殺されたのか分かんなくなっちゃうじゃないですか!?」
「だからそれはどうでもいいっつってんだろ!!このオッサンの死を利用するんだよ・・・。」
井上隊長の死を利用するだと・・・!?
「ふざけるな!!人の死を、何だと思っているんだ!!」
「人の死、だ?俺達が言える台詞かよ。今まで散々殺してきたくせによっ!!お前も一緒だ八神!!作戦会議の時も偉そうに正論言ってるが、所詮ただの偽善なんだよ!!頭の中お花畑の奴が口出しするんじゃねぇ!!」
「なっ・・・!」
「ちょっと左之助さん!!言いすぎですよ!!」
偽善・・・俺の考えている事は、偽善なのか?ただの綺麗事なのか?俺はただ、みんなに死んでほしくないだけなのに・・・!
「副長!アンタだって新撰組を使ってのし上がりたいっつってただろ!?なあ、今すぐ俺を行かせて———」
「面白そうな話やな、左之助。」
沖田隊長は、原田隊長の言葉を遮るように刀を向けた。
「せやけどそれ・・・一番隊がやらせてもらうわ。」
「総司・・!」
「文句あってもワシは止められへんで。歳ちゃん。」
その後の原田さんの言葉を跳ね返し、一番隊を集めて街へ向かった。
何があっても合わせてくれていた目は———一度も合わなかった。