第一部 仮面の選択
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全てを話した後の部屋の空気は重かった。近藤さんと土方さん以外のみんなが視線を下げている。
隣に座っている沖田さんに少し視線を向けると、眼帯のせいでよく分からなかったけど、強く握られている手がこの人の怒りを物語っていた。
近藤さんがそうかと呟き、真っ直ぐな目で私を見る。
「話してくれてありがとよ。・・・シエルさんよぉ。お前さんはこの後どうしたい。どう生きていたいと思ってる。」
「・・・・・。」
「これから俺の言う事ぁアンタにとってはある意味過酷な事に違いねぇ。だが、この提案に乗るのもアンタの為になる。」
ある意味過酷・・・そうだよね。私はこれからきっと殺される。
新撰組を騙した罪は償わなきゃいけない。死でしか償えないのが辛いけど・・・それしかないんだから。
「・・近藤さんの仰せのままに・・。」
「・・・そうかい。それを聞いて安心したよ。」
近藤さんは立ち上がり、私に刀を差し出してきた。
自決用の小太刀・・・じゃ、ない・・・?
見覚えのある小太刀が二つ———それは、私の物だった。どうして?
近藤さんの後ろには土方さんもいて、新撰組の羽織を持っていた。
「八神シエル。お前さん、八神吾朗として生きていく覚悟はあるか?」
「・・・え・・・?」
・・・何を・・・言っているんですか・・・?
「今の新撰組に君の力は必要なもの。今後も八神吾朗として、その力を新撰組の刃として使ってほしい。」
土方さんまで・・・!
「・・・どう、して・・・?私は、みなさんを騙していたんですよ?たくさん迷惑をかけた・・・!またこんな事があってもおかしくないんです!私の・・私の存在は、新撰組にとって邪魔になってしまう!!そんなの耐えられません!!」
みんなの・・・沖田さんの邪魔になんてなりたくない。
「だったら・・・だったらいっその事ここで私を———」
「そないな事言うもんやない。」
「——?!」
私の右手を握りながらそういう沖田さんは、周りを見てみぃと伝えた。
斎藤さん、永倉さん、藤堂さん、源さん・・・それに、土方さんに近藤さん・・沖田さん・・・。みんな私を見つめていた。
その目は——八神吾朗を見ていた時と、同じ目だった。
「ここにおる人間は、誰もシエルちゃんの死なんぞ望んどらん。・・・今まで一人でよう頑張った。これからはワシらを頼ってええんや。お前は一人やない。」
「そういうこった。お前さんの事を守る代わりに、八神吾朗としてここにいてもらう。・・・もう一度聞くぜ。八神吾朗として生きていく覚悟はあるか?」
守ってくれる・・・?この人達が・・?
守ってもらって・・いいの・・?ここに残っていいの・・・?
「こっちばっかり言うんじゃあれだしな・・・お前さんの新撰組に残る条件ってのは何かあるのか?あれば言ってくれや。できる限り吞んでやる。」
全てを見透かすような目。
残る条件・・・私の望みを、言っていいの?
私は涙を流しながら、近藤さんに訴える。
「・・・この人を・・・沖田総司さんを想うことを、許していただけないでしょうか・・・?」
「・・シエルちゃん・・・?」
初めて女として抱いた感情。沖田隊長の為に命を捧げると決めたあの時に抱いた、いつか女として隣に立ちたいという想い。
もし本当に望んでいいなら・・初めて”好き”という感情になれた私の想い人をずっと想っていたい・・・。
「その為だったらなんでもやります。雑用でも過酷な事でも・・・なんでも・・!わがままなのは分かっています・・・ですが、どうか・・・!私に、女として生きる事も、許していただけないでしょうか・・!お願いします・・・・!」
沖田さんの手から離れて、泣きながら近藤さんに頭を下げる。
女としてのこの感情を・・・失いたくない・・・。もうこれ以上・・・我慢したくない・・・!
「お願いします・・どうか、どうか・・・!」
「・・・・茨の道を歩く覚悟ってやつか。・・・頭を上げな。」
その言葉に私は反応し、頭を上げる。
すると目の前にいたはずの近藤さんは、斎藤さん達と共に部屋の入り口に立っていた。
「その答えは、二人で決めるんだな。・・期待してるぜ、吾朗ちゃんよ。」
「明日は昼までに屯所に来い。その隊服を忘れるな。」
「待っているぞシエル。・・いや、八神。」
「さぁて、これからの新撰組が楽しみだなぁ!」
「お前とはまだ稽古したりひん。待っとるで八神。」
「また明日な。」
そうしてみんな部屋から出て行った。
今この部屋にいるのは、私と沖田さんの二人だけ。
隣に座っている沖田さんに少し視線を向けると、眼帯のせいでよく分からなかったけど、強く握られている手がこの人の怒りを物語っていた。
近藤さんがそうかと呟き、真っ直ぐな目で私を見る。
「話してくれてありがとよ。・・・シエルさんよぉ。お前さんはこの後どうしたい。どう生きていたいと思ってる。」
「・・・・・。」
「これから俺の言う事ぁアンタにとってはある意味過酷な事に違いねぇ。だが、この提案に乗るのもアンタの為になる。」
ある意味過酷・・・そうだよね。私はこれからきっと殺される。
新撰組を騙した罪は償わなきゃいけない。死でしか償えないのが辛いけど・・・それしかないんだから。
「・・近藤さんの仰せのままに・・。」
「・・・そうかい。それを聞いて安心したよ。」
近藤さんは立ち上がり、私に刀を差し出してきた。
自決用の小太刀・・・じゃ、ない・・・?
見覚えのある小太刀が二つ———それは、私の物だった。どうして?
近藤さんの後ろには土方さんもいて、新撰組の羽織を持っていた。
「八神シエル。お前さん、八神吾朗として生きていく覚悟はあるか?」
「・・・え・・・?」
・・・何を・・・言っているんですか・・・?
「今の新撰組に君の力は必要なもの。今後も八神吾朗として、その力を新撰組の刃として使ってほしい。」
土方さんまで・・・!
「・・・どう、して・・・?私は、みなさんを騙していたんですよ?たくさん迷惑をかけた・・・!またこんな事があってもおかしくないんです!私の・・私の存在は、新撰組にとって邪魔になってしまう!!そんなの耐えられません!!」
みんなの・・・沖田さんの邪魔になんてなりたくない。
「だったら・・・だったらいっその事ここで私を———」
「そないな事言うもんやない。」
「——?!」
私の右手を握りながらそういう沖田さんは、周りを見てみぃと伝えた。
斎藤さん、永倉さん、藤堂さん、源さん・・・それに、土方さんに近藤さん・・沖田さん・・・。みんな私を見つめていた。
その目は——八神吾朗を見ていた時と、同じ目だった。
「ここにおる人間は、誰もシエルちゃんの死なんぞ望んどらん。・・・今まで一人でよう頑張った。これからはワシらを頼ってええんや。お前は一人やない。」
「そういうこった。お前さんの事を守る代わりに、八神吾朗としてここにいてもらう。・・・もう一度聞くぜ。八神吾朗として生きていく覚悟はあるか?」
守ってくれる・・・?この人達が・・?
守ってもらって・・いいの・・?ここに残っていいの・・・?
「こっちばっかり言うんじゃあれだしな・・・お前さんの新撰組に残る条件ってのは何かあるのか?あれば言ってくれや。できる限り吞んでやる。」
全てを見透かすような目。
残る条件・・・私の望みを、言っていいの?
私は涙を流しながら、近藤さんに訴える。
「・・・この人を・・・沖田総司さんを想うことを、許していただけないでしょうか・・・?」
「・・シエルちゃん・・・?」
初めて女として抱いた感情。沖田隊長の為に命を捧げると決めたあの時に抱いた、いつか女として隣に立ちたいという想い。
もし本当に望んでいいなら・・初めて”好き”という感情になれた私の想い人をずっと想っていたい・・・。
「その為だったらなんでもやります。雑用でも過酷な事でも・・・なんでも・・!わがままなのは分かっています・・・ですが、どうか・・・!私に、女として生きる事も、許していただけないでしょうか・・!お願いします・・・・!」
沖田さんの手から離れて、泣きながら近藤さんに頭を下げる。
女としてのこの感情を・・・失いたくない・・・。もうこれ以上・・・我慢したくない・・・!
「お願いします・・どうか、どうか・・・!」
「・・・・茨の道を歩く覚悟ってやつか。・・・頭を上げな。」
その言葉に私は反応し、頭を上げる。
すると目の前にいたはずの近藤さんは、斎藤さん達と共に部屋の入り口に立っていた。
「その答えは、二人で決めるんだな。・・期待してるぜ、吾朗ちゃんよ。」
「明日は昼までに屯所に来い。その隊服を忘れるな。」
「待っているぞシエル。・・いや、八神。」
「さぁて、これからの新撰組が楽しみだなぁ!」
「お前とはまだ稽古したりひん。待っとるで八神。」
「また明日な。」
そうしてみんな部屋から出て行った。
今この部屋にいるのは、私と沖田さんの二人だけ。