第一部 仮面の選択
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近藤さんは私をじっと見つめながら話を全部聞いてくれていた。
表情一つ変えず、ただ私を見つめていた。
「・・・命を失う覚悟はできています。ですがその前に・・・最後に一度だけ、みなさんに会わせてほしいんです。最後に・・みなさんに謝ってから、この世を去りたいんです・・・。」
私は泣きながら訴えた。
みなさんに・・・沖田さんに会いたい。会って、謝って、それで・・。
何度もお願いしますと呟いていると、近藤さんはその大きな手で私の頭を優しく撫でてくれた。
「俺ぁそこまで非道な男じゃねぇよ。今後の事は夜に話してやる。・・・あんたはもう少し寝てろ。安心しな、この部屋に怖い親父さんは入れないようにしてもらったからさ。ゆっくり休め。」
それだけ言うと近藤さんは立ち上がり部屋を出ていく。
・・・あれが局長。・・・前に局長の話になった時、土方さんは優しい表情で話してたな・・なんかその気持ちが分かる気がする・・。
私は近藤さんの言葉を信じ、少し眠る事にした。
今は、少しでも、寝ていたい・・・。
目が覚めた時には夜になったのか、近くの部屋で芸者さんの声が聞こえる。
何も夢を見なかったから、少し気持ちが楽になった・・。
起き上がろうと力を入れた時、右手に違和感があった。
「・・・?」
違和感を感じた右手を見ると———私の手を握りしめながら、うつらうつらとしている隻眼の男が、そこにいた。
「・・沖田さん・・!」
その顔を見た瞬間、涙が溢れてきた。
何とか起き上がり、空いている左手でその頬を触れる。
(あぁ・・・やっと、”私”として触れられた・・・。)
その感触に気付いたのか、閉じている目は少しずつ開かれて、私を見ると一気に見開く。
「す、すみません、起こし———?!」
全てを言う前に、その両腕で強く抱きしめられる。
「八神ちゃん・・良かった、ホンマに良かった・・・!」
「っ・・沖田さ・・・うわぁぁん!!」
私としてこの体に触れたかった。
この温もりを感じたかった。
あなたと———ずっと話したかった。
「ごめんなさ・・ず、ずっと・・・騙して、ごめんなさっ・・・ごめんなさいぃ!!」
子供の様に泣き叫ぶ私を、沖田さんはずっと抱きしめてくれる。
「なんも言うな・・今は、なんも言わんでええ・・お前が無事で何よりや・・・ワシは、それだけでええ・・・!」
その声が震えていることに気がつく。
私の為に・・・泣いてくれているんですか?私の事、そんなに心配してくれたんですか・・?
「・・・シエル・・・。」
「・・?」
「私の・・・本当の、名前は・・・八神シエルです・・。」
「・・・シエル・・ええ名前や。」
そういう沖田さんの目は、いつもと変わらない——ううん、もっと優しい目だった。
「・・やっと会えたな。ホンマのお前に。」
「・・・ずっと、ずっと名乗りたかった・・・!ずっとずっと、あなたに会いたかった・・・!」
「・・ワシも、ホンマのシエルちゃんに会いたかったんや。」
「沖田さん・・!」
——心から好きな人と会える”女としての幸せ”を初めて知った。
見つめ合う私達に、もうこれ以上言葉はいらなかった。
自然と唇が近づき、優しく触れる程度の口付けが交わされた。
(あぁ・・・幸せ・・・。)
その後、お互いが求めあい舌を絡ませる。
今この部屋を支配しているのは、舌を絡み合うときに聴こえるぴちゃぴちゃという厭らしい音と、深い口付けの合間に聞こえる二人の甘い吐息だけ。
表情一つ変えず、ただ私を見つめていた。
「・・・命を失う覚悟はできています。ですがその前に・・・最後に一度だけ、みなさんに会わせてほしいんです。最後に・・みなさんに謝ってから、この世を去りたいんです・・・。」
私は泣きながら訴えた。
みなさんに・・・沖田さんに会いたい。会って、謝って、それで・・。
何度もお願いしますと呟いていると、近藤さんはその大きな手で私の頭を優しく撫でてくれた。
「俺ぁそこまで非道な男じゃねぇよ。今後の事は夜に話してやる。・・・あんたはもう少し寝てろ。安心しな、この部屋に怖い親父さんは入れないようにしてもらったからさ。ゆっくり休め。」
それだけ言うと近藤さんは立ち上がり部屋を出ていく。
・・・あれが局長。・・・前に局長の話になった時、土方さんは優しい表情で話してたな・・なんかその気持ちが分かる気がする・・。
私は近藤さんの言葉を信じ、少し眠る事にした。
今は、少しでも、寝ていたい・・・。
目が覚めた時には夜になったのか、近くの部屋で芸者さんの声が聞こえる。
何も夢を見なかったから、少し気持ちが楽になった・・。
起き上がろうと力を入れた時、右手に違和感があった。
「・・・?」
違和感を感じた右手を見ると———私の手を握りしめながら、うつらうつらとしている隻眼の男が、そこにいた。
「・・沖田さん・・!」
その顔を見た瞬間、涙が溢れてきた。
何とか起き上がり、空いている左手でその頬を触れる。
(あぁ・・・やっと、”私”として触れられた・・・。)
その感触に気付いたのか、閉じている目は少しずつ開かれて、私を見ると一気に見開く。
「す、すみません、起こし———?!」
全てを言う前に、その両腕で強く抱きしめられる。
「八神ちゃん・・良かった、ホンマに良かった・・・!」
「っ・・沖田さ・・・うわぁぁん!!」
私としてこの体に触れたかった。
この温もりを感じたかった。
あなたと———ずっと話したかった。
「ごめんなさ・・ず、ずっと・・・騙して、ごめんなさっ・・・ごめんなさいぃ!!」
子供の様に泣き叫ぶ私を、沖田さんはずっと抱きしめてくれる。
「なんも言うな・・今は、なんも言わんでええ・・お前が無事で何よりや・・・ワシは、それだけでええ・・・!」
その声が震えていることに気がつく。
私の為に・・・泣いてくれているんですか?私の事、そんなに心配してくれたんですか・・?
「・・・シエル・・・。」
「・・?」
「私の・・・本当の、名前は・・・八神シエルです・・。」
「・・・シエル・・ええ名前や。」
そういう沖田さんの目は、いつもと変わらない——ううん、もっと優しい目だった。
「・・やっと会えたな。ホンマのお前に。」
「・・・ずっと、ずっと名乗りたかった・・・!ずっとずっと、あなたに会いたかった・・・!」
「・・ワシも、ホンマのシエルちゃんに会いたかったんや。」
「沖田さん・・!」
——心から好きな人と会える”女としての幸せ”を初めて知った。
見つめ合う私達に、もうこれ以上言葉はいらなかった。
自然と唇が近づき、優しく触れる程度の口付けが交わされた。
(あぁ・・・幸せ・・・。)
その後、お互いが求めあい舌を絡ませる。
今この部屋を支配しているのは、舌を絡み合うときに聴こえるぴちゃぴちゃという厭らしい音と、深い口付けの合間に聞こえる二人の甘い吐息だけ。