企画短編
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『話があるんや。今夜そっち行ってええ?』
「え?うん大丈夫だけど…真島さん今日退院だったよね?平気なの?」
『問題あらへんよ。ほんならすぐ行くわ。』
「分かった、待ってるね!」
恋人の真島さんとそんな会話をしたのが今から30半くらい前。そろそろ着く頃かな?いつも電話した後来るっていうとこのくらいの時間に着くもんね。
(…今回の入院、長かったなぁ…。)
ヤクザだから怪我や入院は仕方ないことだけど…今回は本当に重症だった。西田さんに無理言って一回だけ病院に行ったけど、何十人もの関西ヤクザ相手にたった一人で立ち向かったから身体中傷だらけだった。
私が行った日、たまたま真島さんは眠っていただけらしいけど…その寝顔はまるで…。
(もう起きないかと思うくらい…静かだった。)
本当に怖くて怖くて…西田さんの前で思わず泣き出しちゃったんだよね。
私の大切な人は、そんな危ない世界にいる。いつ命が奪われてもおかしくないんだ。今までが幸せで、安心で…気づいてなかったんだ。ううん…現実を見たくなくて知らないふりをしてただけかもしれない。
(私は…。)
[ ピンポーン ]
「!」
悩んでいたその時、インターホンが鳴った。真島さんが着いたんだ…!駆け足で玄関に向かって扉を開ける。急いで開けたせいなのか、扉の向こうに立っていた真島さんはちょっと驚いてた。
「うぉびびった…!急に開けるなって前にも言うたやんかぁ。」
「ご、ごめんなさい…!」
優しい笑顔でそう言ってくれる真島さん。玄関の扉を閉めて入ってきた真島さん。真島さん…真島さんが、動いてる…!
「ふぇっ…真島さぁん…!!」
「っと!…心配かけてすまんかったなシエル…。」
「ううんっ…ううんっ…!ひっく、うっ…!」
元気そうな真島さんの顔を見て思わず涙が出てしまった私はそのまま抱きついていた。泣き顔は見せないようにしようって思ってたのに…こうして真島さんを見ると…やっぱり、泣いちゃう…!
そんな私を優しく抱きしめてくれる真島さんは、一度強く力を込めたらすぐに引き離してしまう。それにちょっと違和感を感じつつも、私は手を握って中に誘導しようとした。
「ごめんなさい、急に泣いちゃって…えっと…話があるんだよね?お茶用意するから中に…。」
「いや、ここでええ。」
「え?」
「ここでええんや。」
グッと私を引き止める真島さん。その目はいつになく真剣な目だった。ドキッとしたのと同時に感じる、不安。その不安が私の口を走らせる。
「ど、どうしたの?入ろうよ、ね?」
「…シエル…あんな?」
「真島さん退院したばっかりなんだから休まないとだし…。」
「聞いとくれシエル。」
「話なら座りながらできるでしょ?ね、だから…。」
「シエル。」
「っ…。」
真剣な目、本気の声。そんな真島さんを見てしまったら…もう何も言えないよ…。
諦めた私を察した真島さんは私の手を離してじっと見つめてくる。
「…西田から聞いた。……病室で泣いとったらしいの。」
「……。」
「前に怪我やらもあったけど…今回はホンマ怖かったやろ?」
「……。」
「シエルが泣いとった聞いた時に思うたんや。…やっぱり俺とお前は…住む世界がちゃうってな。俺にとっては普通でもシエルにとっては普通やない。」
「…っ…。」
「…もう、これ以上…お前を泣かせとうない。俺のせいで傷ついて泣くシエルを…見とうないんや。」
「……、…っ……。」
「お前は…普通の世界で幸せにならなあかんのや。」
「…ヒッ…うっ、……!」
「……話は、それだけや……。」
真島さんは優しく微笑みながら部屋をそのまま出て行こうとする。私はその手を………
(…なんで…なんで……?)
強く掴む。
「…シエル?」
「……な、んで……そんな事っ…!」
確かに怖かった。次もし真島さんに何かあったらどうしよう、今度こそ二度と会えないかもしれない。物凄い怖かったよ…でもっ……!
「…怖かった、けどっ…なんで……離れ、ようとするの…?」
「なっ…なんでってお前、俺の言う事聞いとったんか?俺とお前は住む世界がちゃうって…。」
「だとしてもっ…そうだとしてもっ…!」
私の言ってることが滅茶苦茶なのは分かってる。真島さんの言いたい事も分かる。だけど、だけどこんなの…こんなの嫌だ…!
「なんで…!なんで、“それでも俺のそばにいてくれ”って…言ってくれないの?!」
「?!」
「あの時っ…真島さんに、告白された日っ…言って、くれたじゃない…!」
そう、大切なあの日。私にとって人生が大きく変わったあの夜。真島さんは唇を強引に奪ってこう言ってくれた。
『俺は一度気に入ったモンは手放さへん。…それでもええか?』
あの目に、あの言葉に心を奪われた。普通は断っても良かった。だって相手は極道でしかも自分の組を持つ組長。そんなのこれからの一生を過ごす相手にするにはリスクが大きい。
…無視してたけど、ずっと分かってた。だけど…だけど私は…!
「私はあの日にっ!私の人生は真島さんと一緒だって決めたのっ!」
「…っ…!」
「手放さないって…言って、くれたからっ…!だから私…私の、今後の人生はっ…あなたに捧げるって、決めたの…怖いけど、怖いけど…!でも何より怖いのはっ……真島さんとっ…違う人生を…歩むのが……こわっ……っ……。」
幸せな日々に目が眩んで。これからもこんな生活が当たり前なんだって考えて。決めた気持ちは軽くてどうしようもなかった。一緒だって決めたのに、人生を捧げるって決めたのに…その覚悟が足りなかったんだ。
私はただ…眩しい日々を与えてくれたあなたに惹かれていて本当のあなたをちゃんと見てなかった。だからさっき真島さんが別れを伝えようとしてた時……本当に…苦しかった。私が泣いたから真島さんを苦しめた。そんな自分が嫌で何も言えなかったけど…今なら、言える。
「……真島、さんっ……私の人生をっ…あなたに捧げます……これからもずっと、一緒にいたい…!」
ボロボロと泣きながら真っ直ぐに真島さんの目を見つめる。今度こそ決めたから、あなたの傍にいるって。
「真島さんっ…真島さん、私っ……!」
「もうええ。」
「っ。」
「もう充分、伝わったから。せやから…もう何も言わんでええよ。今はもう……シエルを…。」
そう言う真島さんの目はどこか嬉しそうな切なそうな…そんな感情を持ちながら涙を流してた。あの日とは違うそんな目に惹かれた私は……また真島さんの強引なキスを受け入れてた。
**********
『俺は一度気に入ったモンは手放さへん。…それでもええか?』
あんな事言うといて離れようとした俺自身が嫌やった。腹立たしかった。せやけどしゃあないやないか。惚れた女を泣かせてしまうなんて、絶対にしたらアカンのや。
黒の世界に身を沈めた俺が今更人並みの幸せを求めるやなんて間違いやったんや。
(せやのに…シエルは……。)
『……真島、さんっ……私の人生をっ…あなたに捧げます……これからもずっと、一緒にいたい…!』
そないな事言われたら、もうどうしようもできひんやんか。
(ホンマは、手放す気なんてあらへん。)
惚れたお前を手放すやなんて、そないな事するわけないやんか。
「…シエルっ……愛しとるよ…。」
「……私、も…愛して、ますっ……。」
俺やってお前に告白したあの日に…もう決めとったんや。俺の人生を…俺の全部をお前に捧げるって。どんな事があっても絶対に一緒におるって。
(…改めて誓うで。)
俺の全部をお前にくれたる。
乱れ喘ぐシエルの中に子種を出しながら、そう考えとった。
「え?うん大丈夫だけど…真島さん今日退院だったよね?平気なの?」
『問題あらへんよ。ほんならすぐ行くわ。』
「分かった、待ってるね!」
恋人の真島さんとそんな会話をしたのが今から30半くらい前。そろそろ着く頃かな?いつも電話した後来るっていうとこのくらいの時間に着くもんね。
(…今回の入院、長かったなぁ…。)
ヤクザだから怪我や入院は仕方ないことだけど…今回は本当に重症だった。西田さんに無理言って一回だけ病院に行ったけど、何十人もの関西ヤクザ相手にたった一人で立ち向かったから身体中傷だらけだった。
私が行った日、たまたま真島さんは眠っていただけらしいけど…その寝顔はまるで…。
(もう起きないかと思うくらい…静かだった。)
本当に怖くて怖くて…西田さんの前で思わず泣き出しちゃったんだよね。
私の大切な人は、そんな危ない世界にいる。いつ命が奪われてもおかしくないんだ。今までが幸せで、安心で…気づいてなかったんだ。ううん…現実を見たくなくて知らないふりをしてただけかもしれない。
(私は…。)
[ ピンポーン ]
「!」
悩んでいたその時、インターホンが鳴った。真島さんが着いたんだ…!駆け足で玄関に向かって扉を開ける。急いで開けたせいなのか、扉の向こうに立っていた真島さんはちょっと驚いてた。
「うぉびびった…!急に開けるなって前にも言うたやんかぁ。」
「ご、ごめんなさい…!」
優しい笑顔でそう言ってくれる真島さん。玄関の扉を閉めて入ってきた真島さん。真島さん…真島さんが、動いてる…!
「ふぇっ…真島さぁん…!!」
「っと!…心配かけてすまんかったなシエル…。」
「ううんっ…ううんっ…!ひっく、うっ…!」
元気そうな真島さんの顔を見て思わず涙が出てしまった私はそのまま抱きついていた。泣き顔は見せないようにしようって思ってたのに…こうして真島さんを見ると…やっぱり、泣いちゃう…!
そんな私を優しく抱きしめてくれる真島さんは、一度強く力を込めたらすぐに引き離してしまう。それにちょっと違和感を感じつつも、私は手を握って中に誘導しようとした。
「ごめんなさい、急に泣いちゃって…えっと…話があるんだよね?お茶用意するから中に…。」
「いや、ここでええ。」
「え?」
「ここでええんや。」
グッと私を引き止める真島さん。その目はいつになく真剣な目だった。ドキッとしたのと同時に感じる、不安。その不安が私の口を走らせる。
「ど、どうしたの?入ろうよ、ね?」
「…シエル…あんな?」
「真島さん退院したばっかりなんだから休まないとだし…。」
「聞いとくれシエル。」
「話なら座りながらできるでしょ?ね、だから…。」
「シエル。」
「っ…。」
真剣な目、本気の声。そんな真島さんを見てしまったら…もう何も言えないよ…。
諦めた私を察した真島さんは私の手を離してじっと見つめてくる。
「…西田から聞いた。……病室で泣いとったらしいの。」
「……。」
「前に怪我やらもあったけど…今回はホンマ怖かったやろ?」
「……。」
「シエルが泣いとった聞いた時に思うたんや。…やっぱり俺とお前は…住む世界がちゃうってな。俺にとっては普通でもシエルにとっては普通やない。」
「…っ…。」
「…もう、これ以上…お前を泣かせとうない。俺のせいで傷ついて泣くシエルを…見とうないんや。」
「……、…っ……。」
「お前は…普通の世界で幸せにならなあかんのや。」
「…ヒッ…うっ、……!」
「……話は、それだけや……。」
真島さんは優しく微笑みながら部屋をそのまま出て行こうとする。私はその手を………
(…なんで…なんで……?)
強く掴む。
「…シエル?」
「……な、んで……そんな事っ…!」
確かに怖かった。次もし真島さんに何かあったらどうしよう、今度こそ二度と会えないかもしれない。物凄い怖かったよ…でもっ……!
「…怖かった、けどっ…なんで……離れ、ようとするの…?」
「なっ…なんでってお前、俺の言う事聞いとったんか?俺とお前は住む世界がちゃうって…。」
「だとしてもっ…そうだとしてもっ…!」
私の言ってることが滅茶苦茶なのは分かってる。真島さんの言いたい事も分かる。だけど、だけどこんなの…こんなの嫌だ…!
「なんで…!なんで、“それでも俺のそばにいてくれ”って…言ってくれないの?!」
「?!」
「あの時っ…真島さんに、告白された日っ…言って、くれたじゃない…!」
そう、大切なあの日。私にとって人生が大きく変わったあの夜。真島さんは唇を強引に奪ってこう言ってくれた。
『俺は一度気に入ったモンは手放さへん。…それでもええか?』
あの目に、あの言葉に心を奪われた。普通は断っても良かった。だって相手は極道でしかも自分の組を持つ組長。そんなのこれからの一生を過ごす相手にするにはリスクが大きい。
…無視してたけど、ずっと分かってた。だけど…だけど私は…!
「私はあの日にっ!私の人生は真島さんと一緒だって決めたのっ!」
「…っ…!」
「手放さないって…言って、くれたからっ…!だから私…私の、今後の人生はっ…あなたに捧げるって、決めたの…怖いけど、怖いけど…!でも何より怖いのはっ……真島さんとっ…違う人生を…歩むのが……こわっ……っ……。」
幸せな日々に目が眩んで。これからもこんな生活が当たり前なんだって考えて。決めた気持ちは軽くてどうしようもなかった。一緒だって決めたのに、人生を捧げるって決めたのに…その覚悟が足りなかったんだ。
私はただ…眩しい日々を与えてくれたあなたに惹かれていて本当のあなたをちゃんと見てなかった。だからさっき真島さんが別れを伝えようとしてた時……本当に…苦しかった。私が泣いたから真島さんを苦しめた。そんな自分が嫌で何も言えなかったけど…今なら、言える。
「……真島、さんっ……私の人生をっ…あなたに捧げます……これからもずっと、一緒にいたい…!」
ボロボロと泣きながら真っ直ぐに真島さんの目を見つめる。今度こそ決めたから、あなたの傍にいるって。
「真島さんっ…真島さん、私っ……!」
「もうええ。」
「っ。」
「もう充分、伝わったから。せやから…もう何も言わんでええよ。今はもう……シエルを…。」
そう言う真島さんの目はどこか嬉しそうな切なそうな…そんな感情を持ちながら涙を流してた。あの日とは違うそんな目に惹かれた私は……また真島さんの強引なキスを受け入れてた。
**********
『俺は一度気に入ったモンは手放さへん。…それでもええか?』
あんな事言うといて離れようとした俺自身が嫌やった。腹立たしかった。せやけどしゃあないやないか。惚れた女を泣かせてしまうなんて、絶対にしたらアカンのや。
黒の世界に身を沈めた俺が今更人並みの幸せを求めるやなんて間違いやったんや。
(せやのに…シエルは……。)
『……真島、さんっ……私の人生をっ…あなたに捧げます……これからもずっと、一緒にいたい…!』
そないな事言われたら、もうどうしようもできひんやんか。
(ホンマは、手放す気なんてあらへん。)
惚れたお前を手放すやなんて、そないな事するわけないやんか。
「…シエルっ……愛しとるよ…。」
「……私、も…愛して、ますっ……。」
俺やってお前に告白したあの日に…もう決めとったんや。俺の人生を…俺の全部をお前に捧げるって。どんな事があっても絶対に一緒におるって。
(…改めて誓うで。)
俺の全部をお前にくれたる。
乱れ喘ぐシエルの中に子種を出しながら、そう考えとった。
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