Holy Song
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「…こんな感じです。」
弾き終えた私はそう言いながら軽く会釈する。そんな私に真島さんは小さな拍手を送ってくれた。
「ええ曲やなぁ。あの少しの歌詞はシエルちゃんの望んどる事なんか?」
「えっ…どうして分かったんですか?」
「気持ちがこもっとるんが充分伝わったんや。そうでありたいっちゅうシエルちゃんの願いがな。」
す…凄い…あの歌詞だけで分かっちゃうなんて…。
「後半のハミングは楽しそうやったけど歌詞を歌っとる時は…なんや少し寂しそうな顔しとったで?…女が身一つでこの街におるんはなにかワケありが多いんやが、シエルちゃんもそうなんやろ?」
…そう、だよね。こんな危ない街に女が一人で来ることなんてないよね。そう思われても仕方ない…事実だし。この人になら…少しだけ話してもいいかな。
私はギターをしまいながら少しずつ話し始める。
「えっと…私の家がちょっと厳しくて…子供の頃からあんまり自由がなかったんです。私自身も自分の意見を言える性格じゃなくて…ずっと我慢してたんです。それでその…。」
「なるほどな。我慢の限界がきて神室町に来たわけやな?」
「あはは…そうです。ここなら両親にすぐバレませんから。」
私の地元はここから離れた場所。両親の元を離れるには、ずっとずっと遠いこの神室町に来るしかなかった。そうじゃないと私は…自由になれないんだから。
…って、こんな話されても困るよね。
「すみません、こんな…。」
「かまへん、聞いたのは俺やからな。ここにきてどれくらいなん?」
「もう2週間くらいですかね。お金もろくに持ってなかったので…そろそろ限界って感じです。折角出られたのに…ははっ、戻らなきゃいけないんですかね…。」
不甲斐ない自分が嫌い。絶対に挫けないって決めたのに、減っていくお金が私の心を傷つけてくる。親のお金にも頼りたくなくて貯金してきたお金だけでなんとかやってこれたけど…現実は甘くない。
歌だって収益目当てでやってるわけじゃないからプラスにはならないし…どうしたらいいのか分からないよ…。
「えへへ…すみません。」
「…せや。まだ払っとらんかったな。」
「え?」
(払ってないって、何を?)
真島さんの方を見ると胸元から出してきた財布からお金を出して私の手に握らせてきた。
「これ…は…?」
「ええ歌聴けた代金や。受け取ってくれ。」
代金って…え?これいくらあるの?
1万円札が1、2、3……えっ10枚?!10万円?!
「こ、こんな金額受け取れません!そもそも助けてくれたお礼に歌ったのに…!」
慌ててお金を戻そうとすると、真島さんは首を横に振りながら返そうとする私の手をそっと包み込んでくれる。
「シエルちゃんが本気でこの街におりたいってのは充分伝わった。せやから渡すんや。いつか返せるくらいごっつい有名人になったら返すんでええから、な?」
「ど…うして…?」
どうしてそんなに…そんなに優しくしてくれるんですか…?
「自分の嫌いなトコに行く必要あらへん。好きな事だって我慢せんでええんや。もっと自分を大事にしぃや?俺は頑張る人間を応援したなるんや。…俺のわがまま、聞いてくれへん?」
「っ…。」
そんな風に言われたら…私、もう何も言えないよ…。初対面の私にここまで優しくしてくれるなんて…しかもこんなにお金まで…。
「…あ、りがと…ございまっ…うっ、ヒック…!」
「…1人で不安やったろ…よう頑張ったな。」
「っ…すみ、ませ…私っ…!」
「ええよ、泣きたい時は泣いたらええ。」
真島さんの優しさに心が緩んだ私の目は、どんどん涙が溢れ出てくる。どんなに拭っても止まらない私を、真島さんはそっと頭を撫でながら慰めようとしてくれる。その手の温もりも嬉しくて…私の涙腺は余計に崩壊して…もっと涙が止まらない。
「ふぇっうっ…グスッ、ヒック…!」
「……。」
「ぐす…、…?!」
ずっと泣き続ける私の事を––––真島さんが思い切り抱きしめてきた。
「ま、まま真島さんっ…?!」
「知らん男にこうされて嫌やろうけど…女の涙を黙って見てられへんのや。暫く貸したるから、仰山泣いてええよ。」
「っ…う…っうわあぁぁん!!」
(…誰かに抱きしめられるのって…いつが最後だっけ…。)
「…ん……あれ…?」
私…いつの間にか寝ちゃってた…?…真島さん…いない…?あたりを見渡してもいない真島さんを探そうとしたその時、ベッド横のサイドテーブルにメモ書きがあるのに気がついた。
そのメモを手に取ってみると、そこには真島さんが書いたであろう文字が書かれてあった。
【ゆっくり寝れたか?起きたら時間ある時ここまで来ぃや。待ってるで。】
………凄い達筆…綺麗な字……意外…。
えっと、ここの住所って…え、ここどこだろう。まだ神室町の住所覚えきれてないからわかんないよ…交番の人に聞けばいいかな?
「……。」
『…1人で不安やったろ…よう頑張ったな。』
(真島さんの体…暖かったなぁ…。)
人の温もりを久しぶりに感じれたのが久しぶりで大泣きしちゃった…真島さんにも迷惑かけちゃったし、早速行こう!時間的にもう朝だし…でも早すぎるかな…でも早く会って謝りたいし……うん、行こう!
私は荷物をまとめてホテルをチェックアウトしようとしたら、フロントに人にお金を拒否されてしまう。
「ど、どうしてですか?代金のお支払いまだですよね?」
「いえ、すでに真島様からいただいておりますので結構でございます。」
「えっ?!」
「どうかお気になさらずとも申しておりました。またのお越しをお待ちしております。」
そ、そんな…!ホテル代まで出してもらうなんて…!
「あ、ありがとうございました…。」
びっくりした…そこまでしてくれるなんて…。
「…はっ!!」
フロントの人に真島さんが残した住所聞けばよかったぁ!!
弾き終えた私はそう言いながら軽く会釈する。そんな私に真島さんは小さな拍手を送ってくれた。
「ええ曲やなぁ。あの少しの歌詞はシエルちゃんの望んどる事なんか?」
「えっ…どうして分かったんですか?」
「気持ちがこもっとるんが充分伝わったんや。そうでありたいっちゅうシエルちゃんの願いがな。」
す…凄い…あの歌詞だけで分かっちゃうなんて…。
「後半のハミングは楽しそうやったけど歌詞を歌っとる時は…なんや少し寂しそうな顔しとったで?…女が身一つでこの街におるんはなにかワケありが多いんやが、シエルちゃんもそうなんやろ?」
…そう、だよね。こんな危ない街に女が一人で来ることなんてないよね。そう思われても仕方ない…事実だし。この人になら…少しだけ話してもいいかな。
私はギターをしまいながら少しずつ話し始める。
「えっと…私の家がちょっと厳しくて…子供の頃からあんまり自由がなかったんです。私自身も自分の意見を言える性格じゃなくて…ずっと我慢してたんです。それでその…。」
「なるほどな。我慢の限界がきて神室町に来たわけやな?」
「あはは…そうです。ここなら両親にすぐバレませんから。」
私の地元はここから離れた場所。両親の元を離れるには、ずっとずっと遠いこの神室町に来るしかなかった。そうじゃないと私は…自由になれないんだから。
…って、こんな話されても困るよね。
「すみません、こんな…。」
「かまへん、聞いたのは俺やからな。ここにきてどれくらいなん?」
「もう2週間くらいですかね。お金もろくに持ってなかったので…そろそろ限界って感じです。折角出られたのに…ははっ、戻らなきゃいけないんですかね…。」
不甲斐ない自分が嫌い。絶対に挫けないって決めたのに、減っていくお金が私の心を傷つけてくる。親のお金にも頼りたくなくて貯金してきたお金だけでなんとかやってこれたけど…現実は甘くない。
歌だって収益目当てでやってるわけじゃないからプラスにはならないし…どうしたらいいのか分からないよ…。
「えへへ…すみません。」
「…せや。まだ払っとらんかったな。」
「え?」
(払ってないって、何を?)
真島さんの方を見ると胸元から出してきた財布からお金を出して私の手に握らせてきた。
「これ…は…?」
「ええ歌聴けた代金や。受け取ってくれ。」
代金って…え?これいくらあるの?
1万円札が1、2、3……えっ10枚?!10万円?!
「こ、こんな金額受け取れません!そもそも助けてくれたお礼に歌ったのに…!」
慌ててお金を戻そうとすると、真島さんは首を横に振りながら返そうとする私の手をそっと包み込んでくれる。
「シエルちゃんが本気でこの街におりたいってのは充分伝わった。せやから渡すんや。いつか返せるくらいごっつい有名人になったら返すんでええから、な?」
「ど…うして…?」
どうしてそんなに…そんなに優しくしてくれるんですか…?
「自分の嫌いなトコに行く必要あらへん。好きな事だって我慢せんでええんや。もっと自分を大事にしぃや?俺は頑張る人間を応援したなるんや。…俺のわがまま、聞いてくれへん?」
「っ…。」
そんな風に言われたら…私、もう何も言えないよ…。初対面の私にここまで優しくしてくれるなんて…しかもこんなにお金まで…。
「…あ、りがと…ございまっ…うっ、ヒック…!」
「…1人で不安やったろ…よう頑張ったな。」
「っ…すみ、ませ…私っ…!」
「ええよ、泣きたい時は泣いたらええ。」
真島さんの優しさに心が緩んだ私の目は、どんどん涙が溢れ出てくる。どんなに拭っても止まらない私を、真島さんはそっと頭を撫でながら慰めようとしてくれる。その手の温もりも嬉しくて…私の涙腺は余計に崩壊して…もっと涙が止まらない。
「ふぇっうっ…グスッ、ヒック…!」
「……。」
「ぐす…、…?!」
ずっと泣き続ける私の事を––––真島さんが思い切り抱きしめてきた。
「ま、まま真島さんっ…?!」
「知らん男にこうされて嫌やろうけど…女の涙を黙って見てられへんのや。暫く貸したるから、仰山泣いてええよ。」
「っ…う…っうわあぁぁん!!」
(…誰かに抱きしめられるのって…いつが最後だっけ…。)
「…ん……あれ…?」
私…いつの間にか寝ちゃってた…?…真島さん…いない…?あたりを見渡してもいない真島さんを探そうとしたその時、ベッド横のサイドテーブルにメモ書きがあるのに気がついた。
そのメモを手に取ってみると、そこには真島さんが書いたであろう文字が書かれてあった。
【ゆっくり寝れたか?起きたら時間ある時ここまで来ぃや。待ってるで。】
………凄い達筆…綺麗な字……意外…。
えっと、ここの住所って…え、ここどこだろう。まだ神室町の住所覚えきれてないからわかんないよ…交番の人に聞けばいいかな?
「……。」
『…1人で不安やったろ…よう頑張ったな。』
(真島さんの体…暖かったなぁ…。)
人の温もりを久しぶりに感じれたのが久しぶりで大泣きしちゃった…真島さんにも迷惑かけちゃったし、早速行こう!時間的にもう朝だし…でも早すぎるかな…でも早く会って謝りたいし……うん、行こう!
私は荷物をまとめてホテルをチェックアウトしようとしたら、フロントに人にお金を拒否されてしまう。
「ど、どうしてですか?代金のお支払いまだですよね?」
「いえ、すでに真島様からいただいておりますので結構でございます。」
「えっ?!」
「どうかお気になさらずとも申しておりました。またのお越しをお待ちしております。」
そ、そんな…!ホテル代まで出してもらうなんて…!
「あ、ありがとうございました…。」
びっくりした…そこまでしてくれるなんて…。
「…はっ!!」
フロントの人に真島さんが残した住所聞けばよかったぁ!!