Holy Song
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『お前は–––だ』
大きな家の小さな部屋。そこが私の居場所だった。
『どうして–––できないの?!』
人を叩く音なんか日常だった。
『女を–––やろう。』
やめて…やめて…。
『あなたなんか–––かった。』
ごめんなさい…ごめんな、さい……。
–––デキソコナイデゴメンナサイ
「……ん…。」
…あれ…?ここって…私の、部屋…?なんで、私…みんなと一緒に焼肉屋さんにいたのに……。そういえば私気を失ったような…。
「気ぃついたか?」
「…?」
この声…真島さん…?
声のする方に顔を少し向けると、真島さんがベッドの横の床に座っていて、目が覚めた私の頭を撫でてくれていた。
「真島さん…私、どうして…?」
「店で倒れてしもうたんや。疲れもあったんやろな、今の今までずっと寝とったんやで?」
今のいままでって……そういえば外、少し明るいような…。
えっ、もしかして明け方…?
「…真島さん…ずっといてくれたんですか…?」
「おう。ここまで桐生ちゃんと兄弟に手伝ってもろたんや。嬢ちゃんも心配しとった、後で連絡してやり?」
「…はい。」
やっちゃった…みんなに迷惑かけちゃった…。
「すまんの、路上終わりに俺が誘ってしもうたから。」
「えっ…ち、違います、真島さんの所為じゃないです…!」
「…シエルちゃんは優しいの。」
落ち着いた笑顔で話しかけてくる真島さんの声が本当に優しくて…ドキドキする…。
私の手は自然と撫でてくれている真島さんの手を触れていた。ピクリと反応した真島さんは一瞬真顔になったけど、またすぐに優しい笑顔になってそっとその手を握ってくれる。
「…さっき少し魘されとったけど嫌な夢見たんか?」
「…嫌な、夢…。」
嫌な夢、か……見てた気がする。周りに責められて、怒られて…凄い、怖い夢…。
「…見たと、思います…凄い……怖い夢、でした…。」
「…そうか。安心するまで握っててええで?」
「…はい…ありがとう、ございます…。」
「っ…冗談、やったんやけど…素直やなぁ。」
確かにまだ寝ぼけてるから、かな…頭がちゃんと回ってない気がする…。
だから、かな…今凄い、真島さんに伝えたいことがいっぱいある…。
「私…今日本当に、楽しかったです。みんなと連絡先交換して、いっぱいご飯食べて…あんなに笑って…初めて、でした。あんな…幸せな時間を過ごしたの。」
「それなら良かったわ。アイツらみんなええ奴ばっかやから、何かあったら頼ったらええよ。」
「…真島さん。」
「ん?」
「本当に…ありがとうございます。真島さんのおかげで私…この町での日々が、本当に楽しんです。」
たった一人で家を出て、不安で仕方なくて…でも私はこの街でしか生きることしかできなくて…歌って頑張ってたけど…貯金がなくなっていって、また不安で…。
そんな時に真島さんが、私を助けてくれた。暗がりの中怖がってた私を、救い出してくれた人。
「真島さんは私にとって…命の恩人です。」
「ヒヒッ、極道が命の恩人、か…おもろいの。」
「ふふっ。」
(あ…やばい、どうしよう…。)
真島さんへの想いが、溢れ出てくる…伝えたい、お礼だけじゃなくて…私の気持ちも、伝えたくなっちゃった…。
体を起き上がらせた私は真島さんの手を両手で握る。
「…真島さん、私…。」
「……。」
「私っ、…あのっ…真島さんの、こと…!」
–––好き。
「それ以上はアカンよ、シエルちゃん。」
「–––っ…え…?」
真島さんに想いを告げようとしたその口を…真島さんは指先でそっと押さえてくる。
「そっから先は言うたらアカン。」
「っ…?」
どう…して…?そう言うって事は…真島さんは私の言いたい事が、分かってるって事だよね…?どうして、だめなの…?
目尻から僅かに溢れ出た涙をそっと指先で拭いながら、少し苦しそうな笑顔で真島さんは私を見てくる。
「頼むからその先は言わんでくれ。これは…俺のわがままや。」
「…真島、さん…?」
「ゆっくり休みんやで。また歌う時は連絡してくれ。」
「っ…!」
私が握ってた真島さんの手はスルリと抜けて、真島さんの体は静かに立ち上がる。
嫌だ…待って…!!
「真島さんっ…!」
「ほな、またな。」
待ってと願う私の声は流されて、真島さんは静かに部屋を出ていった。
真島さんがいなくなって静かになる部屋。なくなった温もりが私の心を寂しくさせていく。ベッドの中に体を埋めたけど、心の寒さは温もりを取り戻してくれない。
「…グスッ…ヒック…。」
(気づいてる…真島さんは、私の想いに気づいてる…。)
なのにそれを拒んだって事は…私の想いに、応えられないって事だよね。だから言わないでくれって言ったんだよね。
私…私は……。
(いつも…望んだって、叶えられない…。)
温もりも、優しさも……恋も。
**********
「…くそっ…。」
私が落ち込みながら眠っていた頃、夜の帰り道で真島さんが苦しそうに呟いていたなんて、知る由もなかった。
大きな家の小さな部屋。そこが私の居場所だった。
『どうして–––できないの?!』
人を叩く音なんか日常だった。
『女を–––やろう。』
やめて…やめて…。
『あなたなんか–––かった。』
ごめんなさい…ごめんな、さい……。
–––デキソコナイデゴメンナサイ
「……ん…。」
…あれ…?ここって…私の、部屋…?なんで、私…みんなと一緒に焼肉屋さんにいたのに……。そういえば私気を失ったような…。
「気ぃついたか?」
「…?」
この声…真島さん…?
声のする方に顔を少し向けると、真島さんがベッドの横の床に座っていて、目が覚めた私の頭を撫でてくれていた。
「真島さん…私、どうして…?」
「店で倒れてしもうたんや。疲れもあったんやろな、今の今までずっと寝とったんやで?」
今のいままでって……そういえば外、少し明るいような…。
えっ、もしかして明け方…?
「…真島さん…ずっといてくれたんですか…?」
「おう。ここまで桐生ちゃんと兄弟に手伝ってもろたんや。嬢ちゃんも心配しとった、後で連絡してやり?」
「…はい。」
やっちゃった…みんなに迷惑かけちゃった…。
「すまんの、路上終わりに俺が誘ってしもうたから。」
「えっ…ち、違います、真島さんの所為じゃないです…!」
「…シエルちゃんは優しいの。」
落ち着いた笑顔で話しかけてくる真島さんの声が本当に優しくて…ドキドキする…。
私の手は自然と撫でてくれている真島さんの手を触れていた。ピクリと反応した真島さんは一瞬真顔になったけど、またすぐに優しい笑顔になってそっとその手を握ってくれる。
「…さっき少し魘されとったけど嫌な夢見たんか?」
「…嫌な、夢…。」
嫌な夢、か……見てた気がする。周りに責められて、怒られて…凄い、怖い夢…。
「…見たと、思います…凄い……怖い夢、でした…。」
「…そうか。安心するまで握っててええで?」
「…はい…ありがとう、ございます…。」
「っ…冗談、やったんやけど…素直やなぁ。」
確かにまだ寝ぼけてるから、かな…頭がちゃんと回ってない気がする…。
だから、かな…今凄い、真島さんに伝えたいことがいっぱいある…。
「私…今日本当に、楽しかったです。みんなと連絡先交換して、いっぱいご飯食べて…あんなに笑って…初めて、でした。あんな…幸せな時間を過ごしたの。」
「それなら良かったわ。アイツらみんなええ奴ばっかやから、何かあったら頼ったらええよ。」
「…真島さん。」
「ん?」
「本当に…ありがとうございます。真島さんのおかげで私…この町での日々が、本当に楽しんです。」
たった一人で家を出て、不安で仕方なくて…でも私はこの街でしか生きることしかできなくて…歌って頑張ってたけど…貯金がなくなっていって、また不安で…。
そんな時に真島さんが、私を助けてくれた。暗がりの中怖がってた私を、救い出してくれた人。
「真島さんは私にとって…命の恩人です。」
「ヒヒッ、極道が命の恩人、か…おもろいの。」
「ふふっ。」
(あ…やばい、どうしよう…。)
真島さんへの想いが、溢れ出てくる…伝えたい、お礼だけじゃなくて…私の気持ちも、伝えたくなっちゃった…。
体を起き上がらせた私は真島さんの手を両手で握る。
「…真島さん、私…。」
「……。」
「私っ、…あのっ…真島さんの、こと…!」
–––好き。
「それ以上はアカンよ、シエルちゃん。」
「–––っ…え…?」
真島さんに想いを告げようとしたその口を…真島さんは指先でそっと押さえてくる。
「そっから先は言うたらアカン。」
「っ…?」
どう…して…?そう言うって事は…真島さんは私の言いたい事が、分かってるって事だよね…?どうして、だめなの…?
目尻から僅かに溢れ出た涙をそっと指先で拭いながら、少し苦しそうな笑顔で真島さんは私を見てくる。
「頼むからその先は言わんでくれ。これは…俺のわがままや。」
「…真島、さん…?」
「ゆっくり休みんやで。また歌う時は連絡してくれ。」
「っ…!」
私が握ってた真島さんの手はスルリと抜けて、真島さんの体は静かに立ち上がる。
嫌だ…待って…!!
「真島さんっ…!」
「ほな、またな。」
待ってと願う私の声は流されて、真島さんは静かに部屋を出ていった。
真島さんがいなくなって静かになる部屋。なくなった温もりが私の心を寂しくさせていく。ベッドの中に体を埋めたけど、心の寒さは温もりを取り戻してくれない。
「…グスッ…ヒック…。」
(気づいてる…真島さんは、私の想いに気づいてる…。)
なのにそれを拒んだって事は…私の想いに、応えられないって事だよね。だから言わないでくれって言ったんだよね。
私…私は……。
(いつも…望んだって、叶えられない…。)
温もりも、優しさも……恋も。
**********
「…くそっ…。」
私が落ち込みながら眠っていた頃、夜の帰り道で真島さんが苦しそうに呟いていたなんて、知る由もなかった。