「親父！そろそろ時間です！」
「おう、今行くで。」

あれから半年後。
真島建設は相変わらず土日祝日関係なく稼働しとる。今までと唯一ちゃうのは、定時上がりになったことくらいやな。
その方が士気が高まるからのう。

「おし、行くで西田。」
「はい！」



西田の運転で向かったのは、神室町から少し離れた小さな病院。最初は、こないナリした奴が現れて驚かせてしもうたが、今では患者達と仲良うさせてもらっとる。
その方が不便やないからな。

「あ！眼帯のおじさん！今度またキャッチボールしようよ！」
「お、ええで。ほなら次朝来た時やな。それまでちゃあんと先生の言うこと聞いとるんやで？」
「本当？！やったー！うん、わかったよ！」

ガキは素直でええ子やのう。
その後何人かと話した後、着いた部屋は”リハビリ室”。
この先に、ワシの大事な女がおる。

「シエル！迎えにきたで！」
「姐さん、お疲れ様です！」
「あ・・真島さん！西田さん！今最後に歩くから、ちょっと待ってて！」
「八神さん、せっかくなら彼氏さんに手伝ってもらったら？八神さんの彼氏さん、優しいもんね～。」
「ちょっ・・・！」
「お、ええで？ほなやろか？」
「ま・・真島さん・・・！」

シエルちゃんが起きたあの日から、柄本の言うた通り左足をうまく動かせんくなってしもうていた。右目も見えんから、うまく物を取るんが難しかった。
せやけど、今では週に何度かこの病院に通いリハビリを続けている。
そのおかげで完璧やないが、少しだけ歩けるようになっとる。
努力の賜物やで。