「おかげで今まで生きてこれた。・・・今回も仕事一つだった。ただそれだけ。」

もう全部話した。殺す。
そう思い、標的の目を見た。

「・・・？」

その目は、真っ直ぐ私を見ていた。
今まで私の事を見てくれていたのと、まったく同じ目だった。
・・・どうして？どうしてそんな目で見てくれるの？全部話したのに？

”・・・・・・。”

「もういいでしょ？私の話はこれで終わり。満足？」

”・・・テイイノ？”

殺す。殺すんだ。コイツを殺して、次は桐生一馬。それだけ。
それだけなのに・・・。どうして手が動かないの？どうしてそんな目で私を見てくれるの？これから殺されるのに、何で怖がらないの？

”・・シタクナイ。コノ・・・タクナイ。”

「話してくれておおきにな。」
「・・・え？」
「おかげで満足や。さ、あとはシエルちゃんが仕事するだけや。その銃で俺の眉間撃つだけや。」

そういうと、銃口を自分の眉間に自ら押し付けてきた。
どうしてそんな事ができるの？

「”どうして？”って目しとるな。」
「・・・？」
「極道の世界でもこんな事が日常茶飯事や。その日常が、たまたまこないな所で起こっとる。ただそれだけや。」

”コロ・・クナイ・・コノヒ・・ナイ”

「覚悟はあるって、ことね・・・。」
「もちろんや。せやけど、お前はちゃう。ここにきて迷っとる。せやから手伝ってやっとるんや。」

”モウ・・ロシタクナイ”