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BOJ-SSS6【"Period", those connecting golden chains】



「貴方は第三部隊長解任です。至急、人質とやらを解放なさい」
「は!それはいくら騎士王殿の命令でも承りかねますな!私が第三部隊長を解任された所で、そらは都市部の司法省に書類を提出しなければ受理されぬこと。口先でのご命令など怖くも何も有りません。今日ここで、ロボを殺し全ての決着をつければ、我々の正義は示される!」

 開き直ったように饒舌に口が回る第三部隊長。サーは沸騰した湯のように、ぐらぐらと燃えるその双眸をソルジャーに移した。

「…だそうです。ソルジャー=サラマンデ。彼等は『二強とロボ相手に喧嘩を売る』そうです」
「………」
「なッ、騎士王殿!?我々はこちらへ退いてくだされば、あなた方に対して余計な争いなど…」
「黙れ」

 ソルジャーが地の底から響くような低い声で短く呟いた。
 辺りがしんと静まり返る。
 彼が言葉を発することは本当に稀だ。心中は恐らく、彼の持つ術式の組式が如く燃え盛っているのだろう。本来、サーよりも気の短い男。無言でやり取りを聞いているうちに、先に怒髪天を突いていたのは彼の方だったらしい。イライラを示すように片足で忙しなく、砂の大地を踏みつけている。

「ロボ。私の『元部下』が大変失礼を致しました。貴方の目的達成、お手伝いさせていただけませんか」
「おう?別に構わねぇぜ。一人でこの砦を越えるのは、毎回苦労してたとこよ。なんせ、わらわら木偶の坊が現れるもんでな」

 わらわらと。恐らくは師団員の指揮系統に『ロボを殺す事は正当防衛』と組み込んであるのだろう。何が正当防衛だ。そんな事をしたらどうなるのか、師団員共も分かっているだろうに。
 いや、分かっていないのかもしれない。
 この全てをロボ討伐のために削られた砦では、ロボに対する敵対心は育てど哀れみは育たない。
 やはり若いのに頭の回る部隊長。しかし、小賢しい程度なら問題は無い。

 捩じ伏せるまでだ。力を持ってして。

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