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BOJ-SSS6【"Period", those connecting golden chains】

 我々二人が『二強』と呼ばれていた時代。
 遠い昔であってそう遠くはない昔でもあります。
 当時の私はジェノバ特級師団GHOST師団長である責務を軽んじていたのかも知れません。

 ただ戦場に赴く事が、戦場で生死を分かつ戦いに挑む事だけが、私の老いぬ身体と老いゆく精神を昂揚させてくれました。
 隣にはいつも片割れがいて、敵方には好敵手がいました。
 『二強』なれば世界中のどんな敵をも討ち取れる。私の慢心、それが彼の身体を削ぐ原因になったのでしょう。
 手の届く範囲なれば一人でも護りきることができる。私の独断が大切な人々を護りきれなかった悲劇に向かったのでしょう。

 私が大人しく幽閉される理由。生かされる理由。
 それは贖罪の他、なんでもありません。

 しかしいつまで跪き、槐に祈ったところで何も変わりはしませんでした。
 運命は切り開かねばならぬもの。
 今、この両手首に嵌められた金色の枷と鎖。
 こんな小細工で私を捕らえた気になっている、我々の時代を知らぬ若い者達。
 本来護るべき方を好敵手に預け、護るべき方々のため道を分けた片割れ。私に一体、何を嘆く資格があるのでしょうか。
 私に与えられたのが己を貫く刃でなくこの鎖ならば、私はそれをも糧にしてみせましょう。

 来たるべき戦禍の中で、為すべきことを為すために。

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