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BOJ-SSS4【Gills's One day】



 男達が姿を消して後、ギルスは肩を落として溜息をついた。

「はぁ、どうして楽しいお出掛けの後にお仕事しなければならないのでしょう…服なんて久しぶりに構築しました。変なところありません?篁」
「特にはないな。まぁ、仕事はいつもどこで起きるか解らないからな。事故だと思え事故」

 長身の男が二人並んで当たり前のように話し始めた。人垣はゆるゆると崩れ、人々は流し目でその二人を見ながらそろそろと散っていく。まさか目の前で『アレ』が行われるかと思ったが、ギルスにとってはなんと緩い刑だろう。

「しかし、あんたも狡い事を考えるな」
「なんの話ですか?私はシェリルさんのお庭を汚したくなかっただけです。篁、今夜は頼みますよ」
「任せておけ。あんたの下す裁決は一つしかないからな」

 良くも悪くも。いや、悪くもでしかない。

「さぁ、篁。私に押し付けた荷物をすべて回収してください。一つでも取り落としがあったら刑の執行はなしですよ」
「はいはい、わかってますよ。旦那様」

 荷物を拾い上げながら篁は笑みを零した。その間にギルスはさっさとタクシーを拾っている。ギルスと篁が二人で電車など乗り込んだりしたら、車両が一つからになる。的確な判断だがまた生活費がかさむ。稼ぐのは互いだし、こう言った費用は公費で落ちるから良いのだが。篁は見覚えのある袋を回収し終え、満足げに笑みを湛えたままタクシーへと乗り込んだ。

 ※ ※ ※ ※ ※

「ほら、ギルス。そろそろ寝る時間だぞ」
「はぁい。ゲームの時間は終わりですね」
「そうだ、ちゃんと歯を磨けよ。寝る前に菓子は禁止だぞ」
「むぅ、ではホットミルクをください。甘いのがいいです。そうしたら歯を磨きます」
「注文が多いな。そう言うと思ってもう用意してあるぞ」
「わーい、ありがとうございます」


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