幼馴染の術式はカワイソがすぎない?
俺、
小さい頃はそう信じていた。
給食でピーマンが出ても魔法の力を使えば、好きな味にできる。
ちなみに、俺が変えられる味はカレー味とプリン味。
大好物だった。
そのおかげで、俺が給食を残したことはない。
その俺には、近所に住む同い年の幼馴染みがいる。
彼は俺が小学3年生の時に隣に引っ越してきた。
綺麗な黒いストレートの髪に横に垂らした独特な前髪の彼をみた時、非常に既視感を感じた。
こんな独特の髪の小学生見たことはないけどね!
彼は隠れていた母親の後ろからチラリとコチラを見て小さくお辞儀をした。
かっわええ!!
「よろしく!アジオシ ヨシオだよ。仲良くしてね。」
自己紹介すると、男の子は小さく頷いてくれた。
「僕は、げとうすぐる。よろしくね!」
緊張しつつも、ニコッと笑ってくれた。
それから年月がたち、俺たちはよく一緒に遊ぶようになり仲良くなった。
家が近かったので小学校も中学も一緒で行動は必然的に一緒のことが多かった。
中学の帰り道、きしょい生き物が空き地で蠢いているのを見かけた。
その日はたまたま委員会で遅くなった日で、一人で帰っていた。
今のはなんだろう…と思ったが、わざわざ戻ってもう一度見たいものではなかった。
視界の端にちらっと写った程度だからなんとも言えないけど、おそらくキャラクターの着ぐるみだろう。そういうサイズ感だった。
キモカワという言葉があるように、一部の層にはちょっと、いやかなりマニアックな見た目を可愛く思う人間もいるそうだ。
多分、あのキャラクターはその層で爆発的な人気を持つんだろう。
その証拠として、質感が着ぐるみにしては非常にリアルだった。
元のキャラクターを忠実に再現したんだろう…
ぶっちゃけ、めっちゃきもいが需要があるんだろう。
他人の感性を俺が否定してはいけない…そう思って帰宅した。
翌朝、傑と登校した時もまだ着ぐるみはいた。
おそらく中に入っている人が置き去りにしてしまったんだろう。
こんなに愛を感じる着ぐるみを置いていくなんて、何か深刻なことがあったんだろう。
可哀想などろどろぬるぬるの質感の着ぐるみを俺は、ぬるぬるちゃんと呼んであげることにした。
傑もぬるぬるちゃんに気づいた様子でひえ…と悲鳴をあげていた。
流石にあのキモさとクオリティはビビるよね〜
ぬるぬるちゃんは、ずるるると首をコチラに回して、目玉をぎょろぎょろ動かし僕らをみつめた。
着ぐるみには、まだ人が入っていたんだ!
傑くんは焦った様子で
「逃げよう。あれ…変だよ」
傑くんの提案を僕は却下した。
「何言ってるのさ?別に、そんなに変ってことはないでショ?」
青ざめた顔で傑くんは目を見開く。
「見えてない…?なんで、もしかして僕にだけ…いやそうとしか…」
ぶつぶつ呟く傑くんに僕は呆れた。
僕にだけ、とか厨二病極まりない。
まあ年頃だし、もうそういう時期だもんね…
きっと傑くんの目には着ぐるみじゃなくてダークユニオンとか、そういうのが写っているんだろうなあ…
そういうとき、病に苦しみ己に酔う彼らを可哀想だなんて思ってはいけない。
彼らは真面目に、それを楽しんでいるのだから。
同情は、ただただ傑くんを辱めるだけだろう。
俺は、そっと見守ってやろう。
そして目が覚めてからいじり倒してやろう、そう思った。
そうは思っていても、流石に幼馴染の恥ずかしい姿を見ていられず、そっと傑くんから視線を外した。
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