#sieben【新たな人生:後編】
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※当物語の夢主は JOJO長編-闇の戦乙女-夢主と ほぼ同一人物ですので ご了承ください。
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次の日、招集をかけられたライブラのメインメンバー。
クラウス直々であったのと、昨日の騒動で何か報告があるのかと考える者がしばしば。
「な……な……」
そしていつもの面々が揃った後、ボスは“ある人物”を紹介した。
姿を視認した途端、珍しく狼狽えている番頭。信じられなさからか、指までさして。
「改めて、アルシュネムト・メリオローデよ。アルトと呼んでちょうだい。今日からよろしくお願いね」
その人物……正確には人間でないが彼女は、満面の笑みで自己紹介したのだった。
「クラウス! 僕は聞いてないぞ!?」
「すまないスティーブン、昨日の内に決めたことなのだ」
「そんな……」
相変わらず指しながら、友人に抗議している伊達男。
それもそうだろう、たった一日……いや、半日で頬にヒビが入るほどの重傷だった女性が、ピンピンして立っているのだし。
もちろん彼だけではなく、女性陣も呆然。
レオやザップはそこまでではないが、とにかく決定事項であることに、二重の意味で肩を落とした。
「あんまりクラウスを責めないでちょうだい。彼は私を採用してくれただけなのよ?」
「しかしアルト、私が賠償金を引き合いに出したのもあるのだ」
「貴方の提案は適切だったわ……まぁ、これ以上弁論しても結果は変わらないんだから、この話はここで終わりね」
相変わらずニコニコしつつ、クラウスを見上げる彼女。
ここで会話の雰囲気が今までと違うことに、呼び方まで変わってるじゃないか……と更にしょげてしまうスティーブン。
「あら、そんなに私と仕事するのが嫌なの?」
「別に君が嫌いとかじゃなくて……少し複雑なだけさ」
「そう? ならいいけど」
大きな溜息を吐いた後、やっと彼女と視線を合わせる。
苦笑いではあるが、悪意は感じない。割り切るのは大人の良いところ。
あっさり許したアルシュネムトに心中で、いいんだ……とツッコミながら、彼女に近付くレオナルド。
「アルトさん、刀お返しします」
「面倒見てくれてありがとう。この駄犬に何もされなかったかしら?」
「駄犬とはなんだ駄犬とは!?」
差し出された冥狗を受け取った瞬間、抗議と一緒に現れる透けた半獣体。
そして一切そちらに目を向けないご主人様。
「あはは……大丈夫でしたよ。改めてよろしくお願いします、アルトさん」
「えぇ。よろしくね、レオくん」
もう何度目かの置いてかれモードに、次第にしょぼーんとして消えていくアヌビス。
こちらはこちらで笑み同士の握手が行われ、歓迎人が一人増えた。
「おォいそこの人外さんよォ〜、俺にはなんもねェんですか〜い?」
だが、そんな和やか空気をぶち壊す問いかけをする者が。
「あら、貴方は確か……ザップだったかしらね?」
「ザップ・レンフロだ。アンタんとこの犬っころの不始末、まだ片付けてもらってねェはずだが?」
白に近い銀髪と褐色の肌。人相の悪さは頬傷男より上。
ライブラ内ナンバーワンのクソ男、ザーーップ・レンフローー。(闘技場MC風)
不穏な気配を悟った少年はそそくさと離れ、犬っころ言うな銀猿!! と声だけでツッコミを入れたワン公。
「ふむ、確かにそうね。何がお望み?」
この時点で既に目が笑ってないが、知り合って日の浅い構成員達は気付かず。
それとは別に、レオとチェインから、アンタ相変わらず最低だな!? とか、クソ猿……とか言われている。
スティーブンは書類仕事に、クラウスはパソコンに手を出し始めた。
「決まってんだろ鉄板だァ……今夜、俺とセ――」
彼の性格を知っている者なら、何を企んでるか容易に想像出来ただろう。
だからこそ、後輩も犬猿の仲も容赦ない罵倒を浴びせたのだ。
「あーら足が滑ったわ〜?」
「ぐうぉっ!?」
そして何も知らない筈のアルトは、全てを言い切る前に足を払う。
有頂天で油断していたらしく、綺麗に尻もちをついて倒れたザップだが、それだけでは終わらない。
左腰に差したばかりの刀の鍔を親指で弾き、柄を逆手に持って抜いた。
その構えのまま、容赦なく床へ振り下ろす……男の眉間目掛けて。
「ザップさん!?……って、あれ?」
「刀身が、透けてる……」
誰も止める間もなく(というより止める気もなく)、死亡者が出る……なんてことはなく。
おそるおそる瞼を上げた青年には、背中とケツのじんわりした痛みだけで、他は何ともない。
外野からだとブッスリ刺さっているのに、血は出ていないし彼は生きている。
既に何度か登場しているが、これはアヌビスの幽波紋能力で透過させたから。
「……私、そういう話は好きじゃあないの。貴方の願いを叶えられなくて残念だけど、それでも求めるのなら……うっかり透過解除しちゃうかもねぇ〜?」
仰向けの彼を跨いで、いつも通りのようで怒りを含ませた声色。
下ネタ関連は禁句だった彼女の持つ冥狗は、徐々に鍔の方から実体に戻っている。
背後には、哀れみを含んだ視線を向ける犬頭の霊体が。
「あァァァ待て待て待て待ってくれェェ!! アンタの場合冗談に聞こえねェんだよォォォ!!」
「冗談のつもりなんかないわよ? 私、意味のない嘘は吐かない主義なの。それでぇ? どうするのかしらぁ?」
「わかりましたわかりましたすんませんウソっすだから止めてくれェェェ!!」
若干楽しんでるようにも見えるが、自業自得なので助ける人無し。
とびっきりの美女に逆床ドンされているようなものだが、全然おいしくない状況。
刺激すれば終わりだと悟ったのだろう、泣き喚いて許しを乞うた。
「んふっ、分かればいいのよ」
ニッコリとした笑顔付きで、刀はやっと床から抜ける。
なんとか解放されたらしい。
「なんつーオンナだ、セッ〇スに興味が無いなんてよ……」
「聞こえてるわよお猿さん。まだお仕置きが必要?」
しかし性懲りも無く、反省も無いのがこの男。
鞘に納まる前だった光刀は小気味いい音が鳴り、項へ切先が突き付けられた。
「アンタんとこの犬、昨日デレてましたよ」
「おい何バラしてるんだお前!!」
「あらそうなの? それは良いことを聞いたわね〜?」
「ぐうぅぅぅっ!!」
即座にキリッとした顔で暴露し、話を逸らす。
傍観者を決め込んでいた愚霊は、再び姿を現した。
わちゃわちゃ騒がしい挨拶回りは、まだもう少し続く。
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