#Drei【幻のゴーストワゴンを追え!!】
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途中からローラーを出し、スピードアップして向かった。
ものの数分で到着したギルダ通りは、車の渋滞・ポリスーツの群れでごちゃごちゃ。
こういう時に小柄なのが幸いし、間をぬって一番警察が集まっているところへ。
「……ザップ!」
機械鎧の隙間から見えた、見覚えのある白いジャケット。
同時に紅もコンクリートを染めて、無意識に汗が出る。
「(意識がない……出血量も多いし、早く病院へ――)」
隙間から滑り込み、ザップの体に触れた。
酷い汗と、腹から流れ続ける血。
無駄にしぶといのは知っているが、ことは一刻を争う。
「おいお嬢ちゃん! 危ないから離れていなさい!」
「その人はキミの知り合いか? 今救急車を呼んだから、大丈夫だよ」
抱き起こそうとしたその時、周りのポリスーツからくぐもった声が。
操縦者なのだろう、二人程男性が話しかけてきた。
しかし、彼らは知る由もない。
イヴィリタに対して、禁句を口にしていたのを。
「……邪魔」
「え?」
「聞こえなかった? 邪魔って言ったんだけど」
兄と違って普段から、畏まる喋り方はしない。
年上で信頼出来る人には、限ったことではないが。
どちらにしても、見た目は幼女で、カチンと来る口調は沸点を高くした。
「貴様っ、なんだその態度は――っ!?」
仕事中にも関わらず、民間人に掴みかかる勢いの大声。
顔を向かせようと手を伸ばした。
タイミングよく振り返る少女を見た瞬間、男は言葉を失う。
「今凄く虫の居所が悪いの。死にたくなかったら道を開けろ」
仲間から見れば、いつもの無表情。
よりも、三倍増しのドス黒いオーラ。口調さえ全然違う。
上着を脱がせて、止血のために傷口へ巻いて。
自分よりも大きい重傷の男を肩に背負い、堂々とポリスーツの間を通っていく。
必然的に避けていく中、近くの路地裏に入ると壁キックの要領で上へ。
道路は生還率が低いと通りにくいのだ。
ただでさえ今は、余計に人混みが多いだろうから。
「……っと。病院は、こっち……」
着地の際、ザップの膝とかがコンクリートに打ちつけられたが、気にせず目的の方向へ。
ローラーで滑っては、境目をジャンプ。もちろん足とか激突中。
「……っ……オ、ィ……」
少しして、首元に息がかかる。足は止めずに、背後を一瞥。
「……起きた? ザップ」
「……ヴィータ、かっ?」
「そうだよ」
意識が戻ったらしく、掠れた声が耳に響く。
いつもの生意気さが感じられないな、と頭の隅で考えながら答えた。
「ヘッ……チビスケ、っが……――」
前言撤回、死にかけなのにNGワードを残して、再度気絶。
「……治ったら殺す」
いくら怪我人でもムカついたので、聞こえてないのをいいことに、悪態を付いといたとさ。
* * *
「……名前はザップ・レンフロ。年齢は、えっと、二十代……腹部に刀傷有り……よろしく」
セント・アラニアド中央病院。
大体“いつも”此処なので迷わず駆け込み、半ば押し付けるようにして男を渡す。
すぐさま緊急オペが決定し、手術室へ搬送されていった。
一応最後まで見送ってから、御手洗にて血で汚れた手を洗う。
乾きかけの為、綺麗に落ちはしないので、ハンカチも使って拭き拭き。
服はどうやっても無理案件、彼のコートは持っていかれたので後の話。
スカートポケットから携帯を取り出し、二番のスピードダイアルへ。
病院内での通話は、緊急時ということで大目に見てください。
「ヴィータか!? お前今何処にいる!」
相手は番頭のスティーブン。
ワンコールで出たのに加え、開口一番に怒鳴られる。
「……ザップを病院に運んでた」
「だったらなんですぐ連絡しないんだ!」
「……Bluetooth忘れたの。手塞がってたし……状況は?」
片耳に付けられるハンズフリーフォン的なのは一応ある。
たまたま白衣のポケットに入れっぱなしだったが。
当然の言い訳を返し、話を変えた。
「チェインが車を追ってたが、途中で車種を変えられて見失った。彼女は今そっちに向かってる。状況は」
「……現場にいたのは、腹を切られたザップだけ」
「何だって!? ザップしか居ない!?」
「うん……こんな簡単にやられるって事は“避けきれなかった”んじゃなくて、“視えてなかった”んだと思う。レオくんは“視えてしまった”から……攫われたんじゃないかな」
能力の高さはこれでも評価してる方。
少なくとも凡ミスじゃないと。
彼もそれを分かっているのか無意な反論をせず、イヴィリタの考えを聞いた。
「……分かった、こちらでも策を練る。何かあればまた連絡してくれ」
「……了解」
切った後、誰宛でもなくため息。
未だランプの付くオペルーム前のベンチに座り、終わるのを待った。
思っていたより数分で終わり、ベッドに乗せられた銀髪の男が出てくる。
医師から、命に別状は無いと聞き、小さく息を吐いてから、ありがとうございます、と頭を下げる。
そのまま病室に付いていき、備え付けのイスに座った。
*