#Drei【幻のゴーストワゴンを追え!!】
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またまた場面は変わり、ある通りにあるカフェテリア。
人類も異界人も混ざる雑踏が見えるテラス席で、赤髪の少女、イヴィリタが頬杖をついていた。
そこに、黒いスーツの女性が近付く。
「お待たせ、ヴィータ」
「……スメちゃん、お疲れ様」
同僚のチェインであり、待ち合わせをしていたようだ。
彼女に気付いて歩いてきた店員に、コーヒーで、と頼み、向かいの椅子に座る。
「ヴィータは何頼んだの?」
「……ミルクティーとシフォンケーキ。スメちゃんは食べ物頼まないの?」
「今は空いてないから、大丈夫」
「……そっか」
一言二言会話の間に、注文の品が運ばれてきた。
この店は従業員全て人類ではあるが、異界技術の厨房を構えているらしく、軽食からお冷まで、その辺と比べ物にならないくらい絶品だそう。
それだけ客を選ぶ所もあり、明らかな異界人は元より、トラブルを起こしそうな人間もお断りだそうだ。
例を挙げると、銀髪褐色の男など以ての外。
「ところで、ヴィータから見て新人君はどうなの?」
コーヒーを嗜みながら、スポンジにナイフを入れる少女を見る。
口に運んでもぐもぐと頬張る姿は、小動物のようだと思いながら。
「……レオくん? とってもいい子だと思うよ。妹思いで優しいし……ただ、眼が良すぎて心配になるけど」
「あぁ、確かに……」
最近のネタのひとつ、ライブラの新人話がここでも出る。
やはり気になるのは、高性能過ぎる瞳。
本人さえ、眼が良い以外は一般人と自虐するほど。
「ヴィータが事務所のこととか、色々教えてあげたんでしょ?」
「……まだ全員じゃないけど、一応……それに」
「それに?」
食べ終えた皿にナイフとフォークを揃えて置き、ご馳走様を示す。
次に紅茶へ砂糖とミルクを入れ、スプーンで混ぜる。
一口付けて息を吐き、続きを零した。
「……能力の説明は……ヴィータより、あのバカに任せといた方がいいし」
「……そうね」
イヴィリタの専門は【研究】
自分の血液を治す為でもあるが、一応それ以外も請け負っている。
戦闘関連はあくまで二の次。
ならば前線突っ走りチンピラの方が、しっかり補足もしてくれるだろう。
「あ、電話……げ」
「何?」
「噂をすればってやつよ」
「……成程」
スマホ画面を見た瞬間、苦虫を噛み潰したような顔に。
こちらに向けられた液晶には「銀猿」
表情に大きな変化は無いが、少女も嫌そうな雰囲気で。
「なに? 死ぬの銀猿」
「死なねェよメス犬が。ギルダ通り、クリーニング屋前の二トンハーフだ、追ってくれ」
蔑称のキャッチボールから始まる電話。
ただ罵り合いをするためではなく、用事があったから。
「クリーニング?」
「あァ、レオには別モンに視えてるらしい。高度な幻術使ってコソコソしてる段階でマックロだろ」
「幻術なら幻覚じゃないの? 精神病でも患った?」
「いやそーじゃねェって、こころの病じゃねェよ多分」
「この街に来て毒されてるんじゃないの。アンタそのまま病院連れてってあげなさいよ」
「わはははは、酷いこと言うねお前。本人目の前にいんだぞオイ――」
チェイン側はイヴィリタ、ザップ側はレオナルド。
相手の声は聞こえないが、まともな会話でないことは充分予想出来た。
どう考えても自分の悪口を言われているレオは、運転しながらも悔しそう。
そもそもザップの話に耳を傾ける気はないので、紅茶を飲み終わってお財布を確認しているヴィータ。
因みに二人分で計算中。
その時、チェインの携帯スピーカーから、何かがぶつかったような音がなる。
目の前の少女にも聞こえたようで、少し身体が震えた。
「……ちょっとSS? 今の音何!?」
揉めごとは日常茶飯事といえど、緊急事態発生の予感。
電話越しに叫びはするも、車のクラクションしか聞こえない。
おそらく携帯が手元から離れてしまったのだろう。
「……スメちゃん」
自然と立っていたチェインに続き、イヴィリタも机に手を付き、椅子を下りる。
右手の下には料理の伝票と、きっちり揃ったお会計。
無表情ながらも、仕事の顔になった彼女は友を見据える。
「……スメちゃんは、ザップに言われた車を追って。ヴィータは、現場に行く」
「了解……気を付けなよ」
「……うん」
ライブラでの立場は同じくらいだが、在籍歴はヴィータが上。
何でもかんでも命令する訳ではないものの、時と場合によって、こうやって指示することはある。
今度はココ奢るわね、と少女の手元に気付いていたチェインが一言。
……ありがと、と小さく微笑み、すれ違いざまのハイタッチ。
瞬時に消えた人狼に負けず劣らず、人混みを駆け抜けていく。
「(ギルダアベニュー通りは、確かこっち……)」
記憶を頼りに走るヴィータが目指すは、同僚二人がいるであろう現場。
*