code.15【Welcome to Tamakoma!:後編】
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「……屋上、行かない? 遊真がそこにいるだろうから」
お互い何故そうなったのかよく分からない複雑な空気の中、迅から話を切り出す。
また月を見上げている鮎は、再び彼に向き直った。
「……そうだな、行く。その前に飲み物でも淹れよう」
「じゃあキッチンに寄ろっか」
断る理由も無いので、このまま下りてリビングへ。
床の軋む音だけが響き、迅を先頭に歩く。
「遊真は、ボーダーに入るのを断ったよ」
「……そうか」
多分そうだろうな、という反応。
よっぽどの事が無ければ、留まらないと予想はしていた。
ドアを開けると、さっきまで居た二人が見当たらない。
「手伝おうか?」
「すぐ終わる、少し待ってろ」
「はーい」
慣れた手つきで、水を入れたやかんを火にかける。
続いて戸棚から紅茶のティーバック、冷蔵庫から牛乳。
こちらも温めている間、砂糖とカップを用意。
「ん、ミルクティー作るの?」
「ゆーまに手作り飲ませるって約束してたんだ。夜だけど、どうせまだ寝ないだろ? それに、もしアイツが帰るなら……土産程度に、な」
今日話したことだが、このまま会えなくなるのなら早いに越したことはない。
約束は元から守る主義だから。
「優しいね、アユちゃん」
「普通だろ。お前も飲むのか?」
「うん。アユちゃんのミルクティー美味しいから!」
「……あっそ」
それぞれのコップに入れたティーバックにお湯を注ぎ、充分煮出してから、砂糖とミルクをほどよく容れて完成。
遊真の分は迅が持ち、扉はアユが開けながら屋上へあがっていった。
「お、迅さん……と、アユ」
迅の言った通り、白少年が縁に座っていて。
一緒にいることには特に触れず、振り返った。
「よう遊真、ミルクティー飲むか? アユちゃんの手作りだぞ」
「てづくり……ぜひのみたい! アユ、覚えててくれたんだな」
片方のコップを彼女に渡す。
自分からより、鮎から渡す方が良いと思ったのだろう。
無言でも伝わっていたようで受け取り、遊真へ持っていった。
「当たり前だろ? 熱いからゆっくり飲めよ」
「ありがたくいただきます」
ペコリと頭を下げる少年をぽんぽんと撫でてから、踵を返して腐れ縁を通り過ぎる。
扉近くに設置されているベンチへ、腰を下ろすために。
迅だって、目的もなくここへ来た訳じゃない。
表面は部外者なので、気を利かせて彼女は距離を取ったのだ。
みんなでひと口ふた口飲んでから、遊真が話を切り出す。
「悪いね、迅さん。せっかく誘ってくれたのに」
「別にいいさ、決めるのは本人だ。おまえが後悔しないようにやればいい」
最初から入るとは言ってなかったし、無理強いするつもりもない。
人から影響されるのは答えではなく、参考の方が、自分のタメにもなるだろうから。
「それよりも、おまえの話聞かせてくれよ。今までの、おまえと親父さんの話」
別の場所で、レプリカも同じことを修に話そうとしていた。
空閑遊真の過去、玄界に来るまでの経緯を。
――こうして、初めての支部は幕を閉じた。
次の幕開けは、ほんの些細な昔話。
*