code.15【Welcome to Tamakoma!:後編】
名前変換
Your name?*.名前を入れると、登場人物に自動変換します。
より楽しく読むために名前を記入して下さい。
※愛称ですが、愛称がない場合は同じ名前を入れて下さい。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
再び市街地へ向かい、数十分程で到着。
由緒正しき老舗、和菓子『鹿のや』
「ここは、いいとこのどら焼き」
「あ、知ってたんだ」
「きりえも好きな和菓子屋だし」
元は東三門にあったが、第一次近界民侵攻で店が全壊。
現在は市内の梅見屋橋に店を出している。
買った和菓子は店内の座敷でいただける他、持ち帰りもOK。
値段は少々お高め。
上記の関係上、本日は小南の分だけ購入し、御自宅用の紙袋に詰めてもらう。
因みに支払いは支部の経費から。
「そういえば、アユちゃんってどら焼きとかあんまり食べないよね。苦手なの?」
運良く混んでなかったので数分で終わり、店を出る。
帰り道にふと、迅から質問。
「全般無理ってわけじゃないが、甘過ぎるのは食べきれないだけだ」
「アイスにホイップクリームみたいな?」
「そうそう、パフェとかキツイ」
スイーツは基本甘いものが多い。
特に和菓子は砂糖をよく使うので、ほとんどが甘いのではないか。
大体半分とかが限度。
千佳にどら焼きをわけたのも、その理由が入っていたり。
さっきみたらし団子とミルクティーを食べていた口で何を言うかというのは、別腹ということにしよう。
「へー、そうなんだ。(初めて聞いたかも……覚えとこ)」
「何ニヤニヤしてんだお前、ウザイ」
「酷い……」
好きな人の知らないことが聞けて、つい顔が綻ぶ。
しかしピシャリと一刀された。
空が暗くなり始めた頃、修達と合流した時に歩いた通りへ入る。
「あ、あとコンビニ寄ろう」
「コンビニ? 食材買うならスーパーだろ」
「食材はレイジさんが買ってきてくれるから。コンビニでみんなの分のジュース買おう」
「レイジか。わかった」
玉狛一、料理上手な彼なら任せられるだろう。
近場のセブンマークコンビニに入店。
因みに烏丸の職場は青いので違います。
「何飲むだろうな……」
「コーラにしといて、それが合うだろうから。ちょっと電話してくる」
「あぁ。(何か視えたのか……合うってなんだ? とりあえず、二リットルを四本くらいかな)」
適当に買おうかと思ったら、迅から指定される。
コーラに合う食べ物といえば、なんだろう。
カゴを持ってきて一本ずつ入れていると、電話しながらこちらへ戻ってきた。
「アユちゃんアユちゃん、好きなピザってある?」
「え、好きなピザ……チーズいっぱい乗ってるやつとか?」
「チーズね、OKありがと! あと、チーズ多めの……トリプルチーズデリシャス? じゃあそれでお願いします」
突然のピザ。
オーソドックスなマルゲリータもいいが、相性のいいチーズ寄りのも食べる。
電話の内容からして、おそらくデリバリーなのだと予想するが。
「(まさか……)」
支部で宇佐美達が夕食を作ってくれているはずなのに、何故彼は頼んでるのだろう。
嫌な予感を察してしまったアユ。
支払いを済ませ、二本ずつ入ったビニール袋を迅が両手に持つ。
鹿のやの紙袋は仮峰で、あとは玉狛に帰るだけ。
「……おい」
「なに〜?」
何も知らず戻るのも癪なので、少々喧嘩腰に話しかける。
逆に、三の目で、のほほんとこちらを向いた彼。
「……しおりの料理、失敗したとかだろ」
「ご名答〜。失敗っていうか、不運に不運が重なった感じかな。おれのサイドエフェクトがそう言ってる」
「(一体あの後何があったんだ……)」
おそらく魚が釣れなかったとかだろうが、カレーも残ってたはず。
あとはご飯も炊いていたような。
不安が残りつつ、基地に掛かる石橋まで来たところ。
「あ、ピザ屋のバイク停まってる」
「お、ちょうどいい感じかな。早く上がろう」
扉の近くに、特有の屋根付きスクーターが停車済み。
誰も乗っていないということは、既に中へ入ったのだろう。
階段を急いで上ると、デリバリーピザでーす、という知らない声が聞こえた。
「先にどら焼き置いてきなよ、明日小南に渡してくれればいいから」
「わかった」
ここで一旦別れ、手持ちの袋を自室に運ぶ。
「(今日食べたどら焼き、やっぱきりえの分だったか……これで機嫌直るといいけど)」
備え付けの机上に置いといても、何かしらで部屋に入られない限りバレない。
あのお菓子大好きな騙され系女子が、ひっきりなしに怒っているのを頭に浮かべる。
思わず苦笑い。
「あ、アユちゃん! おかえりなさい」
「ただいま」
リビングに戻ると、準備を進めている面々。
千佳が気付いて、おかえりと言ってくれたことが嬉しくて、思わず微笑む。
料理を並べ終え、皆でいただきます。
十脚ある内、迅の右隣、千佳と修が斜め右の席に鮎は座った。
「魚は逃げちゃって、カレーはらいじんまるが食べちゃったのか。(なるほど、そりゃ完成しないな)」
「うん、でも迅さんと買い物行ってたんだね」
「買い物行こうって突然誘われて、そしたらピザのデリバリー頼んでるし……コーラが合うってのはそういうことか」
アツアツの生地に息を吹きかけて食べるものの、中が熱いのであんまり意味がない。
ちょっとずつ食みながら、千佳と雑談。
「ん! このチーズいっぱいのピザ美味しい〜! これって迅さんチョイス?」
「そっちのはアユちゃんチョイスだよ。確かに美味いよな〜」
「そうなんだ! アユちゃん、ナイスピザ!」
ナイスピザ、とはあまり聞かない単語。意味合いは何となくわかる。
「いえ、そんな……好きなの頼んだだけですから、良かったです」
ただ選んだだけでも、嬉しいもの。ほんのり頬を染めながら微笑。
今日は笑顔が多い日かもしれない。
『(照れてるアユちゃん可愛い……)』
年上二人は珍しいものを見れたので、目を細めた笑みに。癒される的な顔で。
その後、陽太郎の虚言でタバスコかけまくり、ヒーヒー状態になってしまった遊真。
タイミングが良いのか悪いのか、迅のスマホが鳴った。
「はい、はい……はい、分かりました。間もなくウチのボスが帰ってくる。遊真とメガネくん、ボスがお前達に会いたいそうだ」
「えっ!」
電話の相手は林藤だったらしく、お知らせを皆に、要件を二人に伝える。
驚いた修は遊真を見るが、舌を真っ赤にしている彼。
ひっそりと、隣の腐れ縁を睨むような眼差しのアユ。
どういう意図かは分からないが、そんな彼女にウインクした。
当然、苦虫を噛み潰したような顔に。
机を片付けてから、遊真達は支部長室に向かう。
「少し歩いてくる……眠気覚ましに」
「うん、分かった」
ソファで寛ごうとする前、それなりの理由を千佳に述べておく。
睡眠時間が長いのを知ってるので、なんら疑うことない少女。
「良かったら屋上行きなよ、まぁまぁ広いよ」
「はい、ありがとうございます」
仮峰が向かう先をほんのり察しているので、話を合わせてくれる。
感謝の意を込めたアイコンタクトを送って、リビングを出たのであった。
*