code.14【Welcome to Tamakoma!:前編】
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あまりに長いと心配されるだろうから、数分程度で強制終了。
といっても聞き分け悪いので、顔をぐぐっと押し出し離れた。
名残惜しそうな指が伸びていたのは、死角で見られていない。
「ふぁ……ちか達のとこ行くのか」
「うん、今日は泊まった方がいいって提案する。おれのサイドエフェクトがそう言ってるから。アユちゃんも、もちろん泊まるでしょ?」
ぼんち揚は自室に置いといて、二人一緒に廊下を歩く。
今日のトリオン使用はないものの、よく寝る方の仮峰は欠伸を零す。
そんなところも可愛い、と密かに微笑しながら。
「そのつもりだが……部屋は有り余ってるから問題無いが、私は……」
「だーいじょーぶ、アユちゃん自分の部屋で寝たいでしょ? おれに任せて」
「(なんか心配だな)」
目付きの悪さが眠みで更に細められる。
再び口が大きく開く中、隣の迅を睨むように見た。
「……今あくびしながら心配だな、とか思ったでしょ」
「理解してるなら信頼度上げとけ、普段から」
「それっておれはいつも怪しいってこと!?」
「うん」
「即答!!」
以心伝心が成功したのはいいが、好きな人に常日頃マイナス印象だったらしい。
普段の行動が仇となったようだ。
少しして皆が話す部屋前に着き、迅は咳払いしてからドアを開ける。
「よう三人とも、親御さんに連絡して、今日は玉狛に泊まってけ。ここなら本部の人たちも追ってこない」
副作用通りに泊まりを進める。
言ってることは間違ってないし、このまま帰らせるのも中途半端だから。
彼の後ろから戻ってきた風に現れたアユは、また欠伸している。
「三人って、アユちゃんは?」
「あぁ、アユちゃんなら……――」
普通に考えて、何故三人だけなのだろう。
疑問を聞いてくれた宇佐美の言葉に、迅は笑顔を濃くする。
目も擦り、ぼけーっとしている彼女を動かすのは簡単で。
「さっきおれと一緒に、部屋決めたから」
自分の右側にいる鮎の右肩に手を回し、引き寄せた。
陽太郎と遊真以外、驚きがありありと顔に出ている。
「ちょっと迅さん! 未成年の女の子に手出しちゃダメでしょ!? (アユちゃんが抵抗しない!? あ、眠いのか!!)」
いつもは触れた瞬間に投げ飛ばしたり締め上げたりするのだが、未だ動かない。
明らか犯罪者扱いする栞だが、彼女の反応が薄い理由に心中で解決。
俯いてぱちぱちと瞬きしながら、迅の声が近いのは、何かやりやがったなと、漸く気付き始めた。
「このくらいスキンシ、ぐふっ!!」
次の瞬間、拳を握り、左腕を前に引いてから、思いっ切り後ろへ突く。
至って冷静に、無言で。
肘が横っ腹にクリーンヒット、呻きは上から。
「……正当防衛です。(調子に乗んな)」
「な、ナイス肘打ち……(ですよね〜……)」
拳はそのままに、淡々と主張を述べる。
軽い溜息が相まって、瞼は下りながら。
心の声は聞こえないのに、会話は成り立っていた。
「ほー、やるなアユ」
「感心してる場合……いや、あれでいいのか?」
「(アユちゃん……)」
それぞれらしい反応で、事の次第を見守る三人。
助けがいらないのを、この目で判断出来た。
「大丈夫?」
「はい、ありがとうございます」
手を握って心配してくれる、この中でのお姉さん。
助けられなくてごめんね、という意味合いもあるのは理解していたので、ふわりと微笑みを浮かべた。
「……ってことで宇佐美、面倒見てやって」
「了解」
腹を押さえながら言う変態、ではなく自称、実力派エリート。
一切気にせず栞は敬礼、迅は先に自室へ戻っていく。
その後、遊真達の部屋決めに階段を上がる。
ずらりと並ぶ廊下で、草がこぼれる部屋とか、ドア開けてすぐぼんち揚箱の部屋とかを遊真が引き当てたり。
アユちゃんは何処の部屋? と千佳が聞くと、あそこ、右側の突き当たり、と指を差す。
雷神丸の部屋の隣にあたるようだ。
実はそもそも、そこで数年暮らしていたとは、彼らはまだ知らない話。
初来訪の幕は、まだ下りない。
*