code.14【Welcome to Tamakoma!:前編】
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ドア前で腕を組んで、こっちを見下ろすアユちゃん
いつもおれが上なのに、ベッドに座ってるからかな
なんか新鮮……なんて言うと怒られそうだから黙っとこう
「……全くだ」
スニーカーの靴音で床が少し軋む
おれの近くに歩いてきて、なんにも言わずドカッと隣に座った
腕も足も組んでるのも、絵になるなー
あんだけ容赦なく殴るのに、避けもせず近くへ来てくれるところも好き
「こうなることは分かってた筈だろうに、何も言わねぇ誰かさんの所為で無駄に疲れた。ふざけてんじゃねぇぞ、じん」
うわー、怒ってるなー、アユちゃん
そりゃそうだよね、おれは未来に関して彼女にほとんど伝えてない
未来が、視えにくいから……未来を変えられるかも、分かんないんだよ
誰かの未来も……おれの未来も……アユちゃんの未来も。
「ボヤけてたとはいえ、確かに何も言わなかった。ほんとにごめん」
「……チッ、これも貸しだぞ」
「はーい……」
その事は前に話してる、それでも独りで背負うなって言ってくれたことがある
いつもおれのために、怒ってくれてるんだよね? え、そうだよね??
ゴホン……だからアユちゃんへの貸しも、きちんと返すって決めてるんだ
「それで、今後は何か……――」
ぼんち揚を食べるのを止めて、手を拭いてから反対側に置く
前を向いて話す彼女を、横からじーっと見つめて
あぁ……このままアユちゃんがメガネくん達のとこに戻れば、おれときみの関係は、今日初めて会った他人になるけど
今、隣にいるアユちゃんは……誰よりも前から、おれが好きな人
本当は、返したくない……このまま、ずっと……――
「おい、聞いて――」
気付いたら、勝手に手が出てた
ちょうどおれに振り向いたアユちゃんを、包み込むように
離れたくなくて……抱きしめてたんだ
「……何してんだお前」
「あっ、いやそのっ……」
座っててもおれの肩より低いから、胸板に埋まってる
隙間からめっっちゃくちゃ睨まれてます、はい
これは……終わった。
……あれ、殴られない?
というかアユちゃんが動かない
「……アユ、ちゃん?」
「なんだ」
「殴らない、の?」
まさか寝てるかと思ったけどそんなこと無かった
相変わらず声から不機嫌漂ってるのに、殺気といったら人聞き悪いけど、全然感じない
一体どうして……
「さっきの……携帯での借りだよ、このぐらいは好きにしろ。ただし変なこと考えやがったらぶっ飛ばす」
そういう、ことだったのか……全く視えてないし、予想外だ
でも、視えてないから、余計に嬉しい
そんなこと言われたら、おれ……調子に乗っちゃうよ。
愛しくて、我慢できなくて、自制も無視して……おれはアユちゃんを、もっと強く抱きしめた
「おい、言ってるそばから」
「ごめん、もう少し……このままで」
苦しいだろうけど、ごめんねアユちゃん
こんなチャンス、二度とないだろうから
もう少し、もう少しだけ……アユちゃんの温もりを、感じさせてくれ。
*