#Zwei Komma Funf【幕間のひと時】
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事件から数日。
ある日の朝、レオナルドはやっと覚えた入り方で、ひとり事務所のドアをくぐった。
肩には以来行動を共にするようになった音速猿、ソニックが。
「今日こそ見切ったぜ旦那あぁぁっ!!」
ゴージャスかつオシャレな扉を開けてすぐに、挨拶する間もなく、走っている男。
広い室内を存分に使って助走を行い、跳躍。
獣の如く瞳を光らせ、無駄にクルクル回ってからの踵落とし。
だが、相手の頭上へ届く前に腕でしっかりガードされる。
それから流れる動きで、逆「く」の字からの膝蹴りをお見舞した巨漢。
ぐぅおっ!? と蛙が潰れた様な声が聴こえた。
「お早う、レオナルド君」
丁寧に床へ下ろし、襟を正す赤い彼。
ブレングリード流血闘術、男、リーダー、メガネ、クラウス・V・ラインヘルツ。
大きな犬歯が覗く、見た目と違って温厚な人間である。
「この男は隙あらば私を斃そうとしてきてね。しかも心底殺すつもりで来るので、厄介なんだ」
白目を剥いて気絶していると思えば、意識を取り戻した銀褐色の青年。
斗流血法、男、馬鹿、バカ、ザップ・レンフロ。
上記の通り、二回付く程の馬鹿人間である。
入室してから驚きと引きで言葉を失っている少年。
【神々の義眼】保持者、男、一般人、新人、レオナルド・ウォッチ。
眼球以外は普通の、まだまだ世界を知らない人間である。
「ちっくしょおぉぉぉっあがぅ、ぷぎぃっ!?」
寝転んだまま駄々をこね始めたザップを、綺麗に踏んづけながら挨拶する彼女。
不可視の人狼、女、諜報機関“人狼局”所属、美女、チェイン・皇。
ライブラの主要メンバー中では数少ない、異界出身者である。
部屋の全体を見渡せる位置でニコニコしているスーツの老人。
ラインヘルツ家直属派遣、男、C・B/執事、優秀、ギルベルト・F・アルトシュタイン。
顔に包帯グルグル巻きだが、恐らく人間である。
「……ぜんっぜん解らん」
やっとこさ零した言葉は、レオに刺激が強過ぎての感想であった。
ちょうどその時、彼が入ってきた真正面に位置するドアが開く。
「ふぁ……ん、来たね……レオくん」
あくびをしてから少年を見る、長い赤毛の少女。
ブレングリード流血闘術・改、女、童顔、クールテンション、イヴィリタ・V・ラインヘルツ。
クラウスの実妹で、研究者の顔も持つ人間である。
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