#Zwei【魔封街結社:後編】
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中継に映る半神の半身と、白い猿と、スーツ姿の女性。
それを嘲笑う堕落王はさて置き、ライブラメンバーは既に動き出していた。
「ザップさん! 本当に猿を撃っちゃっていいんですか!?」
「猿ごとゲートを吹っ飛ばすんだよ!」
二人乗りスクーターに、二人の男と一人の少女。
小柄なお陰か、後ろの少年、レオの肩に手を置き、更に後ろのタンデムグリップで立つ彼女、イヴィリタ。
ヘルメットは足りなかったので、長いポニーテールを短くして風に吹かれている。
勿論、目の前で行われているザップとレオの言い争いを静観しながら。
「でも! あの猿“割れてなかった”んです!!」
「アァッ!?」
「強盗と違って! 猿は割れてませんでした!!」
「んだと〜!?」
エンジン音と風で、いくら大声を出してもあまり通じていない。
これでも少年は、かなり重要な事を述べている。
そんな時、少女のスカートポケットにあるスマホが揺れた。
振動を感じ、片手で取り出す。
「……はい、ヴィータです」
「こちらチェイン。ヴィータ、近くに“SS”いる?」
「……SS? いるよ」
『(SS?)』
電話の相手は、さっき先行して猿を追いかけていったチェイン。
SSというコードネーム? の銀男、ザップの所在を聞かれる。
しかし、そのネームの意味は分かっていない二人。
「……はい、スメちゃんから」
「おい、SSってなんだ」
「……スメちゃんに聞いてよ」
運転中の彼の耳に、スマホを当てるヴィータ。
その際聞いてみたが、濁された。
因みに挟まれたレオは、何故か顔が赤い。
理由はご想像にお任せします。
「チッ、俺だ。SSってなんだ?……あーもー、お前早く真っ二つにならねェかな……」
チェインと話し始めてすぐに、疑問をぶつけた彼は何故か毒を吐いた。
犬猿な二人の事なので、ザップの癪に障る理由を話したのだろう。
しかし、悠長な状況は突然終わりを告げる。
「猿がそっち行ったわ! もうすぐ次の解放だから、気を付けなさい!」
注意された端から、またもや切断音。
「うおっ!?」
「うわあぁぁっ!?」
ビルは斬れ、道路も斬れ、ついでにバイクも真っ二つ。
肉体は間一髪なものの、吹き飛ばされるのに充分な威力だった。
「っ、イヴィリタっ!!」
不安定な空中で、咄嗟にレオは、少女に手を伸ばす。
気付いたヴィータも伸ばすが、あと一歩の所で届かない。
暴風に晒され、それぞれ逆方向へ飛んでいってしまった。
*