第6夜【初めてのお買いもの】
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神田達が任務に出た次の日。
シナデにとっては二日目の休日になる。
今日も朝早く起きてしまった彼女は、動きやすい私服に着替えて部屋を出た。
向かった先は、教団外の森の奥。
まだ暗い空を仰ぎ、昨日と同じように歌った。
「ふぅ……たまには、ここで歌おうかな……」
未だ空を仰ぎながら、微笑むように口元を緩める。
昨日ジョニーに見せた笑みより、少し明るくなった感じだ。
「……よし……朝の鍛練、しよう……これは、日課……だもんね……変幻、心弓」
胸の十字架が光り、やがて大弓の形に変化。弓と矢を構え、一人なりの鍛練を開始する。
日が昇り始めて、それだけ時間が経っていた事に気付く。
弓矢の鍛練として、小さく狙いにくいものや動くもの等を的にしてみた。
いつもこのぐらいに“彼”が切り上げるので、武器を納めて食堂に向かう。
「……おはようございます、ジェリーさん……」
「おはようシナデちゃん! アラん? 今日は朝から私服なのね!」
「……はい……今日も、休暇なので……」
「ウフ、よく似合ってるわ! さぁて今日は何にする~?」
「えっと……お蕎麦と、エクレア……で」
「了解よ、すぐ作るわ! (なんだか神田推しね、ウフ)」
ジェリーが振り向きざまにニコニコしていたが、シナデには意味が分からなかった。
因みに自分がこのようなメニューを頼んだ事も、自覚していない。
つまり無意識に頼んでしまった、という訳だ。
「はい、お待ちどーん!」
「……ありがとう、ございます……」
料理がのったトレーを受け取り、適当な席に座ったシナデ。
普段から団服以外を着ない、着る意志を持たなかった彼女なので、私服だとかなり目立っている。
現に探索部隊や科学班等から、視線を集めていた。
本人はご飯中なので、気付く事も無いが。そんな時。
「やっと一段落着きましたね、班長」
「そうだなー、メシ食ったら少し寝るか。どうせあの巻き毛の所為で、仮眠程度しか出来ねぇけどな」
「結局コムイ室長、コーヒー飲んだだけで全然仕事してなかったッスからね」
食堂に入って来た白衣の男達。
科学班のリーバー、ジョニー、タップの三人だ。
昨日徹夜して仕事を終えたのだろう、相当お疲れのようだ。
話の内容から察するに、某巻き毛は逃走したらしいが。
「どこ空いてるかなー……あっ!」
「どうしたジョニー?」
「あそこ!」
「ん? あっ、おいジョニー!」
料理を受け取りながら周りを見渡したジョニーは、水色と黒のグラデーションを見つけた。
そんな色なんて、教団には一人しかいない。
ジョニーはトレーにのった料理が溢れそうな勢いで、その場所へ掛けていった。
「シナデ!」
「……ジョニー、さん? おはよう、ございます……」
「あっ、う、うん、お、おはよう!」
ご飯中に話しかけられたので、少し目を見開きながらも挨拶を忘れない彼女。
ジョニーもジョニーで、辿々しく挨拶を返した。
「おいジョニー、いきなりどうした……って、シナデじゃないか、おはようさん!」
「おはよう~」
「……おはようございます……リーバーさん、タップさん……」
『(なるほど、ジョニーが走っていったのはこの事か)』
走っていった彼を追って、リーバーとタップも合流する。
ジョニーの事をよく知っている彼等だからか、すぐに理由が分かり、ニヤニヤして彼を見ていた。
そのままシナデと同じ机で食べる事にした三人。
「シナデ、今日は私服なんだね……に、似合ってるよ」
「……ありがとう、ございます……」
『(ジョニーのやつ……)』
隣に座れたジョニーは、たまにチラッと彼女を見て他愛もない話をふってみる。
そしてまたニヤニヤしながら見守る二人。
食事中なので乏しく反応するシナデ。
今日は“彼”が居ないからこそ起きた、珍しい光景であった。
*