code.8【2人の近界民】
名前変換
Your name?*.名前を入れると、登場人物に自動変換します。
より楽しく読むために名前を記入して下さい。
※愛称ですが、愛称がない場合は同じ名前を入れて下さい。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
十二月十四日、土曜、AM十時三十分あたり。
数日前と同じように、雨取家のチャイムを押した仮峰。
違うところといえば、制服を着ていないのと、通学ではないこと。
「おはよう、アユちゃん」
「おはよう、ちか。すまんな、早く着きすぎて」
「大丈夫だよ。もう準備出来てたから、行こっか」
「あぁ」
レモン色のコートに青のスカート、黒タイツ。
肩掛けポシェットと手袋を嵌めている千佳。
昨日と同じ白のダウンジャケットに、黒のジーンズ。
飾りっけのない服装なのは、アユのセンスということにしておこう。
「おさむから何か聞いてるか? 今日の事」
「ううん、特には」
「ふーん……まぁ行けば分かんだろ」
車の通らない住宅地の道を、並んで歩く。
ここから河原まで、さほど距離はない。
交差点の信号待ち、空を見上げながら推測を立てる。
どちらにしても、彼に会わなければ話は進まない。
それから数分程で、待ち合わせ場所に到着した。
「今何時だ?」
「えっと、十時四十一分だよ」
「やっぱ早く着きすぎたな。少し待つか」
「うん」
千佳にスマホを確認してもらい、約束の時間まで後二十分くらいあることが分かる。
見晴らしのいい河原に人影はなく、三雲がまだいないので。
キョロキョロと辺りを見回し、一休みできる所を探す。
「あそこの縁にでも座って――」
椅子が全く無いので、川の縁なら座れるのではないかと指を差す。
そこをガシャンと大きな音に遮られ、しかも背後からかなり近く。
横の千佳と一度目を合わせてから、共にゆっくり振り向くと。
「うーむ……手強い」
L字に倒れる少年と、車輪が未だ回っている自転車があった。
「だ、大丈夫!?」
「ふむ?」
一瞬固まっていたが、友人の方は駆け寄っていく。
反対に普段から冷静な仮峰は、珍しく動かない。
何しろその白髪と顔には見覚えがあり、色んな衝撃が一気にきたから。
「(こういうの、なんて言うんだっけ……『噂をすれば影が差す』だったか? いや、あまり深く考えないでおこう)」
日本の諺は、ある程度覚えた。
正確にいうと偶然なんだろうが、嫌いな国語系の話は考え過ぎると混乱するので止めておく。
ひとつ息を吐き、二人の元へ歩いていった。
*