code.7【数撃ちゃ当たる:後編】
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「待たせたな」
数分程で東の所に到着したネア。
ビルの上からアイビスを構えていた彼は、こちらに振り向く。
しかし、何も言わない春秋。
「何だよ、いきなり黙って」
「いや、某ゲームの主人公みたいな台詞だなって」
「……意味分からん」
彼女はゲームをしないので、知らなかったようだ。
「早速だがこの先で、奥寺と小荒井が狙えない場所にいるラッドを破壊してくれてる。あの二人なら援護も要らないだろうが、とりあえず合流しようと思ってな。俺と来てくれるか」
「了解した。にしても、随分と信頼してるんだな」
「まだまだ危なっかしいとこはあるけどな……」
ライトニングへと切り替え、東は立ち上がる。
ビル下に降り、目標地点へ向かう。途中、近くはネア、遠くは東とラッドを破壊。
「あずまさん、これ私が手伝う意味あったのか?」
「ははっ、まぁいいじゃないか。殲滅処理課の依頼中って事でさ」
「はぁ……(歯痒い……帰りたい……)」
東春秋という男は、ボーダーで初めて銃型トリガーの使い手になった人間。
それだけ経験が長いので、実力は充分ある。
こんな害虫駆除に、援護がいるとは思えない。
なんとなく引っ掛かりを感じたのと、ボロが出そうで面倒だと思うアユだった。
「あ、東さーん!」
そうこうしている内に到着し、コチラに手を振る少年達が見える。
薄黄髪の方は攻撃手、小荒井登。黒髪の方は同じく攻撃手、奥寺常幸。
東隊の一員で、二人揃っての剣戟は大したものである。
「ネアさんも、お疲れ様です」
「あぁ、お疲れ……こあらい?」
「奥寺です」
交流が少ない方なので、攻撃手の区別がついていないアユ。
実際逆だったようだ。
「お、珍しい組み合わせだな」
その時、近くのビル屋上から声が。
聞き覚えがあると思い見上げると、全員銃持ちで、帽子を被った三人組。
「荒船、そっちは終わったのか」
「はい、最後に見回りしてたんすよ」
B級、荒船隊、隊長、狙撃手、荒船哲次。
同じく狙撃手、穂刈篤。またまた同じく狙撃手、半崎義人。
隣合った地区の掃討だったらしく、片付けてからこちらへ来たようで。
「(なんか人増えたんだが……)」
ネアとしては人数が増すと死角が減るし、ふとした事でバレる確率が高いので、仮面中の表情はうげー、としている。
どうせ分からないからだ。
『よーし作戦完了だ。みんなよくやってくれた、おつかれさん!』
その時、全隊員の耳に通信が入る。身近な者ならば、誰か判別出来る口調と声で。
「(じんの声……未来でも分かったのか?)」
朝に色々あって、別れたままだった。
頭を抱える様な行為をしたのは迅の方だが。
彼が取り仕切っているということは、安全な未来が確定されたということだろう。
「お疲れ、お前ら。良かったら焼肉奢るぞー」
「お、ラッキー」
「肉〜!」
現場はというと、東が後輩達にご馳走すると誘っている。
もちろん一緒に行ける訳がなく、盛り上がりの陰に乗じて抜け出そうとした。
「おっとストップ」
のだが、気付いていた春秋に手首を掴まれる。
「ネアもどうだ? 奢るよ」
振り返ると、いつもの口角だけが上がっている笑みで鮎を見ていて。
自然と荒船達の視線も集め、見られない分、ペルソナの中で睨んだ。
「……あずまさん、最初からそれが狙いだったわけか?」
「狙いとは人聞き悪いなぁ……ま、この際親睦を深めたいとは思ってるけどな」
彼女は目上に礼儀正しく振る舞う方だが、それでもプライドはある。
してやられた感満載なので、少し嫌味を込めて。
全く動じていない東を横目に、仮面の裏に表示されたメール画面を一瞥。
それは“アイツ”からのもので、二重の意味を込めて大きな溜息を吐き、口を開いた。
「悪いがまたの機会にしてくれ。私はこれでも忙しいんでな」
緩んでいた指の隙間から、前へ進む影響でするりと抜ける。
振り向かず歩きながら視界に地図を開き、目的の場所へ跳んだ。
「断られたんですか? 東さん」
「あぁ、一筋縄じゃいかないのは分かってたけどな」
大きく跳躍したロングバッグワームの背中を見送りながら、トリガーを解除した荒船が寄ってくる。
自分も生身に戻り、ふと右手を見た。
「(にしても……腕、思ったより細かったな)」
まだほんのりと感触が残る掌を、閉じたり開いたりしながら。
*