code.10【三輪隊の強襲:後編】
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きょうこさんからの知らせで、予想はしていた。絶対に手を出してくると。
特にみわ隊の隊長、みわしゅうじは、城戸派で一番近界民を憎んでいる
じんから聞いたが、姉を目の前で殺されたらしい
トリオン器官を奪われることは、実質的な死を意味するからな
そんな奴に何を言っても聞く耳持たないかもしれない
だが、私も近界民だ
同じ近界民のゆーまを、みすみす殺させはするものか。
「さて、近界民はどいつだ?」
みわ隊の中で恨みをもっていないのはこめやだけ
ただ戦ってみたいとか考えてるんだろう
相変わらず読めない目だが、口角が上がっている時点で判りやすい
昨日生身で話はしたが、ちかに被ってるからまだ気付いてないみたいだ
どちらにしろ、ポケットのトリガーを掴んだままにしておけば……――
「今そのトリガーを使っていたのは、そっちの女だ」
「……え?」
そうくるか、この野郎……確かにタイミングが悪かった
コイツら最初から張ってたわけじゃないのか?
……どうでもいいか。私のやることは、ひとつだ。
「初の人型近界民が女の子か〜、なんかやる気……え」
左手はポケットに手を突っ込んだまま立ち上がり、座るちかの前に出る
ちかをコイツらの視界に入れないよう、隠すように
「き、君はっ……」
やっと私だったことに気付いたのか、こめやにしては動揺してる
名前聞かれただけで覚えてないと思ったが、そうでもなかったか
横のみわも、少し表情が変わった気がする
「ちかには、触れさせない」
「アユちゃん……」
コイツら、特にみわに誤解だと言っても無駄なのは分かってる
少しでもトリガーを使う素振りを見せたのなら、まずグラシャで凍らせるか……
「……油断するなよ。どんな姿だろうと、近界民は人類の敵だ」
みわは万能手、こめやは攻撃手
この距離で攻撃してくるなら、やはりみわのハンドガンだろうな
ならグラシャで凍らせても意味無いか……ここは一撃必殺のジェドゥーサで――
「ま、待ってください! こいつらは――「ちがうちがう。おれだよ、近界民は」
「空閑!?」
おさむの言葉を遮って、ゆーまはあっさり答えた
いくらちかが疑われてるからって、こんな簡単に名乗り出るとは……流石に予想外だ
「近界民!?」
ちかにとっても、私にとっても、助かったのは事実
……問題は、この男だ
「おまえが近界民だと?」
「うん、そう」
「間違いないだろうな?」
「まちがいないよ」
穏便に終わりそうもない……嫌な予感がする。
*