#Due【IlComandante della Squadra ProtezioneAnimali】
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時間は少し、過去に遡る。
フェリチータがファミリーの一員になる為に、住んでいた小さな家から移ってきた時の事。
館に向かう車に乗っていたのは彼女と、運転している従者のルカ。
お嬢はファミリーに入った理由となる真っ直ぐな思いを胸に、車に揺られていた。
そしてフェルを乗せた車は、ファミリーの館前で停車する。
「ようこそ、お嬢!」
彼女を迎えたのは、ファミリーの一員であるリベルタや幹部の面々だった。
「皆さん! 出迎えに?」
「当然!」
「モンドの娘であり、武術長ウィディーエの義妹であるフェリチータお嬢さんが、ファミリーの一員になる記念すべき日なんだ」
組織のトップと上から四番目の役職である二人を家族に持つ彼女は、充分な重要人物。
ただ単に、興味本位から見に来たような人もいそうだが。
「っつーことだ、バンビーナ」
「よろしくね、お嬢」
「ありがとう!……あれ、姉さんは?」
感謝を込めて、お礼と共に笑顔。
しかしフェリチータは、この場所に自分の姉が居ない事に気付く。
「あぁ、姫嬢なら――「フェリチーター」
とその時、ふいに空から声が聞こえる。
聞き慣れた声に全員が見上げると、そこに居たのは。
「姉さん!?」
『ウィディーエ!?』
丁度噂されようとしていた武術長だったのだ。
彼女は屋根の上で、こちらを見下ろしている。
だがすぐに跳び、空中で回転してフェリチータの隣に着地した。
それを見ていた男達は唖然としている。
パンツが見えたとかではない。
因みにスカートの中はスパッツである。
「っと……遅れて悪いな、用事が長引いちまって」
「ううん! 来てくれてありがとう、姉さん!」
「コイツらは知らねぇけど、俺は当然だ。妹がファミリーに入るのに、迎えない姉なんて居ねぇだろ?」
男達をどうでもよさそうな表情で一瞥した後、フェルにだけ微笑む。
その態度が気に入らなかったのか、リベルタが、コイツらってオレらの事かよ、姫! と抗議した。
「当たり前だろ。仕事しろよ。てか姫って呼ぶんじゃねぇよ」
『お前が言うな!!』
彼女の仕事しろ発言に、即座にツッコんだ幹部達。
その言葉、そっくりそのまま返す、というやつ。
舌打ちを零した隣で、フェリチータは笑っていた。
「ったく……あっそうだ、みんな! 改めてお嬢に自己紹介しようぜ!」
「……必要無い」
「お前はそうだろうけど、お嬢はオレの事よく知らないんだぜ?」
ナイスアイデアを出すリベルタに、あんまりやりたくないのか断るノヴァ。
彼とフェルは従姉弟であり、実は婚約者なので初対面ではない。
後者はあまり知られていないだろうが。
デビト達も案に賛成し、彼女からのお願いもあったので、結局自己紹介をする流れに。
相変わらずの欠伸をするウィディーエは置いといて、リベルタから始まった。
そして、あれよあれよと男全員分が終わる、従者のルカは除かれて。
「よし! 次は姫だな!」
「え、俺も? てか姫呼ぶな」
「そうだよ~、ノヴァも言ったんだしね!」
「私は言ってないですけど!?」
多分話を最後まで聞いてなかったので、知り合い以上でも喋っていたのに今気付く。
面倒くささを感じつつ、妹の頼みなら仕方ないと折れた。
因みにルカの言葉は無視。
「俺はウィディーエ、ファミリーの武術長をやってる。戦闘関係の事は、ほとんど俺に任されてる」
「戦闘関係?」
「あぁ、例えば……フェル、コイツらはそれぞれセリエに所属やら幹部やらやってる。お前の入るセリエは、調停を担うセリエ、剣だ」
アルカナ・ファミリアのセリエは四つある。
防衛の聖杯、流通の金貨、監査の棍棒、そして調停の剣。
後は外交や情報収集を担う諜報部を合わせた五つの部署のどれかに、それぞれ所属しているのだ。
「剣……それが、姉さんの仕事と関係が?」
「単刀直入に言うが、お前はこれから俺と戦ってもらう」
* * *
自己紹介が終わり、各々は訓練場に移動した。
何故なら、今からファミリーのお嬢と姫の戦い、もとい手合わせが始まるからだ。
「戦うってか、まぁ模擬戦みたいなもんだ。俺はこれからお前の力を見て、剣の幹部に相応しいか判断する。お前は手加減せず、本気で来い」
「うん、分かった。武器とかは?」
「使うのは己の武器と、使えるなら体術……俺等の場合は蹴り技だな。アルカナ能力は無しだ」
いきなり戦うと言われたので驚いたフェリチータだが、セリエに入る上で避けられない。
何故幹部なのかというと、他のスートは皆彼女に負けたからである。
武術長の主な仕事は、戦闘になるであろう騒動の前線を任されたり、こうやって新たな仲間の実力を見極めたり。
家族相手でも関係なく、冷静に判断できるからの役職である。
「審判は母様……マンマだ。とにかく本気で来い、俺を倒す勢いでな」
「分かったわ、姉さん」
準備が出来た彼女達は、各々の武器を構えた。
フェリチータはナイフを両手に。
ウィディーエは左手を翳すと同時に現れた槍を。
「デビト」
「ん」
右足の銃は外し、そちらを見ずに彼へ放り投げた。
危ないので使わないらしく、理解しているので何も言わない。
「では、行きますよ。両者……始め!」
*