サンヨウの町

「あ、アルド!!大丈夫か!?」

「痛ぇ……ルドカー。痛ぇよ……」

そう言いながら駆け寄る紫髪、ルドカーに対し、グラサン改めアルドは痛がりながらそう言う。

「やりやがったな!!野郎!!アルドの足が折れちまってんじゃねぇか!!どう落とし前着ける気だ!?あ゛ぁん!!」

「………」

先程とは打って変わってルドカーはそう言いながら詰め寄ってくる。

(面倒だな。こいつらは標的の奴隷商や『Xマジンラー』でもなければ、『進化』の素質を持っている訳でもないから斬り捨てる訳にはいかない……)

「おい!!黙ってないで何か言ったらどうだ!?」

「はぁ……」

パァァァ・・・

『!?』

ネスはため息を吐きながら右掌から魔力を流し込み、アルドの足を治療する。

「お?おぉ……」

「………」ヒュッ!!

「わっ!?」パシッ!!

みるみる内に治っていく自分の足を見て、そう呆けた声を上げるアルドに対し、ネスは懐から札束を取り出し、投げ渡す。

「踏んでしまったのは私の不注意だからな。50万コルンはある……これで文句はないな?」

「あ、あぁ……」

『………』

その場がなにやら微妙な空気に包まれる。

(これじゃあ、ここで食事ついでに情報収集するのは難しそうだな……)

「すいません。この壺はこの辺りで良いんですか?」

そんな空気を察したネスはそう判断しながら受付にそう尋ねる。

「は、はい!!」

「それと、ハンバーガーとかテイクアウトできるものはありますか?あれば二個、欲しいのですが……」

「は、はい……」

そうしてネスはハンバーガーを二個、購入し、ギルドを出る。

「………」

そんなネスの後ろ姿をルドカーは何か悔しそうにしながら見つめていた。
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