冒険者ギルド、『豪火剣嵐』・・・

(……酒臭い……)

「よぉ。兄ちゃん。ギルドは初めてかい？」

冒険者ギルド、『豪火剣嵐』に着いた後、酒場特有の臭いに顔を歪ませながらそう思うネスに対し、紫髪の男がそう話しかけてくる。

※ネスは今、黒い長袖シャツに黒ズボンを履いています。

※尚、これがネスの普段着兼戦闘着です。

(私は女なんだが……)

「まぁ、初めてだな。」

「じゃあ、俺が受付まで案内してやるよ。」

「良いのか？」

「あぁ。その代わり、そこにある壺を運んでくれねぇか。」

紫髪がそう言いながら指差す先には如何にも高級そうな壺があった。

「よっこいしょっと……」ﾋｮｲｯ

「気ぃ付けろよ。その壺、割ったら結構な(弁償)額するからな。」

「ん。」

そうしてネスは紫髪の案内のもと、受付へと向かう。

「あぁ……よっこらせっとぉ！！」ｶﾞﾗｯ!!

そんななか、酒を飲んでいた茶髭の男がそう言いながら、座っていた椅子を後ろに引きながら徐（おもむろ）に立ち上がる。

が、ネスはプロさながらの身のこなしでかわす。

「………」

「……なんだ？」

「あ、いや、その……すまんかった……」

茶髭はそう謝罪した後、座り直してちびちびと飲み始める。

「ちっ……」

「………」

「あ、こらぁっ！！親父ぃっ！！危ねぇじゃねぇか！！！」ｶﾞｼｯ!!

「すまんかった……すまんかったって……」

「………」

ネスからの視線を誤魔化そうとするかのように紫髪は茶髭の首もとの襟を掴みながらそう怒鳴りつけ、茶髭は紫髪と視線を合わせないようにしながらそう謝罪する。

(なんだ。このわかりやすい茶番は……)

「おぉーとっ！！ごめんよぉっ！！」

そんな二人のやりとりを見ながら、ネスがそう思いながら呆れるなか、今度はグラサンにニット帽を被った男がそう言いながら体当たりしようとしてくる。

コテンッ！！ズシャァァァッ！！

「ぶべっ！？」

が、それも易々とかわされ、グラサンはそのまま転ける。

(バカなのか？)

そんなグラサンを見て、ネスはそう思いながら受付の方へと向かおうとする。

ボキッ！！

「ぎゃあああぁぁぁっ！？」

「ん？」

が、そう言う音とグラサンの悲鳴が聞こえてくる。

足元を見ると、グラサンの足を踏んでいて、足が向いちゃいけない方に向かっていた。