決闘

「おぉーっと!誰が見ても自業自得なリョウ・アイダ、キレると同時に怪しげな機械を取り出したぁっ!!」

「形状を見る限り、注射器……かしら……?」

「この世界に転生する際、悪魔がくれた『パワーアップアイテム』だ。こいつでてめぇをぶっ殺す!!」

チカミとアーシャ学園長がそう言うなか、リョウはそう言いながら機械の針を左腕の血管に突き刺す。

すると、中の赤黒い液体が自動で血管へと流れ込んでいく。

ドックンッ!!ドックンッ!!ドックンッ!!

「ぎゃはははははははっ!!感じる!感じるぞ!!俺の“力”が膨れ上がるのを(ズシャアアアァァァッ!!)あ・・・?」

自分の“力”が膨れ上がるのを実感して高笑いするリョウの左腕が突然、肥大化する。

「な、なんで……(ドックンッ!!)ぐわあああぁぁぁっ!?」

次の瞬間、リョウは苦しみながら変異し始める。

(……あぁ……そいつ、使ったのかぁ……)

そんななか、リョウの頭の中にそう言う男の声が聞こえてくる。

(そ、ソロモン!?どうなってんだ!?こりゃあっ!!?)

(くはははっ!!今、てめぇが自分で打ったそいつは『ソロモンウイルス』。ウェスカーが研究していたウロボロスウイルスの試作品にオラクル細胞と俺の因子を掛け合わせて作ったウイルスだ。)

(!?て、てめぇ!騙しやがったな!!?)

自分に投与した『パワーアップアイテム』がウイルスだと知って、断片リョウは頭の中で語りかけてくる、自分を転生させ、ウイルスを渡した魔王、ソロモンにそう抗議する。

(人聞きが悪いなぁ……俺は最初に言ったぜ?『選ばれし者なら純粋に“力”を高めてくれるが、選ばれなかったらどうなるかわからねぇ。』ってな。にも関わらず、『良いから寄越せ!!』って言ったのはてめぇじゃねぇか。くはははっ!!まぁ、精々良いデータが取れるよう頑張ってくれや。)

「ぐっ!?ぐおォおォォおおおォおおォォォおォォおォおおおォォおおォォおォォおおおォおおォォォおォォおォおおおォッ!!?」

(もっとも……てめぇに『人間ヒト』としての意識は残らねぇかもしれねぇがなぁ……くはははははははっ!!!)

ソロモンがそう嗤うなか、リョウはソロモンウイルスによる変異が進んでいく。

次の瞬間、リョウは両腕が肥大化し、頭は半分程沈み、脚は半分程短く、細くなり、目は胸辺りに届く程縦に長くなり、鼻と口は一体化し、肉が溶け、腐ったような色をした、若干人型の怪物へと変貌した。
15/22ページ
スキ