四日後、闘技場・・・

「ルドカー。」

「なんだ？」

「こいつらは暇なのか？」

『精愛』率いる派閥との決闘当日、学園の隣に建てられていた闘技場にて、生徒や教師で満席になった観客席を見ながら、ネスはそう尋ねる。

「来てるってことは暇なんじゃねぇの？」

「さぁっ！始まりましたぁ～！司会実況は私、チカミ・タカがお送りしまぁーす！会場は既に！学生達による決闘を見ようと、満席になっておりまぁーす！皆、暇人かーい！！」

対するルドカーがそう答えるなか、司会実況の一年Aクラスの女子生徒、チカミ・タカが元気よくそう言う。

「なんか半ば喧嘩を売ってるような司会だな。」

「あぁ、あいつはチカミ・タカ。平民だが古くから続く旅館の末っ子だ。元気が良く、明るい奴なんだが……如何せん、思ったことをすぐ口に出しやすいんだ。」

「因みに！解説はこの人！！当学園のトップ、アーシャ・ダンブルドア学園長でぇーす！！！」

「チカミさんに誘われて、解説をさせていただきますね。学園長として、公正に解説しながら皆さんの勉強にさせていただきたいと思います。」

チカミについて、そう言うネスにルドカーがそう説明するなか、チカミは隣にいる金髪の初老の女性、アーシャ・ダンブルドア学園長を紹介し、アーシャ学園長は落ち着いた雰囲気でそう言う。

「今回の決闘は５対５！先ずは互いのリーダーを紹介しまーす！学内でも最大の大きさを誇る派閥、『精愛』のリーダーにしてグリッド侯爵家の後継ぎ！誠実なイケメン紳士にして理想の貴族と言いたくなる人！ディルムット・グリッド！！」

ワァァァーッ！！

チカミがそう『精愛』、ディルムット・グリッドを紹介した瞬間、観客席から歓声が湧く。

(『精愛』とやらは侯爵家だったのか……メイリー嬢達の名前を出さなくてよかった………)

「対するは一年生チーム！リーダーは先生方からも期待の新入生と話題になっているネスちゃーん！！チカも友達になって、色々と教えてもらいたい！！」

「彼女のことは私も期待してますよ。卒業後は是非とも基礎魔法の担当教諭として学園に残ってもらいたい位に。」

キャーッ！！

ネスセンセェーッ！！

頑張ってぇーっ！！

「カカッ。思ってた以上に人気者だな。おまえ。」

「ふん・・・」

ネスに向けられた声援(何故か、女子が多数)について、楽しげな笑顔でそう言うルドカーに対し、ネスは無愛想にそう言う。

「続いて、副リーダーを紹介しまーす！派閥『精愛』の副リーダーは今回の決闘を提案した、一年生ながらもNo.２の座に就いたリョウ・アイダ！彼の笑顔が好きな人はきっと多いでしょう！でも、チカは好きにはなりません！！だってなんか変だもん！！」

「ちょっWWWチカちゃん、ヒドスWWW」

然り気無くディスってきたチカミに対し、ディルムットの隣にいたリョウはそうツッコミを入れる。

「チカちゃん言うな。気持ち悪い。」

「どうやら奴は司会に嫌われてるようだな。」

「だな。」

「まぁ、私やクミ先生、ハイディーンさんやミアちゃんも彼の笑顔は好きになれないけどね。」

そんなリョウに真顔でそう言うチカミを見ながらそう言うネスとルドカーに対し、キャリーはそう言う。

「さて、気を取り直して、一年生チームの副リーダーはネスちゃんから召集を受けた、不良とは思えない程の神童！ぶっきらぼうな態度の裏には真っ直ぐで友達思いな人！だとチカは思っている！ルドカー・ジュラスト！！」

ワァァァーッ！！

「おまえも不良とは思えない人気者のようだな。」

「ケッ……俺はどうでもいいんだけどなぁ……」